Sd.kfz.161/4 Flakpanzer IV Wirbelwind
IV号対空戦車 ヴィルベルヴィント

2006.03.13  砲塔制作
本制作で最も難易度の高い砲塔の制作を初めに行なう。
本車の砲塔は微妙な傾斜をもつ16枚の装甲板で構成されており、紙面の三面図等からでは正確な寸法を得ることは難しい。このため、今回はMATADR MODELS製の改造キットを採寸に使用した。
この改造キットはAirFix製 IV号F2型、もしくはフジミ製 IV号J型を改造する為のキットで、写真の様に砲塔・車体上部・主砲から構成されたレジンキャストキットである。
改造用キットの砲塔を組立てた状態。
剥離剤落しで洗浄したのち、バリを切除して張り合わせ、隙間をアルテコ SSP-HGにて埋めた。2枚のパーツを組合せるだけではあるがパーツの鋳造精度がさほど高くはない為、擦り合わせにはかなり手間がかかっている。
砲塔の各面にマスキングテープを張り採寸を行なう。
砲塔の素材には0.2mmの真鍮板を使用する。実車の砲塔は16mm厚の装甲 板で構成される為、16mm÷76=0.21mmとなることから、本来のスケールからはやや薄目ということになる。 作業としては改造キットを採寸したマスキングテープを展開図状に真鍮板の上に張りつけ、罫書き針でラインを書き込み、ラインに沿って真鍮板よりパーツを切 り出すこととなる。
切り出したパーツを折り加工した状態。
砲塔正面の部位を接合点とした左右対称のパーツ割となる。
接合部はハンダで接着する。
採寸の甘かった部位の隙間埋めも兼ねてハンダを多めに乗せ、余剰部はヤスリにて削り落とすこととなる。
仮組した車体・主砲と組合せた状態。
寸法的にはまぁこんなものかなといったところである。

2007.05.14  基礎工作
前回の更新より1年以上が過ぎているが、最近になり作業を再開したため更新を 行なう。
砲塔のみ完成した状態で放置していたが、車体側の工作も徐々に進めていた。
フジミ製4号戦車の車体は箱組の下部に写真の上部を重ねる構造となっている。まずはこの上部の基礎工作として製造時からモールドされているフェンダー上の 工具類を切除して、ヤスリかけを行った。
本来であればフェンダーを全て作り替えたいところであるが、車体側の接合など で問題が多々あるため、真鍮板とエッチングパーツで作製した各部位をキットパーツを骨組みとして取り付けた。
フェンダー上部の滑り止めパターンはエッチングパーツ、前後の泥よけは真鍮板からのスクラッチとなる。
使用したエッチングパーツはJADAR-MODEL製の滑り止めパターン付き プレートである。
これを必要な寸法分だけデザインナイフで切りだし、高強度瞬間接着剤でキットパーツに張りつけた。
車体下部はキットパーツを元に制作する。
押し出しピン跡などをヤスリとパテで処理し箱組を行なう。
今回は内装を作り込む気は無いのだが、砲塔が半オープントップとなり社内が若 干見えることから、キットパーツをベースに簡単な工作は行なうこととした。
エンジンや座席などの内装パーツがキットには含まれているため、これらを適度に処理してサーフェイサーを吹いた。
内装パーツを組みつけた状態。
座席のシートやレバー類の先端を水性塗料で多少塗り分けを行った以外はサーフェイサーの地そのものである。
内装の汚れを表現するためにエナメルのつや消しブラック+ブラウン少々を薄く 溶いて全体に塗布した。
4連装20mmFLAK38の基部を制作する。
ベースとしたのはフジミ S.W.A 20 ロケット砲セットに付属する同対空砲である。
キット付属パーツは1/76としては大きすぎるため、MMS製メタルキットの寸法を参考にプラ材で大幅な修正を行った。
MMS製メタルキットとの寸法比較。
寸法は概ねMMSキットと同じになり、キットパーツではオミットされているモールドの再現も行った。
20mm砲の砲身はアベールの1/72 真鍮製砲身と真鍮パイプから作成した。
アフターパーツ自体はスケールが合っていはいないが、キットパーツよりは格段に精度が上がることから寸法はそのままで使用した。砲架との基部に当る箇所は 真鍮パイプを組合せて作成している。
プラ製の砲架と真鍮製の砲身を組合せた状態。
こちらもほぼイメージ通りの形状となった。
照準器・座席などを組みつけた状態。
キットパーツを使用しつつ、細部はプラ材と真鍮材で手を入れている。
キットのパーツでは機銃の不仰角に合わせて照準器が稼動するような構造となっているため、この機構は残すこととした。しかし、プラの可動部は擦れてバカに なってしまうことが多い為、パーツを利用しつつ強度が必要な部位は真鍮材からスクラッチしている。
車体に仮組を行なう。
砲塔は可動できる状態とするため、接着はせずに軸へ差し込む方式で固定している。
作りかけの砲塔と合わせた状態。
寸法的にはほぼ想定通りであるため、次は機銃の寸法に合わせて砲塔の加工を行なう。

