Panzerjager Bren
軽対戦車ブレンガンキャリアー
2004.09.16 キット内容確認 | |
古いだけあって成形状態もさほど良くはない。 小型の車両である為、パーツ点数は少なくどの程度までパーツを流用できるかは分からないが、パーツ割は良好で採寸は容易に行なえそうである。 |
2004.09.19 上部構造物 | |
車体上部の構造物は真鍮板より切り出して自作した。 箱状の構造物である為、パーツ割と組立順の判断を誤らなければ組立て難易度はさほど高くはない。 |
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キットのシャーシ部分。 このパーツは形状的に問題が少なく、各構造物の寸法規準として使用できそうである。 |
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上部構造物の外枠部。この部位は一枚で切り出し、曲げ加工を行なっている。 リベット跡の凸モールドはニードルを使用した押し出し加工で再現した。リベットゲージを使用すると容易に等間隔なモールドを付けるが可能である。 |
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上部構造物の前面パーツ。 各面の寸法はキットのパーツからマスキングテープを使用してコピーし、一枚のパーツで切り出した後に曲げ加工を行った。 |
2004.09.26 上部構造物と主砲 | |
上部構造物は日々少しずつパーツを追加してほぼ完成状態。 プラスチック製の車体との接合前にハンダにて固定したいものは全て作り込む必要があるため、多少時間をかけて手を入れた。 ユニバーサルキャリアはかなり個体差があるが、実車が現存することから写真が容易に手に入るため、制作の際に戸惑うことが少ないのはありがたいことである。 |
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上部構造物のみを写すとこの様なイメージとなる。 後部のラック類は対戦車用に改造された際に取付られたもので、現存する写真を元に制作している。 |
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パンツァーシュレック部の制作。 ホワイトメタル製の1/76 パンツァーシュレックから採寸したサイズに真鍮パイプを切り出し、後部は四分割+曲げ加工を行った上で一回り外径の大きい真鍮パイプを薄切りしてハンダで固定した。 |
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3門のパンツァーシュレックを束ねる為、外径が一回り大きい真鍮パイプを薄切りした固定具を作成。 真鍮パイプの切断は、真鍮パイプ内に内径と同寸の鋼材を入れてから切断することで形が崩れることなく薄切りすることが可能である。 この車両に搭載されたパンツァーシュレックは機構的に謎が多いのだが、写真及びイラスト等の資料では歩兵が使用する際のグリップ部は取付られておらず、三本束ねて車上に固定されていたようである。もっとも、どの様に照準を定め、どの様に発火させたのかなどの謎は尽きないわけだが、対戦末期に同様の機構を備えた車両があることに気がついた。 左下の写真が問題の車両で、「Panzerjager Borgward B IVc Ausf m RPzB 54 (対戦車ボルクヴァルト B IV m型)」である。この車両は弾薬運搬や地雷除去等の多目的に使用されたBorgward B IVにパンツァーシュレックを6門搭載した車両で、こちらも搭載されたパンツァーシュレックにはグリップが確認できない。発射の為に発火させるだけであればグリップが無くても可能なわけで、おそらくは軽対戦車ブレンも同様の機構であったと推測される。 なお、Borgward B IVはAM誌 Vol.50(2003.12)に脇役ではあるが作例が載っており、こちらも参考としている。 |
2004.10.12 組み立て | |
他のキット作成でしばし作業が停止していたが、こちらの作成も再開した。 上部構造物の基本形はほぼ完成しているので、前回の更新時からの変更点はパンツァーシュレック固定の為の支柱を立てた程度である。 |
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車体と上部構造物を接合。 接合は真鍮線により芯を通した上で瞬間接着剤を使用した。寸法調整の甘さから前部には隙間ができたため、アルテコ SSPHGにて埋めている。 また、上部構造物と車体の寸法調整のため、車体側面に0.5mm厚のプラ材を貼り付けて幅増しを行っている。 |
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足回りを取り付けた状態。 足回りはほぼきっとのままであるが、起動輪の支持部を真鍮線に変更したほか、スプリング部は模型用スプリングと真鍮パイプに置き換えた。 キットパーツの整形状態はあまり良くないが、転輪・履帯などを別途確保できなかったため、手を加えて使用するに留まった。 |
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内装と小物類の追加。 事前に作成していたシート類の取り付けと、ストック品の小物を取り付けた。 実車の写真では内装は確認できないため、イギリス軍仕様のユニバーサルキャリアを参考に詰め込み過ぎない程度に手を入れている。 |
2004.10.17 細部仕上げと下地塗装 | |
車体前部の牽引用フックの作成とライトの取りつけを行った。 フックは真鍮板から切り出し、ライトはWave製丸ノズルを元に作成している。 |
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副兵装と言えるパンツァーファウストの作成。 弾頭部はホワイトメタル製のアクセサリ類から流用し、発射筒部は真鍮パイプにて自作した。 実車の写真に写る形状からすると、装備されていたのはパンツァーファウスト60ないし100あたりが2〜4本程度配備されていたと思われる。 |
