Sd.kfz.173 Panzerjager V "Jagdpanther" Late Model
V号駆逐戦車 G2(後期型) ヤークトパンター

2009.11.29 下地作 業・主砲組立て
キットはランナー2枚とゴム製履帯で構成されている。
片側のランナーはベースの地面パーツと転輪のみであるため、車体のパーツはランナー1枚分ということになる。

車外装備品はほぼ無く、わずかにクリーニングロッドのケースと燃料タンクが付いている程度であった。
車体の構成パーツ。

典型的な箱組み車体だが、戦闘室上部やエンジンルームのデティールは素晴らしい出来栄えとなっている。
しかし、車体後部や足回りは申し訳程度となっており、明らかに力を抜いて造形された感がある。
足回りは押し出しピン跡が露骨に付いているため、パテ埋めで修正する必要がある。
パンターは大き目の転輪を装備していることもあり、I〜IV号戦車と比べて足回りは簡素である。このため、この程度の造形でも、組んでしまえばさほど気に はならないかもしれない。
車体後部は微妙にやる気の無さを感じる作りとなっている。

ジャッキはどうにもならない作りのため、アフターパーツへの置き換えが必要となり、雑具箱は形状がおかしい上に凹凸のモールドが逆転している。下部のクラ ンクハッチ類はそこそこの出来だが、こちらも多少は手直しが必要となりそうだ。
パーツの合いはさほど悪くはないが段差ができる箇所もあるため、組立後の調整は必要となる。
車体側面。
車外装備品や予備履帯のラックが申し訳程度に造形されている。
車体側面の広い面には鋳造装甲特有の雰囲気を再現するため、下地処理としてモールドを切除してヤスリがけで面を出した。
流し込み式の接着剤を塗布し、筆で叩いて鋳造跡のモールドを付ける。
この作業は数回繰り返すことで、均一にならない独特の凹凸が表面に付けることができる。
砲身はアルミ挽きのアフターパーツに変更する。

ヤークトパンターの主砲はティーガーIIの主砲と同じ88mm PAK(KwK 43 L/71)であることから、ABER製の1/72 ティーガーII用パーツを使用した。
ABERの製品は真鍮製のマズルブレーキが付属するため、非常に扱いやすいパーツである。
キットパーツとの比較。

付属パーツでもそこそこのクオリティなのだが、やはり金属製のアフターパーツと比較すると分が悪い。
1/72のアフターパーツと比較すると、何故かマズルブレーキはキットパーツの方が大きく、駐退機構は小さいという不思議な寸法であった。
キット側との接合のには付属パーツの構造をそのまま利用することとした。
付属パーツのボールジョイント部を切り離し、真鍮線を軸にアフターパーツ側に取付る方式を取った。
細かい隙間などは防盾の固定位置などで誤魔化す予定である。
防盾には砲身取付方向を間違わないための切りかけが用意されている。

この切りかけは不要なため、写真の用にプラ材で埋めてしまった。
主砲と防盾。

防盾側の穴と主砲は奇麗にマッチしたため、特に加工は必要がなかった。
車体側の接合部は写真の様なボールジョイント構造となる。

ポリキャップなどが無かった時代にはこの様なプラ製のボールジョイントはよく見かけたが、経年劣化で徐々に保持力が下がるという問題がある。
特に今回は重量のあるアルミ挽き砲身を取付るため、何らかの措置を考えておいた方が良いかも知れない。
車体に取付てバランスを確認する。

1/72の砲身だが、全くと言って良いほど違和感が無い。

2009.12.05 装甲表現・機銃マウント
装甲表現の作り方を書いてみる。

装甲板特有の微妙な凹凸を再現する際には、作業面が広いほど容易に行なうことができる。このため、下地処理として一体成形されたOVM等は全て切り落と し、ヤスリで面出しを行う。

下準備を行った面に対して流し込み式接着剤を塗布し、先端を平面に加工した筆で叩いて凹凸を付けてゆく。
一度の工程では十分な凹凸を付けることは難しいため、作業は数回繰り返して行なう。作業を繰り返す内にモールドがランダムに付く。
使用した接着剤はタミヤセメントの流し込みタイプ。
塗布する際には揮発した溶剤の臭いがキツいため、換気を良くして行なった方が良い。

今回は試しにリモネン酸の接着剤も使用してみたが、プラの溶解速度や揮発性の悪さ(数日過ぎても溶解面が硬化しない)などもあり、この様な用途には適して いなかった。
モールドを付ける筆は写真の様な物を使う。
毛質はやや固めが適しており、先端を切り飛ばして平面にして使用している。
車体正面にある機銃マウントの工作。