2007.05.30  砲塔作成
砲塔リングの制作を行なう。
砲塔内は底面に開口部があり車体内が若干見える形となっている。このため、砲塔底面には砲塔リングと同じ口径の開口部が必要となる。
真鍮板にサークルカッターで開口部となる円形の穴を開ける
開口部に合わせて真鍮板をハンダ付けする。
この突起部が車体と砲塔を繋ぐ部位となる。
ハンダで固定が終ったと、余剰のハンダをナイフやヤスリで削り落とす。
砲塔上部と底面をハンダにて固定する。
ハンダが溶着しやすくするため、底面の全体にフラックスを塗布した。
また、ハンダ付けの際の熱でハンダ付けした砲塔リングが脱落しないよう、水で湿らせたテッシュペーパーをひいている。
砲塔を固定した状態。
この後、余剰部の切除とヤスリがけによる調整を行なう。
砲塔を上部から見た状態。
砲塔前面の砲身が出る開口部の作成。
組立後には刃物で切除することが難しい状態であったため、目立てヤスリで削り込み、棒ヤスリで調整を行なう形で開口部を作成した。
表面の酸化防止と凹凸の埋めのため、砲塔全体にハンダメッキを施す。
真鍮の表面にフラックスを塗布し、ハンダの粒を乗せて真鍮板自体を熱することで真鍮板の表面でハンダが薄く広がり定着させることができる。
金属表面をハンダメッキすることで細かいパーツの組立ての際などに便利であるだけではなく、金属表面の酸化防止や表面の凹凸処理の際の凹部の穴埋めにも利 用できる。
砲塔正面の照準孔の作成。
照準孔部分の切除は金属用ニッパに行い、照準孔カバーは別の部材から作成する。
照準孔カバーは可動式とした。
砲塔側にL字加工した真鍮線を埋め、照準孔カバーには筒状に加工した真鍮板をハンダ付けしている。
砲塔内側の砲身用ガードを付けする。 大凡の形に切り出した真鍮板をハンダ付けし、主砲と干渉する部分の調整を行なう。
砲塔内に設置されている弾薬ラック。
左右に20mm機関砲のマガジンを格納できるラックが設置されているため、真鍮板の組み立てで作成した弾薬ラックをハンダ付けした。
対空機関砲側の加工。
弾薬のマガジンはキット付属パーツを軽く加工して使用した。
照準器はキットパーツが大味な作りの為、プラ剤でベースを作り、真鍮材とMMS Models製の対空機関砲照準器のエッチングパーツを使用してデティールの再現を行なった。
実機と同様の機構にて制作した為、対空機関砲の動きに合わせて照準器も稼働す る構造となる。
車体と組合せた状態。
対空機関砲を稼働させても特には他の部位と干渉することはないようである。
大雑把なスケールで作った割にはちゃんと納まったので一安心(^^;
砲塔周りの加工は装填手用の座席を設置して完成となる。

2008.02.11  作り 込み
作り込みの手始めとしてハッチ等の細部に手をつける。
細かい部位のパーツ制作は手間取る為、今回は安直にCromwell Model`sのレジンキャストキットのパーツを複製して使うこととした。
レジンキットの部位を型思いで型取りし、ポリパテを注入して形を取る。
写真はポリパテ硬化後に型から外した状態。
戦闘室側面の装甲ビジョンブロックと点検ハッチのヒンジ・外気吸入孔を複製し た。
鋳造結果が良好だった複製パーツを選別して、バリの切除と形状の成形を行い瞬間接着剤で固定した。
予備転輪と専用ラックの作成。
ヴァルベルヴィントも他の4号戦車シリーズと同様に車体側面に予備転輪を固定するラックがある。
フジミ製4号戦車キットには重ね合わせ部分がオミットされた予備転輪と分厚いラックパーツが付いているが、これらをそのまま使うのでは芸がない。
予備転輪はキットのパーツをベースに作り直し、ラックはスクラッチすることとした。
予備転輪はディッカーマックス作成時に余ったパーツも使用して作成。
厚みを調整したパーツとWAVE製丸ノズルパーツを組み合わせて写真の様な状態にする。
ラックは薄さを重視して真鍮板から作成。
キットパーツを元に寸法取りを行い、ラック部のパーツを切り出した状態。
切り出したパーツをハンダで組み立てる。
車体への取り付けは瞬間接着剤で固定する。
予備転輪を押さえるシャフトを差し込む為の穴を開ける。
パーツを組み合わせた状態。
塗装の利便性を考え、この段階では予備転輪と固定用シャフトは接着せずにおく。
塗装の利便性と工作の利便性を天秤にかけて悩んだ末、上下車体パーツをこの段 階で接着することとした。
如何せんパーツの合いが悪い為、真鍮線で軸を入れた上でプラ用接着剤で張り合わせる。
接着後はズレないようにマスキングテープとハサミで固定して一晩寝かせた。
フジミのキットではほぼ全てのハッチが別パーツで提供されている。
操縦手と無線手のハッチも同様の構造となっており、今回は可動式とするために真鍮材で作り直しを行った。

