Pz.Kpfw.VIII Super Heavy Tank "Mouse"
試作超重戦車 マウス

2003.12.14  キット内容確認
キットのパーツは4点。
内訳は車体、砲塔、主・副砲、ハッチである。キットの成形状態は良好でバリや気泡は無いが、主砲の軸心がはみ出している点と細部のモールドで潰れた箇所が数ヶ所ある為、この辺りが修正箇所となる。
特に主砲と副砲は金属製の類似砲身を探して置き換えた方が良さそうである。

2003.12.16  余剰部分の切除
クロムウェル製キットを作る上で避けては通れない車体下部の余剰部切除。マウスは車体が長い為に切除部分も多くなり、かなり苦労した。
切除後の接地を確認。

2003.12.16  砲身
キット付属の砲身は副砲のモールドが今一つな上、主砲は芯がはみ出しているために、アルミ挽きの砲身に置き換えた。使用したパーツは主砲には1/35 IV号駆逐戦車 L70/V用砲身、副砲には1/72 KV-1&KV1S用砲身である。
なお使用した砲の実際の口径は以下となる。

KwK 4455口径 12.8cmマウス主砲
KwL 4436.5口径 7.5cmマウス副砲
Pak 39(KwK 42改)70口径 7.5cmラング主砲
ZIS-541.5口径 7.6mmKV-1S主砲
サイズを合わせて切断した状態。
防盾に食い込ませて取付ける為、若干長めに切断している。副砲は切断せずにそのまま使用する。なお、キット付属の主砲には凸モールドがあるが、資料文献に掲載されていたクルップ社作成の完成写真には該当するモールドが見当たらなかった為、モールドは再現しない方針である。
取付けた状態。
防盾に開口し、砲身が10mm弱食い込む様に取付けている。

2004.02.24  砲塔

年末進行のティーガーI制作に押されて更新が滞っていたが、少し進展したので経過をアップ。
マウスに関する洋書の資料を手に入れたことで砲塔周辺の構造で謎となっていた箇所が明らかになり、試作二号車に合わせた加工を行った。
試作二号車の砲塔上部は砲手用ペリスコープが片側のみであることから切り飛ばし、双眼式測距儀用の開口部はWave製パーツに換装。キットでは戦車長・装填手用ハッチが共に開口していたが、装填手用ハッチはWave製丸ノズルを用いて閉じた状態に変更した。
また、砲塔側面のボールマウント式機銃の開口部は実車に合わせて装甲栓で閉じた状態にしている。

防楯は浮きパテを用いて鋳造表現を行ない、ボルト部は丸リベットを使用。防楯左側面には定番となっている真鍮パイプ製の機銃を取付た。

2003.12.20  防楯の整形
防楯の整形作業。
クルップ社の資料を元に防楯を削り、鋼板の基部と鋳造の砲基部に差をつける。また成形されているリベットは切り飛ばし、WAVE製角リベットで再現する予定である。

2004.02.27  細部工作
短い時間ではあるが、日々少しずつ手を入れている。
突起部等はモールドが潰れている箇所が多いためWave製パーツへの換装を行った。また、車体後部に設置されている増加燃料タンクにはかなり手を入れている。
増加燃料タンクのアップ写真。
キットのモールドには多々問題があり、本来であれば切除して新造したいところではあるが、接合面が大きく、切除は困難であると判断。工作はモールドの修正にとどめている。
燃料タンクの帯部はEverGreen製のプラ材を使用し、凸部には銅線を使用している。また、突起部にはWave製パーツと真鍮パイプを用いている。

2004.02.28〜03.06  細部工作2
数日をかけて細部に手を入れた。
キットの欠落部補正は完了している為、主にキットの造形では物足り箇所を置き換える形での工作を行った。ここからの作業は切り上げようと思えばいつ止めても構わないが、こだわり始めると永遠に終らない作業であるとも言える。
参考資料の写真や図面を元に作業を進めるが、技量と集中力が続くかぎり手を入れている。なお、この写真は車体上部の排気管とアンテナが未装着の段階のものである。
履帯下部の余上部分を切除した際に落してしまった履帯のモールドを残った部位を参考にプラ材にて復元。
車体後部の予備燃料タンクへの配管を銅線にて再現。タンク側の配管接合部は真鍮パイプを使用している。
車体前面のボッシュライトを作成。
キットのボッシュライトはモールドが完全に潰れている上に、車体上部を這う配線のモールドも欠落があることから、プラ材と銅線にてこれらの再構築を行った。
ボッシュライトはWave製の丸リベット・丸ノズルを組合せて作成。ボッシュライトの足場は真鍮板より切り出している。
配線部はプラ材で配線カバーを再現してあたりを付けた後に銅線を這わせている。
車体後部のデティール。
手を入れた箇所は増加燃料タンクの足場作成、排気管を真鍮パイプにて置き換え、モールドの潰れた牽引用フック(?)をプラ材にて再現、テールライトの置き換えである。
これらの工作は全てプラ材と真鍮素材にて行なっている。
主砲下部へのアンテナ避け取付。
マウスは車体両側面に垂直のアンテナを装備する為、砲塔旋回時に主砲とアンテナが接触しないようにアンテナ避けが装備されている。
真鍮板にて作成したアンテナ避けに取付基部をハンダ止めし、主砲防楯に瞬間接着剤で取付ている。