キットでは写真の凹部に嵌め込むパーツが付いているが、出来は余り良くない。
キットパーツを接着し、機銃部を切り飛ばした状態。
適度に溶解させたプラで隙間を埋めて、ヤスリで面を出す。
機銃孔を彫り込む。
実車の写真や図面を参考に彫刻刀で当たりをつけ、少しずつ彫り込んでゆく。

彫り込みが十分に済んだ段階で流し込み式接着剤を塗布し、彫刻刀の傷痕を修復する。
機銃孔の中は段差が付けられているため、2mm幅のプラ材を貼り込む。

次に、機銃マウントの溶接跡を再現するため、機銃マウントと前面装甲の隙間に溝を彫り込む。
隙間にEverGreenのプラ材を張りつける。
流し込み式接着剤を使用し、張りつけたプラ材をふやけさせる。
ふやけたプラ材を彫刻刀で潰して、溶接跡のモールドを再現する。
使用する彫刻刀はこの様な刃を持つ物が便利である。
機銃マウントが完成した正体。
銃身はトライスターの1/72 ドイツ戦車用OVMパーツセットに含まれている物を使用した。

2009.12.08 エンジンルーム工作1
エンジンルーム周辺の工作を始める。
素の状態でもそれなりにしっかりと成形されているのだが、この時代の技術的限界が各所に垣間見える。

工作の基本方針としては、キットをベースに細部を新造パーツで置き換えて精密感を出すことである。自然と小さいパーツが多くなるため、金属材での工作に適 している。
戦闘室後部のハッチを作り込む。
ハッチそのものはキットの形状を活用し、成形が甘い箇所を中心に手を入れている。

ハッチの軸部分は成形上の限界で酷い形になっていたため、真鍮材に置き換えた。
エンジンルームのハッチ上の小物も真鍮材に置き換える。

まずは手頃な把手類を置き換えた。

2009.12.17 エンジンルーム工作2
キットのエンジンルームはパンターG型 後期型の仕様で成型されている。全体の形や部品の配置はほぼ正確であるため、大幅な改造はせずに、細部の作りこみでクオリティを上げてゆく方針とした。
エンジンルームのボルト・リベット類を置き換えるため、アドラーズネスト社の アフターパーツを今回初めて使用した。
写真は六角ボルトのアフターパーツで、販売時には9個パーツが1本の棒状になって提供されている。
六角ボルトを部品として切り出した状態。
素材は真鍮であるため、デザインナイフやニッパで簡単に切り出せる。切り出した後は、ボルトのヘッドが平面になるように切り口をヤスリで整える必要があ る。
排気口周辺のボルトを置き換えた状態。
キットに成型されているボルトのモールドを削り落とし、0.3mmのピンバイスで開口した後、六角ボルトのパーツを差し込んでゆく。接着はパーツの裏側に 飛び出した六角ボルトの軸に瞬間接着剤をつけて固定している。
エンジンルームは六角ボルトの他に凹部に収まるような形のボルトが使用されて いる。これの再現するために、丸頭のリベット再現用のパーツを使用した。
これもアドラーズネストの製品だが、素材はステンレスとなっており、写真の様に1パーツ毎に分離した状態で販売されている。
使用する場所はエンジンルーム中央の装甲板を固定しているボルトとなる。
アフターパーツの寸法はヘッドが0.5mm、軸が0.3mmとなっている。実 写の写真によると、ヘッドが装甲上に飛び出さないような工夫がされているため、まずは1mmのピンバイスで軽くえぐる様に凹モールドをつけた。
次に、凹部の中央に0.3mmの穴を開け、ここにパーツを差し込む形にする。
パーツを取り付けた状態。
形状的には1mmの凹部の中に0.5mmの凸部(ボルトヘッド)がある状態となり、装甲表面よりもボルトヘッドが飛び出さない形となる。
まずは一辺でテストも兼ねた工作を行い、作業内容が安定したところで全体に対 して作業を適用した。
計25箇所もあるため、穴を開けるだけで一苦労である。
総数25個のボルトヘッドを埋め込んだ状態。
キットパーツを実車の図面と比べたところ、ボルトのモールド数がそもそも足りておらず、実車と数が合うように取り付け位置を再計算した上で作業を行ってい る。
見てくれは良くなるのだが、塗装をしてしまうと分からなくなると思われ、しんどい作業をしてまで再現するかどうかは悩ましいところである。