キットパーツの寸法を参考に真鍮板を切り出しパーツを形成する。ヒンジは細く切り出した真鍮板を加工して作成し、ハンダで組み立てを行った。

組立後に真鍮線を通し、コの字型に加工して車体との固定用シャフトとする。
キット側に軸を差し込む為の穴を開け、写真の様に取り付ける。
パーツの固定は、車体を貫通したシャフトを裏側で折り曲げた後に瞬間接着剤で固定する。
ハッチの開放状態
車体上部の工作。
装甲板の段差は薄いプラ材を使用して再現を行なう。今回はホビーベースのプラストライプを使用してみた。
この部材は今回が初の使用となるが、EverGreen製のプラ材と比較して使い勝手は上々であった。

操縦手・無線手ハッチ周辺の跳弾板はEverGreen製プラ材を使用した。
こちらは図面的な正確さよりもハッチとの相対位置を考えつつ位置決めを行なっている。
アンテナはそもそもキットパーツに含まれていない為、自作することとなる。
真鍮材とシリウス製のレジンパーツを組み合わせて写真のようなパーツを作成する。
エンジンルーム側面のラジエーター吸気口は遮蔽板を閉じた状態に加工した。
遮蔽板は真鍮材から切り出して作成し、瞬間接着剤で固定した。
排気管は真鍮材でスクラッチする。
キットは4号戦車J型であるため簡易型排気管のパーツが付属するが、今回はG/H型ベースの対空戦車とするため、これに準じた排気管を作成する。

工作は過去の制作と同様に太めの真鍮パイプの側面を真鍮板で埋め、排気口は細い真鍮パイプを差し込む形で組立てている。
車体背面の工作。

普通に組立てると致命的な隙間が空くのはご愛敬。。
砲塔旋回用の補助エンジンはヴァルベルヴィントでは撤去されているため、切り落として穴をプラ材で塞いだ。
隙間にプラ材を詰める。
結局プラ材を全面に貼って誤魔化す。
排気管の支持架は積層プラ材の削り出して作成し、固定後の強度を維持する為、車体側に食い込む形で接着している。
予備履帯ラックの作成と不足しているリベット跡の追加、排気管の固定を行な う。
プラ材同士はプラ用接着剤を使用し、金属材は瞬間接着剤で固定した。

2008.2.27  装備品
車体の大まかな工作が完了したため、装備品の制作と取り付けを行った。
本車はIV号戦車に専用砲塔を乗せた簡易改造車両のため、砲塔に関る物以外の装備品はIV号戦車に準拠している。
装備品をIV号戦車と比較した場合、エンジンルーム側面に二対配置された予備砲身のケースが最も大きな違いとなる。これは20mm対空砲の予備砲身2本を 収納する金属 ケースであり、専用の支持架により支えられる構造となっている。

当初はプラ材から制作することを考えていたのだが、満足出来る精度を出せず結局は真鍮板の箱組から作ることとした。
制作は手始めにある程度の大きさに真鍮板を切り出し、罫書き針で折り曲げ部の当たりを付ける作業を行なう。今回の様に同じ精度のパーツを量産する必要があ る場合は、一度の作業で同一パーツを複数作り精度を統一する必要がある。
個々のパーツに切り出した状態。
四隅を切り飛ばし、折り曲げて箱型を作れるように加工した。
同時に滑り止めパターンとおぼしきラインを罫書き針で入れる。