2004.03.12  仕上がり

一通り工作を終え、装備品を全て取付た塗装前の状態。
前回の更新以降の変更点は、車体上部の排気口及びアンテナ取付と足回りの突起部作成、そして履帯と転輪の隙間を貫いた点である。

 

2004.03.14  下地塗装

下地となる塗装を途中まで行なう。
金属部品にメタルプライマーを塗布し、サーフェイサーを吹いた状態の砲塔。アルミ挽きの砲身へは二重にメタルプライマーを塗布し、塗装の剥げ落ち対策を行なっている。

エッジとシャドウの強調の為の塗装。
レッドブラウンを局所的に吹くことで、この後に下地色として吹くダークイエローに部分的な彩度の違いを生むことができる。また、転輪の隙間などの下地塗装が行ない難い箇所へは念入りに吹いて下地を隠している。

履帯の塗装。
塗料はダークグレーとジャーマングレーの混合色である。
今回は作業時間の関係でここまでで終了。エアブラシの作業は換気も考えると休日の日中に行なうこととなる為、次の週末まで中断となる。

2004.03.21  塗装と迷彩

塗装と迷彩をエアブラシにて行なう。
マウス試作二号車の迷彩に関して、試作車両を鹵獲したソ連の記録ではダークイエローの下地にレッドブラウンの文様を入れた二色迷彩とされているが、近年の研究では写真の濃淡などから、ダークイエローを下地とし、オリーブグリーンとレッドブラウンにて縞模様のラインを入れた三色迷彩であるではないかという説が有力である。
この説に倣い、三色迷彩を行なう。
写真は基本色となるダークイエローを全体に吹いた状態。

オリーブグリーンによる縞模様の迷彩。
ドイツ軍車両の迷彩は工場生産時に施されたものと各部隊ごとに行う現地に即したものに二分されるが、後者の迷彩の中にはやっつけ仕事的に塗料を塗りつけたと見受けられる車両がままある。マウスの試作二号車の迷彩もそれに近いものがあり、実車の写真ではとにかく広い面積に刷毛で塗料を塗りつけたという印象を受ける。
このため、迷彩を行なうのであればエアブラシよりも筆塗りの方が適してるとは思うのだが、如何せん技量が伴わない為、今回はエアブラシで済ませることとした。

オリーブグリーンのラインに沿うようにレッドブラウンを吹く。

2004.03.22  墨入れとウォッシング
定番の油彩によるウォッシング。
今回は墨入れが済んでいる為、ローアンバー+バートンアンバー少量を全面に対して一度流したのみである。
AM誌 2004年4月号に掲載されていたコピックマーカーを使用した塗装技法に触発されて、墨入れにコピックマーカーを使用してみた。
塗料の乗りの良さと手軽にやり直しが効く点では他の塗料より格段に優れているが、塗料の乗り方が筆とは本質的に異なるため、相応の経験とコツが必要そうである。

2004.03.26  ウェザリング
引き続きコピックマーカーによるウェザリング。
コピックマーカーは計画的な墨入れや雨だれなどの表現が筆よりも容易に行なえることから、従来の方法と組合せることでウェザリングのパターンを増やすことが出来そうである。

2004.03.28  サイズの比較
参考までにサイズの比較。
並べてみると、マウスがティーガーIやティーガーIIと比べても一回り以上大きいことが分かる。

2004.04.04  仕上げ
パステルを使用したウェザリングと仕上げ。
マウスは試作車両であり、実戦への投入が行われなかった車両であるため、どの程度ウェザリングを行なうか迷うところである。今回は走向の結果付着した泥汚れと軽く錆の表現を行なうにと留めている。
これらのことから、足回りとサイドスカート下部にパステルの使用とマッドを軽く吹き、仕上げにスーパークリアを吹いて仕上げとした。
使用したパステル。
三色を混合し、アクリル溶剤で溶いて使用している。最終工程でマッドを吹くことを想定し、パステルは若干濃い色になるように調整している。