Pkw. K1 Kubelwagen Type82
キューベルワーゲン タイプ82 MG42装備型

2005.11.13  組立て
組立前のキット構成。
車輪はプラスチックの一体成形で車体は典型的な箱組、装備品はライト類と予備車輪のみである。全体的にこれといった特徴の無いキットであると思う。
この写真は手を出した直後に撮影したもので、撮影日時をみると2004/02/15となっていた・・・
車体の構成パーツ。
今回はMG34を機銃架に装備した状態を目指している為、幌のパーツは使用しない予定である。
この写真以降が2005/11/13に行った作業である。
パーツの押し出し穴や不要なパーツ取付用の穴をパテで塞いだ状態で放置していた為、まずはこれらの表面処理から入った。
車体の底部には木製のすのこが敷かれた場合と、車体自体に凹凸がある場合があったようである。大戦時に撮影された実車の車内写真が手に入らなかったため、個人サイトに掲載されていたレストア中の写真を参考としている。
車体上部は扉周りを中心にデティールの追加を行った。
本当は扉の内側にある凹モールドを再現したかったのだが、失敗すると更に2年くらいは放置する可能性があったため、今回は見送った。
この制作で最も手を入れることになるであろうシートの制作。
実車のシートはパイプの骨組みにスプリングの支えを固定し、その上にクッションを置く形になっている。こちらもレストア中の詳細な写真が手に入った為、それを参考に金属線で骨組みを作製した。
機銃架を支えるシャフト部分。
この部位と機銃架に関しては全くと言ってよいほど資料が無く、酷い所ではライフル固定具を機銃架の固定具と説明している場合すらあった。
海外の個人所有キューベルワーゲンの写真は多数手に入るが武装周りの資料は全くと言って良いほど抜け落ちており、この部位に関しては確証を持てる資料が手に入らなかった。幸いにもキューベルワーゲンマニア向け(?)通販サイトに機銃架の取り付け部の写真が掲載されていた為、今回はその概観を元に制作している。
エンジンルームと後部座席のパーツ。
こちらも簡単な手直しをしたのみであるが、エンジンルームの吸気口が凸モールドになっているため、これらの手直しも必要となりそうである。
一通り組立てた状態。
車体パーツの合いは悪くはないが、ボンネットと車体の間には隙間が出来てしまう為、手直しが必要となった。
ダッシュボードとハンドルはキットパーツをそのまま使用した。
ダッシュボードに裏に設置されている燃料タンクは真鍮パイプと真鍮線で作製したが、ほとんど見えなくなってしまった。

2005.11.14  機銃架
機銃架の構造に関する資料が見つかったため、作り直しを行なう。
機銃架を支えるシャフト部は基部を真鍮パイプに変更し、取り付けを簡易化した。
機銃架を支えるシャフト。
機銃架はシャフト中央のT字部が機銃架を支えることとなる。寸法袷をして切り出した真鍮線と真鍮パイプを組合せただけの簡単な構造だが、雰囲気的には十分であろう。
MG42機関銃はMMS製のメタルキットを使用した。完成度の高いキットであるため特に手を入れる必要は無いが、給弾方式をドラムマガジンではなくベルト式とする予定であるため、給弾ベルトを自作する必要がある。
機銃架は真鍮板・線・パイプを組合せ、仰角・俯角が取れる可動式としている。
シャフトを車体に取り付けた状態。
固定してしまうと内装工作時の妨げとなるため、着脱可能な構造となっている。
MG42を取り付けた状態。
取り付け角度を調整する必要があるが、ほぼ想定通りの形となっている。