必要数は上下1つずつを2対とであり計4個となるが、切り出した真鍮板の大き さが中途半端であった 為、5個のパーツができあがった。
折り曲げ加工後はハンダを流して四隅を固め、ヤスリで寸法を整える。
上下をハンダで張りつけ、側面の運搬用の持ち手とおぼしき部分を真鍮線で作成 する。
また、ヒンジ部は切り出した真鍮板を張りつけた。
砲身ラックの支持架。
車体側に差し込む構造とするため、長めの真鍮線を張りつけている。

この時点では形状はかなり大まかなものであり、車体と砲身ラックを取り付けた上で仕上げの加工を行なうこととなる。
支持架を差し込んだ状態。

寸法は図面と現物との相対合わせて決めている。
予備砲身ラックを載せた状態。

塗装の利便性を考え、この段階では接着は行なわない。
後部の泥よけ板とフェンダーを繋ぐスプリングの作成。

細い真鍮線をコの字型に加工し、0.1mmの燐銅線を巻きつけてハンダで固定している。
車体側は所定位置に開口し、作成した部品を差し込めるように加工する。
車体前面の牽引用フック。

これらはキット付属パーツから大まかな寸法をとり、加工した真鍮板で組立てている。
車体に牽引用フックを取り付けた状態。

高強度瞬間接着剤で固定し、予備履帯固定具を取り付けている。
フェンダー上の装備品。

バールは真鍮線を加工して作成。他はレジン製のアフターパーツを使用した。
工具の固定部はタミヤパテの袋を細切り下ものを瞬間接着剤で張りつけている。

ノテックライトはアベールのレジンパーツであるが、取り付け強度を得る為に軸は真鍮線に置き換え、フェンダー側には真鍮パイプを埋め込んで嵌め込み式にし ている。

エンジン始動用クランクと履帯固定用工具は真鍮材から作成。
斧とジャッキはアベールのレジンパーツである。
予備履帯ラックの寸法が微妙に大きかった為、2mmほど切り詰めて調整を行っ た。
ハンダで貼り直すと同時に、真鍮板で裏打ちして強度を保っている。
後部泥よけのリベットパターンが再現できていなかった為、新たに真鍮板から パーツを作成した。
リベット跡は罫書き針を裏から押し当てて付けている。
概ね工作が完了した段階。

あとは車体側の機銃の作成を残すのみである。

2008.3.2  基本色塗 装
車体前面の機銃を制作する。
真鍮パイプから部品を切り出しハンダで固定する。
塗装作業に入る。
写真の様な部品分割で塗装作業を行なう。
下地剤としてマルチプライマーを吹く。
傷の隠蔽と下地色の統一のため、サーフェイサーを吹く。
影の部位にレッドブラウンを吹く。
砲塔内部と外周の色合いを大きく代えたいため、内部は全てレッドブラウンを吹 いた。
基本色となるダークイエローを吹く。
今回は大戦後期の2色 or 3色迷彩を予定している。

使用してた塗料はグンゼのダークイエローである。スケール効果の話になると色合いが濃過ぎると言われることになるが、この色に様々な色彩調整をすることで 出て来る雰囲気が好きであり、いつも原色のまま使用している。
迷彩を施す前に仮組した状態。
迷彩は砲塔と車体に施すため、主砲の塗り分けは先行して行なってみた。

複数の素材を組み合わせて創りあげたハイブリッドな雰囲気も好きではあるが、塗装により全体に統一感が出ているこの状態も好きである。
今回は時間切れで基本色までで作業を区切った。
迷彩柄のリサーチも十分にできておらず、 しばらくは資料を眺めつつイメージを 膨らませてから迷彩に取り掛かる予定である。

塗装途上の模型に埃が付着することを防ぐ為、写真の様に分解してアクリルケースに保管した。



2008.8.19  迷彩
長らく作業が停止していたがようやく環境が整い再開することができた。
基本塗装までは完了していたため今回は三色迷彩を行なう。

これまではMr.カラーを使用していたが、今回はテストも兼ねてガイアノーツの「ドイツ戦車3色迷彩セット」に含まれるオリーブグリーンとレッドブラウン を使用する。
使用するのはこの2色。
色味的にはMr.カラーの同色よりやや明るい感じがする。
オリーブグリーンで波線状の迷彩を施す。

過去に使用したオリーブグリーン系塗料全てに共通して細吹きが非常に難しいという問題がある。
オリーブグリーンは他の色と異なり細吹きを行なうとすぐに目詰まりを起し、更には塗装面には飛沫が飛び散りやすいという現象が発生する。
残念ながらガイアノーツの塗料もこの傾向は変らず、今回もこの問題に悩まされることとなった。