2010.08.28 マッドガードとフェンダー
半年ぶりくらいになるが、制作を再開した。

ヤークトパンターのフェンダーに相当するか否かは謎だが、シェルツェンの支持架を兼ねたL字甲が車体の左右に取り付けられている。
実際には4分割されていたようだが、作成の利便性を優先して1パーツで作成する。
まずは、細く切り出した真鍮板をL字に曲げ加工を行う。
車体への接合は真鍮線の軸にて行う。
適当な箇所に4本の真鍮線を取り付けた。
軸の長さを適当に調整する。
取り付け時の利便性を考えると、軸の長さは均一にはせずに多少長さを変えておいた方が良い。
車体に取り付けた状態。

車体側には軸の受け穴を用意し、軸を差し込む形で固定する。
軸は車体の内側に飛び出す構造となるため、裏面から瞬間接着剤を使用して固定している。
次に車体前部のマッドガードを作成する。

このパーツはマッチボックスのキットには付属しておらず、フジミのキットを参考に寸法を計りつつ作成する。
元となる真鍮板を切り出した状態。
外側となる方向をL字に曲げ加工する。
裏側より罫書き針を使用して凸モールドを形成する。
L字に加工した側面に切り目を入れ、曲げ加工が行える状態にする。
工具の持ち手などを使用してアールを付ける。
側面の切り込みを多く入れたほうが綺麗なアールが付けられるが、パーツの寸法や器具の関係で、今回はこの程度のクオリティで満足した。
左右一対分のパーツを作成する。
本来はコの字型のパーツなのだが、曲げ加工の限界から車体側の面は別パーツを 貼り付ける形で再現する。

車体との接合も真鍮板を貼り付ける形を想定しており、こちらもまとめてハンダ付けした。
左右共に同様の加工を行う。
別パーツ化した部位の余剰箇所を切除し、ヤスリで面を整える。
車体に仮止めを行い、寸法を確認する。
完成度としてはこんなものかなという感じ。

2010.10.17 エンジンルーム・戦闘室上部の工作
2ヶ月ほどかけて細々と作りためた作業を掲載。

エンジンルーム上部のルーパーには異物混入を防ぐためのメッシュが貼らられており、今回はこれの再現を試みる。
使用するのはファインモールド製のエッチングメッシュである。
メッシュの外周は枠が設けられているため、端の一穴分のみハンダで潰した。
この素材には本来はハンダが着かないのだが、フラックスを塗布した上で厚めにハンダを乗せて強引に穴を塞いでいる。
余剰なハンダをヤスリで削り落とした状態。
四隅は固定用として穴を復活させている。
車体に取り付けた状態。
固定穴の位置であたりを付け、本体側に真鍮線を埋め込み、真鍮線を固定軸としてメッシュを乗せた。
排気管の作成。
キットパーツの寸法を元に切り出した真鍮パイプに曲げ加工を行ない、アール部をハンダで埋めた。余剰のハンダはこの後ヤスリで切除し、パーツとしては完成する。
車体に取り付けた状態。
末期の生産車では、排気管により大型のマフラーが付いたものが一般的の様だが、工作に手間取りそうなので今回は排気管と排気管カバーのみの制作に留める予定である。
戦闘室上部のハッチは真鍮材でつくり直すこととした。
キットパーツを元に真鍮板を切り出し、円形に加工したあと、ハッチの分かれ目をヤスリで彫り込んだ。
当初はハッチを開閉可能な可動式にすることを考えていたのだが、構造上の無理があることから、今回は閉鎖状態で固定することとした。
戦闘室上部の工作。
ペリスコープガードを真鍮板で作り直した他、細かい箇所に手を入れている。
アンテナの作成。
キットの基部を切除したあと、他のパーツとのバランスを考慮して作り直しを行った。
真鍮材の基部は車体に食い込むように調整し、位置の確定後に瞬間接着剤で固定した。
アンテナの軸部分はアフターパーツを使用した。

