Sd.kfz.162 Panzerjager IV L/70(V) "Lang"
IV号駆逐戦車 ラング(V) (70口径7.5cmPaK42)

2003.05.23  キット内容確認
まずはキット内容の確認。
キットに含まれるのはランナー2枚分のパーツとゴム製履帯、そしてデカールである。パーツ構成はシンプルだが、溶接跡やリベットのモールドがしっかりと成形されている点が好印象である。起動輪・転輪・主砲固定具の肉貫もしっかり再現されており、フジミのキットとは大違いである(暴言
ただし防盾の形状がやや納得が行かないため、キットのパーツにパテ盛りをして成形するか、積みプラになっているヘッツァーのキットから調達するか迷うところである。シェルツェンは形状は良いものの厚みがあるため、真鍮板を使用して作り起こしを考えている。また、背面の排気管の形状は許せないので、こちらも作り直しが必要である。

2003.06.06  装備品類
暫く更新していなかったが、この間に車体上面の装備品と細かいディティールの修正作業を行なってた。
この車両は装備品類の取付け位置がエンジンルームの上部となり、工具類が目立つ形となっている。キットはこれら装備品類が一体成形で再現されていたが、エッジが甘く立体感も乏しいため作り直しを行った。定番の真鍮線とプラ材による工作と、型思いとポリパテによって複製したパーツを使用している。予備転輪は留め具の再現のため付属するパーツは使用せず、キットの転輪を複製したものを張り合わせている。また、戦闘室上のハッチ周辺にも手を入れている。

2003.06.19  仮組
一通りシャーシのディティールアップが完了したので仮組を行なう。
主砲は1/72用の既製品と換装したがサイズ的な違和感は余りないので一安心。防盾は鋳造品のテクスチャを再現するため浮きパテを使用した。主砲支持架はキット付属のものをベースにディティールアップと取付け位置の変更を行うと同時に真鍮パイプを用いて稼動できる様に変更した。小型駆逐戦車の主砲支持架は大型駆逐戦車と比べて簡素であることから稼動させることが容易である。
一通り修正予定箇所は手を入れたので、残りは足回りとシェルツェンの取付けで完成となる予定である。

2003.06.21  シェルツェン取付具
車体側面のシェルツェン取付具の作成。
片面8個、計16個の取付具をプラ材からの切り出し、キットのモールドに沿って取付を行った。この後、シェルツェンはこの取付具に引っ掛けるイメージで取付を行なう。構造的には実写を参考としており、シェルツェン自体の着脱も可能である。

2003.06.22  シェルツェン
シェルツェンは0.5mm真鍮板を切り出して作成。片面4片で形状は3パターンあり、裏面には2箇所ずつ取付用金具を取付ている。

2003.06.23  シェルツェン取付
シェルツェンを取付た状態。L70のシェルツェン装備状態での実車写真が手元に無いため、L48の写真とL70試作車の写真にて寸法合わせを行った。
シェルツェンの取付機構は実車に沿った方式を採用している。

2003.06.28  下地塗装
下地塗装を終えた状態。定番の手順ではあるが、サーフェイサー(Mr.サーフェイサー 1000)を吹いた上に、影となる部分にレッドブラウン(XF-64)を吹き、最後に全体を覆うイメージでダークイエロー(XF-60)、を吹いている。
シェルツェン等の金属部はメタルプライマーを吹いた上で、上記の塗装を行った。プライマーを吹いてはいても、薄い真鍮板に塗料の被膜を作ることは難しく、着脱時に真鍮板が歪んだ結果、塗装被膜が剥がれてしまうことが起きたため、塗り直しを行なうこととなった。

本来であればこの後に迷彩を行なう事となるが、前回の塗装経験からエア缶での迷彩は困難が大いため、続きはコンプレッサを購入してから行なうこととした。

2003.10.10  迷彩
コンプレッサを購入したので、3ヵ月半ぶりの作業再開。
ラングは対戦末期の車両であるため、三色迷彩はダークイエロー、レッドブラウン、オリーブグリーンとなる。またこの時期の三色迷彩はダークイエローの比率が少ない為、ブラウンとグリーンの比率を多めに取るようにしている。
履帯の取付もこの段階で行った。キット付属のゴム製履帯にダークグレーを吹き、乾燥後に取付を行なっている。本キットの履帯接合はフジミのキットよりも容易かつ強固な方式を採用しており、組み立てが容易であった。
下地のダークイエローをラッカー系の塗料で吹き直し、その上にオリーブグリーンの迷彩を吹いた状態。
塗装に際してはシェルツェンは取り外して車体への塗装を行った後、シェルツェンを取付て車体側の塗装の延長線上に位置合わせを行いながら塗装している。