2005.11.29  作り込み
タイヤはキット付属のパーツは使わず、SHQ Miniatures製のメタルパーツを使用した。
デティールは申し分無いため、手を加えたのは鋳造時の型のずれによりできた段差を修正した点のみである。
車体後部の工作。
フックは真鍮線の曲げ+潰し加工を行なって作成。牽引部は薄さが必要であったため、真鍮板を切り出して作製した。
後輪の足回りを真鍮材で作成。
見えない部分なので手抜きである。キットのままよりは多少マシ程度の出来であるが、これ以上踏み込むと収拾が付かなくなりそうなので、このまま作業を進める。
前輪の基部を作成。
こちらも真鍮線を組合せてハンダで固定している。出来はイマイチなのだが、こだわり始めると限りが無いので、これで完成とする。
車外装備の燃料タンク。
フジミ製I号対戦車砲付属のジェリカンを元に、持ち手部を金属材に変え、側面には筋掘りを追加した。
車外装備の燃料タンクのラック。
この装備は標準のものではなく現地改修の結果と思われるが、見栄えが良い部品であることから作製した。
短冊状にした真鍮板を曲げ加工してハンダで固定しただけの単純なものである。
車体に取り付けた状態。
ラックの寸法が若干小さかったため、燃料タンクを押し込むのに苦労したが、概ね予定通りの完成度である。
現在は着脱可能となっているが、塗装の利便性を考えると固定してしまった方が良いかもしれない。
車体前部の工作。
後部と同様の方法にて作製したフックと、ライト類の基部を作製した。ライトの基部は作業時の着脱と取り付けの微調整ができるように真鍮パイプを使用している。
ライトは防御カバー付きの前照灯二つとボッシュライトの三個取り付ける。
ボッシュライトはキット付属のパーツに手を入れ、基部のみ真鍮線に交換した。
前照灯は円柱のプラ材を加工し、WAVEのデティールアップパーツを使用してスリットのある防御カバーのイメージに近づけている。
方向指示器とサイドミラー。
共に金属材をハンダで固定して作製した。
方向指示器のシャフトは微妙な角度で曲げられている為、車体に取り付けて調整する。
側面の工具取付用のラック。
プライヤーで潰して扁平にした真鍮線を使用した。
取り付ける工具はスコップのみである。
フジミ製38(t)戦車の余り部品と真鍮材で作成した。
一通りパーツを組みつけた状態。
工作を予定していた箇所は一通り完成したので、これで塗装に入る予定である。
細かいパーツが多い為、塗装の利便性を考えつつ、パーツの固定を行なう必要がありそうだ。

2006.01.07  塗装
年末年始の休みを使って塗装を行なう。
塗装は利便性を優先して写真の様に分解した状態で行った。
下地塗装を行った状態。
金属部品も多用していることから下地にはマルチプライマーを使用し、素材色の影響を低減する為にサーフェイサーを吹く。
基本色はMr.カラーのダークイエローをそのまま使用。
単色塗装では物足りなかった為、レッドブラウンの縞状迷彩を施す。
使用した塗料はMr.カラーのレッドブラウンで、こちらも特に調整などは行なわずに使用した。
細部の塗り分けと組み立てを行なう。
車輪のタイヤ部はシタデルカラーのフラットブラックを使用。工具・機銃はマスキングを行った上でMr.カラーのジャーマングレーを吹き、フラットブラックを塗布した。
マーキングは水張りデカールを使用した。
同時に作業を行ったSd.kfz.250/9 Ausf.Aの制作で余った第6戦車師団のマーキングを使用。
戦術マークと車両ナンバーはフジミ製 1/76 Sd,kfz.251/10に付属している水張りデカールを使用した。
マーキングの意味はドイツ陸軍 第6戦車師団 機甲偵察大隊所属車両(車両ナンバー:WH-825362)である。

2006.05.14  仕上げ
気がつけば5ヶ月も放置していたので、完成させるべく仕上げを行った。
仕上げ処理は以下の順に行なう。

1. 油彩を使用したウォッシング
2. コピックマーカーを使用した陰影処理
3. 筆による剥げ塗装
4. ピグメントによる埃汚れの表現

剥げ塗装まで行った状態。
車体下部のエッジとハンドル類を中心に塗料を乗せた。
機関銃の摩耗による剥げ表現はグラファイトペンを使用した。
グラファイトペンを綿棒に付け、塗装部に軽く擦り付ける感覚で塗装を行なった。
ピグメントを使用して足回りの埃汚れの表現を行なう。
アクリル溶剤を塗布した箇所にピグメントを乗せ、乾燥後に筆で落す手順で汚れを表現した。ピグメントを乗せ過ぎた場所はアクリル溶剤で洗浄し、幾度か繰り返しながら望む表現に近づけていく。