2010.10.26 装備品の作成
装備品の作成。
キットには装備品類はほとんど付属しないため、アフターパーツとスクラッチで作成することとした。
写真はレジン製のアフターパーツ各種。1/72用のものなので、ややオーバースケールな感があるが、多少手を入れて調整を行う。
キットには付属しないジャック台の作成。
EverGreenのプラ材を積層して適度な大きさと厚みを持つベース材を作成し、罫書き針で木目を掘り込む。
固定用の枠はパテの袋材を細く切り出し、巻きつけた後に瞬間接着剤で固定した。
予備履帯は、履帯の部品取り用に調達したトランペッターの1/72キットより拝借した。
形状は悪くないのだが、一番目立つ位置に押し出しピン後があり、日本製のキットではありえないような劣悪な設計といえる。
押し出しピン後はパテで埋め、キットの本来の取り付け部を切除した上で、最上部の履帯ピンを金属線で再現してみた。
キットパーツは三枚繋がって1パーツとなっているが、これをばらばらに切り離して一枚ずつ仕上げてゆく。
加工時に欠損した箇所はプラ材で修復し、ピンバイスで貫通する穴を開けた後に金属線を通して固定した。。
主砲清掃用のロッドを格納するケースはスクラッチすることとした。
キット付属のパーツは出来も寸法も微妙であったため、円柱のプラ材を中心にプラと金属材で作り直した。
車体への固定具は細く切り出した真鍮板を曲げ加工して作成。
予備履帯のラックを作成する。
予備履帯はエンジンルーム側面に片面に3枚ずつの予備履帯を取り付けられるラックが装備されている。これは簡易な構造で、履帯を引っ掛けるコの字型の取り付け部が6コ並んで一つのラックを形成している。
強度と精度から金属材でのスクラッチがベストと考え、まずは必要となるサイズの真鍮板を切り出す。
次に、ベース材には取り付け位置を罫書き針で書き込み、ベース材よりも細く切り出した真鍮板をコの字型に加工する。
マスキングテープで動かないように固定したベース材にコの字型の部材をハンダ付けする。
この様な作業の際のコツは、ピンセットでつまむことが出来るコの字材の接着面にフラックスを塗布し、薄くハンダを乗せる。
次にベース材の取り付け位置に軽くフラックスを塗布し、コの字材の位置を合わせた上で、コの字材にハンダゴテを当てて、先に形成したハンダ層を溶解させてベース材と接着する。
この様な部品をハンダ付けで作成する際には、接着する順番が作業効率に影響する。
既に取り付けた部品にハンダゴテで当たって熱されてしまうと部品が剥がれてしまう為、中央の部品から外に向けて順に接着することで、この様な事故を防ぐことができる。
左右一対のラックが完成。
履帯固定用のコの字部はやや余剰を持たせており、実際に予備履帯を取り付けながら長さを調整する。
予備履帯を取り付けた状態。
寸法的な問題が若干発生したが、一応期待通りの形に仕上がった。

2010.11.07 工作の仕上げ
予備履帯のラックを車体へ取り付ける。
接着面が広かったことから高強度瞬間接着剤を使用して取り付けたが、接着強度はいまひとつという感じであった。本来は取り付け位置にピンバイスで開口して軸線を通す方がよいのだが、今回は車体の上下面を接着してしまった後で裏面からの処理が出来ないため諦めた。
予備履帯を取り付けた状態。
寸法の問題で、実は片面3枚を取り付けるだけのスペースがなかったりする。
クリーニング用ロッドの収納具。
こちらの取り付け具は強度が必要であったことから、軸線をハンダ付けした上で車体に差し込む方式とした。
車体へ取り付けた状態。
収納ケースと取り付け具は瞬間接着剤で固定しているため、やや脆い作りとなってしまった。
車体背面の装備品類。
エンジン始動用クランクは真鍮線を加工して作成したが、ワイヤーカッターなどはアフターパーツを使用した。
排気管の中央にジャッキを取り付ける。
1/72のキットから徴発した部品のため、ややオーバースケール気味なのだが、他に選択肢が無いためこれで諦める。
戦闘室背面にシャベルと消火器を取り付ける。
共にレジン製のアフターパーツでスケールは1/72なのだが、取り付けてみるとさほどスケール的な違和感は無い様に感じる。
マッドガード上のボッシュライト。
ライトの部品は1/72キットから徴発し、固定軸はWAVEの丸ノズルを改造して使用した。ライトのケーブルは細い燐銅線を使用して再現してみた。
車体側面のジャッキ台とバール。
取り付け具の構造が図面から読み解けなかったため、かなり適当な形状になっている。(斜めの面の構造物は三面図からでは意外と読み解きにくい・・・)
全てスクラッチであるが、寸法的には大きな狂いは無かったようである。
工作が完了した状態。
次回からは塗装に入る。

2010.11.15 下地塗装
作り忘れていた牽引用のワイヤーを自作する。
ワイヤー部には過去にも利用実績があるステンレス製のワイヤーを使用する。適度な長さに切断したあと、切断面にハンダを流し込み、切断面からワイヤーがバラけることを防ぐ工作を行った。
フック部は真鍮材で作成する。
フックを固定した状態。
本来の形とは細かいところが違うのだが、今回はここまでで良しとした。
車体へ仮止めしてみる。
寸法上の問題は無いのだが、ワイヤー部の張力が強いため、実際に固定する際にはある程度形を固めてから取り付ける必要がありそうだ。
塗装に着手する。
今回はArmourModelling No.131(2010/9)の特集に掲載されていた、エアブラシのみを使用した塗装にチャレンジする。今回は大戦末期に見られる、錆止め塗料を迷彩色の一部として使用された塗装を行うこととした。
雑誌には同様のコンセプトのヤークトティーガーの塗装例が掲載されており、そこに記載された塗装順を踏んでみるつもりである。