2003.10.28  再塗装
再塗装を行なう。
前回の塗装を隠蔽する為、下地から吹き直している。
こちらは基本色のダークイエローを吹いた状態。
写真には写っていないが、前回塗料の乗りが悪かった砲身は塗装を全て剥がし、メタルプライマーとサーフェイサーでしっかりと下地を作り直している。
影となる部分にブラウンを吹いた状態。
足回りをマスキングした後、サーフェイサーを吹いた状態。塗装の為、砲身は防盾共々取り外している。

2003.10.31  迷彩
オリーブグリーンとレッドブラウンの三色迷彩。
迷彩の参考は『GRUND POWER 1998.8号』に掲載されている西部戦線でイギリス軍に鹵獲された車両である。この車両は全角度から撮影された写真が残っている為、パターンのサンプルとしては理想的な資料である。しかし残念なことに、この時期の写真は一部の例外を除いてほぼ全てモノクロであることから、細かい色の境界線は判別できなかった。
塗装手順の参考例。
今回はシェルツェンを着脱可能にしているため、本体の迷彩を先に行い、その後にシェルツェンを取付て迷彩を施している。
塗装順は隠蔽度の薄い色から順に行なう為、ダークイエロー、オリーブグリーン、レッドブラウンの順になる。
同上のサンプル写真。
オリーブグリーンとレッドブラウンを塗り分けるだけでなく、オリーブグリーンの上にレッドブランを吹くパターンがもある。
本体の迷彩。写真は完了した段階のものであるが、オリーブグリーン、レッドブラウンの順に吹いている。
このスケールでの塗装となると250mm x 250mm程度の面積が作業対象となるわけだが、気圧を0.1MPa程度で4:1程度に希薄した塗料を少量ずつ吹きつける方法を取っている。色の濃度がなかなか出て来ないが、とりあえずは当りを付け、その後の濃度を上げる為に塗料を重ねていく感じで行なっている。
しかしながら、まだまだ技量が足りないことを痛感。。
迷彩の事前準備として用意したパターン用紙。
三面図をスキャンした物を印刷し、実写の写真を参考にパターンを入れている。モノクロ写真を見ながらパターンを読み取って塗装を行なうことは不可能に近いため、この準備は重要である。
この図の通りに吹けるかは技量次第である(^^;

2003.11.01  装備品塗装
予備履帯と予備転輪を取付け、装備品類の塗装を行なう。
各装備品の塗装は以下の通り。

予備履帯:下地の上にブラックグレーとジャーマングレーの混合色
予備転輪:ダークイエローを吹いた上で、ゴム部をフラットブラックで塗装
ジャッキ:下地の上にブラックグレーで塗装
工具類:金属部はガンメタルで塗装。木製の部位はアクリルのダークイエローを下地に、エナメルのオレンジにイエローの混合させ、黄色味を強くして塗装

今回は装備品の塗り分けを行なったが、実車の写真では車体に取付けたまま迷彩を行い、工具類も迷彩されてしまっている例が多くある。しかし模型としては塗り分けた方が見栄えが良い為、悩みどころではある。

2003.11.02  ウォッシング
デカール張りとウォッシング。
キット付属のデカールは劣化が激しかったため、BISON DECALS製1:72/1:76用デカールを使用。国産のデカールと比べると粘着力弱いので「Mr マークセッター」を使用した。
ウォッシングは油彩のローアンバーとバートンアンバー、溶剤はぺトロールを使用している。

2003.11.03  ウェザリング
ウェザリングはパステルに加えてピグメント、グラファイト鉛筆、ウェザリングカラーセットのマッド(泥)とラスト(錆)を使用。
足回りの土汚れはパステルとピグメントを乗せ、希薄したマッドを軽めに吹いている。車体上部・フェンダー等は塗料剥げの表現としてグラファイト鉛筆を綿棒で乗せている。

2003.11.04  コーティング
パステルの定着と塗装面を保護する為、つや消しクリアーを全体に吹く。つや消しクリアーはGSIクレオスの水性塗料をラッカー薄め液で希薄して使用。
クリアーを吹くとパステルが白ばんでしまうので、仕上げとして足回りにマッドを軽く吹いている。
休止期間も含めて完成まで足かけ6ヵ月かかった。今回は真鍮板を用いた工作の最初の制作として多々反省点がある出来だが、先日同じキットをもう一つ入手できたので再挑戦も可能である。