細吹きが難しいことから、これまでと同様に太くなりすぎた箇所はレッドブラウンの上塗りで補正することを前提に迷彩のラインを吹いた。
オリーブグリーンのラインを補正しつつレッドブラウンの迷彩を吹く。

今回は特に参考とした実車があるわけではなく、複数の実車写真を見つつ3色の比率を2:1:1程度になるよう適当に吹いてみた。
久々のエアブラシ利用とリサーチ不足が重なって、迷彩の雰囲気は今一つといっ た感じである。
かといって、やり直すほど不満でもないため、まずはこの状態で作業を進めてみることとした。
履帯はドラゴンモデル社のIV号駆逐戦車のキットから拝借した。
塗装はフラットブラックを吹いたのみである。
足回りを組み立てつつ、装備品類の塗り分けを専行して行った。
水性塗料を使用し金属製の工具類はフラットブラック、木目は下地色としてホワイトを筆塗りしている。
取り付けられる部品を付けた状態で全体のバランスをみる。
照明の関係で写真の色合いがまちまちになってしまっているが、この写真の色が現物に一番近い色味である。

色調の調整を一切していないため基本色と迷彩の明度のバランスが悪いが、全体としては大きな修正が必要となる箇所は無いためこのまま作業を続行する。


2008.9.26  履帯
当初の予定を変更し、履帯のパーツ取りに使ったドラゴン製 1/72 IV号駆逐車のキットから上部支持輪も調達することとにした。
パーツの出来は素晴らしく、軽く塗装をするだけで十分なクオリティになるのは最近のキットならではである。
このパーツを自作する事を考えると、パーツ取りでキットを買う方が手軽ではあるが、部品を抜かれて歯抜け状態になったキットを見ると罪悪感が涌いてく る・・・・
ドラゴン製のゴム履帯はモールド・薄さ・張力共に素晴らしく、手軽な工作で十 分な見栄えとなった。
1/72用であることから起動輪の歯は合わないため、ポイントとなる箇所のみ噛み合わせ、邪魔になる歯は切り飛ばしている。
履帯を付け、やっと完成形となった。
作成途上のIV号戦車 H型と並べてみる。
余った履帯を組み合わせて予備履帯を作ってみた。
やや寸法が大きい気がするのはご愛敬。。
2008.12.29  仕上げ
ぺトロールで溶いた油彩で全体の色調を整えたあと、車体にマーキングを入れる。
ヴィルベルヴィントは大戦末期の混乱期に生産・使用された車両であったため、現存している写真では鉄十字と砲塔番号のみで明確な部隊章が施されていない車両が多い。
今回は写真資料で多く見られた背面と側面の鉄十字と赤文字に白枠の砲塔番号のみを施した。
車体の剥げとエッジの強調を目的とした塗装を行なう。
下地がラッカーであるため、仕上げで上塗りする部位は主にエナメルや水性塗料を使用している。
色調調整の定番と化しているコピックマーカーで陰影を付ける。
カラーレスブレンダーで色を延ばし、済みに色を溜めると同時に全体に馴染ませてゆく。
全体の色調が納得の行く段階まで馴染んだら、次に細部の塗り分けを行なう。
ハッチの内側はガイアノーツのインテリアカラーで再塗装を行なう。
転輪は単色塗装をしていたため、コピックマーカーで迷彩と似せた色を乗せた。
使用した色はE33 Sand、G94 Grayish Oliveの2色。Grayish Oliveは他の車両で迷彩に使用したこともあり、色調調整したあとの3色迷彩との馴染みが良い色と考えている。
排気管は従来のパステルによる塗装ではなく、グンゼのウェザリングカラーセットからラスト(錆色)をそのまま使用してみた。
専用色として売り出されているだけあって、普通に塗っただけでそれらしい雰囲気になるのは流石である。
剥げ塗装の修正と全体のバランス調整のため、ラストを所々に乗せる。
一通り塗装を終えたあと、最終的な色調を整えるために再度コピックマーカーを使用した調整行なう。
足回りの汚れはMIG Productionsのピグメントを使用する。
アクリル溶剤を塗布した上にピグメントを乗せ、生乾きの状態になった段階で筆で払い落とす。
足かけ2年半でようやく完成した。
ヴィルベルヴィントは出戻り直後から作りたい車両のトップに位置していたため、完成は感慨深いものがある。
奇しくも車体に使用したフジミの4号戦車J型は2003年のサイト開設時に最初の作品として掲載したキットであり、その時から蓄積した技術を全てつぎ込んで今回の完成に繋がっていることから、5年かけてようやくこの車両を納得の行くクオリティで作れるだけの技術に辿り着けたと感じている。