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車体後部に積載された荷物の作成。 実車写真では車体後部にラックを設け、弾薬ケースの様な形状の荷物を積載している。外見からパンツァーシュレックの弾薬ケースの様にも見えるが、詳細は不明である。仮にパンツァーシュレックの弾薬ケースであるとすると、片側6個の計12個搭載しており、1ケースあたり弾薬は二発格納されることから、1車両あたり24発の弾薬を携行していたということになる。3器のパンツァーシュレックが装備されているため、8度の発射が可能である・・・ということになろうか。 |
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下地のサーフェイサーを吹いた状態。 |
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壁となる部位の強調と奥まった部位の下地としてブラウンを吹く。 |
2004.11.01 基本色塗装 | |
基本色の前段階として履帯の塗装を行なう。 このあたりの手順は一体成形のキャストキットの制作から学んだ順序であるが、如何せん今回の制作は本体サイズが小さい為に非常に苦労した。 |
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基本色となるダークイエローを吹く。 現存する写真を見た感じでは、基本色のダークイエローの上にオリーブグリーンの格子状の迷彩が施されていたようである。 今回は基本色はエアブラシを使用し、迷彩はコピックマーカーを使用する計画である。現在の技量では0.3mm孔程度のエアブラシではこの寸法に迷彩が吹けないという理由が最も大きいが、コピックマーカーによる迷彩は以前から試したかったことでもあるので良い機会であろう。 |
2004.12.11 迷彩 | |
下地塗装後に2ヶ月ほど放置していたが、同時進行していた別制作の目処がついたので迷彩に着手した。 実車の写真からすると迷彩は刷毛塗りであると思われ、またキットのサイズが小さいことから、迷彩塗装にはエアブラシを使わずにコピックマーカーを使用する。 エアブラシによる迷彩は繊細なグラデーションの表現や境界をぼかした迷彩には適しているが、刷毛塗りの境界線が目立ちながら微妙にぼかされている迷彩には適していない。筆塗りによる迷彩再現も考えられるが、微妙なぼかし表現を行なうには高い技量が求められる。 コピックマーカーはこれまでウェザリングに使用してきた経験から、マーカー独特のはっきりとした塗装面とブレンダーを使用することによるぼかし表現の両立が可能であると考えており、テストも兼ねて今回は迷彩塗装に使用してみた。 |
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迷彩にはコピックマーカー G99 Olive を使用した。 コピックマーカーによる迷彩は技法として確立しているとは言い難く、雑誌の使用例でも模索段階といった感が強い。今回は試してみた技法は雑誌等に紹介されている方法とは多少異なる使い方である。 使用するのは文様用としてG99 Oliveと使い込んでペン先が柔らかくなったColorless Blenderである。 作業手順は、まず左写真の様に迷彩の基本ラインとなる部位にあまり濃くならないようにコピックマーカーで文様を入れていく。 |
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次にペン先がある程度痛んで柔らかくなったColorless Blenderを文様を書き込んでいない部位に押し付けてインクを滲ませる。 この様にすると迷彩の境界線が溶け出し、Colorless Blenderを滲ませた位置とは逆方向にインクが逃げるため、境界線が自然とぼけて文様が細くなり、逃げたインクは文様の中央に集まって来る。(左写真) 一回の作業で期待通りに行くとは限らないため、色を乗せ、滲ませるという作業を幾度が繰り返すこととなる。 |
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この作業の際に注意する点は以下である。 1. 滲ませる場合は文様に対して直接Colorless Blenderを当てない 2. 滲んだインクは退色はせずに狭い領域に凝縮されるため、迷彩にインクを乗せすぎると予定よりも色味が濃くなってしまう 3. Colorless Blenderのペン先が汚れてくると非文様部も文様と同じ色に染まってしまうため、小まめにColorless Blenderのペン先から色を落とす 4. 新品のColorless Blenderはペン先が固く、滲ませるために強く押し付けると下地を削ってしまうため、ある程度使い込んだColorless Blenderを使用する |
2005.01.06 ウォッシングとウェザリング | |
迷彩を行った後、塗装面の保護としてラッカーのつや消しを吹き、その後にウォッシングを行った。 ウォッシングには希薄したエナメルのブラウンを用い、全体に流した後に凹部に若干濃度を高めた塗料を流している。 |
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ウェザリングは塗料の剥げと錆を中心に行った。 塗料剥げの下地としてエナメルのブラウンを薄く塗り、その上にラッカーのラストを乗せ、仕上げとしてコピックにて色味の調整を行った。 ウォッシングとウェザリングの行程により全体的に色調が濃くなり輪郭線が分かりにくくなった為、アクリルのダークイエローを用いて軽くドライブラシを行った。 |
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足回りはピグメントを使用して足回りのウェザリングを行った。 ピグメントは粒子が細かいので溶剤で溶いてしまうと普通の塗料と同じ様な塗り味になってしまう。粒子を見える形で残したまま定着させるため、ウェザリングを行なう箇所にアクリル溶剤を塗布し、その上にピグメントを乗せる方法を用いた。 |
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前照灯にはWAVE製の無色のプラスチックレンズを使用した。 寸法袷が甘くレンズ部が飛び出しすぎてしまったが、削って下手に傷を付けるよりはましと思いそのままにした。今後この部材を使用する場合は塗装膜の厚さも考えた寸法袷が必要であろう。 |