まずはマルチプライマーを吹き、各素材への塗料が吸着しやすい下地を形成する。
次にサーフェイサー(1200番)を吹き、全体の色調を統一する。
これにより塗装が素材色の影響を受けることを防ぐことができる。
プレシェーディングを行う。
使用した塗料はブラウンとマットブラックの混合色で、陰になる箇所、入り組んだ箇所、強調したいラインに沿って色を乗せる。
プレシェーディングと同じ塗料を転輪へ吹く。
転輪を組み付けた状態。
転輪のパーツをランナーから外す際と形を整える際に塗料が剥げるが、これは後ほどもう一度吹きなおすことで解消する。
下地色となるオキサイドレッドを吹く。
使用した塗料はガイアノーツの同色で、吹いた直後は暗い印象の色合いとなるが、乾燥すると以外に赤みの強い明るい色調に変化した。

2010.11.22 迷彩と仕上げ
予備履帯と牽引ワイヤーにダークグレーを吹く。
これは下地色であるため、車体に取り付けた後に改めて塗装を行う。
アンバランス感を出すため、砲身は車体とは異なる塗装を行う。
当初から構想していれば砲身と防楯は分離できるようにしておくことが出来たのだが、接着してしまったためマスキングテープを使い塗り分けを行うこととした。
砲身の下地色はダークグレーとした。
これは大戦末期の車両に見られる、砲身に耐熱塗料のみが塗布された状態を意識しており、この上に車体の迷彩色を薄く吹くことで、車体とは異なる色調の迷彩を行うことを意図している。
砲身と車体を組み合わせた状態。
車体側をオキサイドレッドの単色迷彩とする場合は、この組み合わせの雰囲気も良いかもしれない。
砲身に迷彩色を吹く。
かなり希薄したアクリル塗料のダークイエローを吹いた。写真の状態に至るには5〜6回は重ねて吹いており、下地の色調を残しつつ、迷彩色を乗せる工夫をしている。
車体の迷彩を行う。
車体下部の本来はシェルツェンで隠れる部分には迷彩を行わないため、マスキングを行う。
車体への迷彩を行う。
大戦末期に見られるオキサイドレッドと薄いダークイエローの二色迷彩とした。
超級技術指南で有名な高石氏の作例を塗装の参考としており、奇しくも本キットのパッケージも同様の迷彩が描かれていた。
従来使用していたラッカー系のダークイエローでは色調が濃いことから、今回はタミヤのアクリル塗料を使用してみた。エアブラシでの吹き具合としては、ラッカー塗料よりも飛散する粒子が多く、意図せぬところまで薄く色付いていしまう傾向が見られた。塗装後には飛散粒子の影響を低減するため、オキサイドレッドの箇所はアクリル溶剤で軽く洗浄している。
ポストシェーディングを吹く。
フラットブラックにオリーブドラブを混ぜた薄い塗料を作り、塗装の陰影を付けたい箇所を中心に色を乗せた。
ポストシェーディングは影をつける作業であるため、影となる箇所に吹くイメージを持っていたのだが、今回は全体としてハイライトにしない場所全体に吹くような使い方をしてみた。
実際の効果は・・・というと、この後に行ったウォッシングの影響で無効化されてしまった。
装備品の木製部分の下地色として、ホワイトを筆塗りする。
油彩を使い、全体にウォッシングを施す。
今回はローアンバーをペトロールで溶いて使ったが、油彩の含有が多すぎたため、予定していたよりも濃い色合いになってしまった・・・
マーキングを施す。
マッチボックスのデカールと部品取りに使ったトランペッターのデカールの二種類があったのだが、マッチボックスのデカールはややオーバースケール気味であったため、トランペッターのものを使用してみた。
国籍証のマーキングは戦闘室の左右側面と、後部の雑具箱につけている。
戦術マークなどは大戦末期の混乱状態では施されてはいなかったのではないかと想像し、国籍証と砲塔番号のみとした。
デカールの光沢対策と全体の色調バランスの調整を兼ねて、つや消しクリアにタンを少量混ぜた塗料を全体に吹く。
履帯の塗装。
つや消しクリアにタンとピグメントを加えた塗料を全体に吹いた。色合い的には問題はなかったのだが、結果からするとこの段階よりも、車体に取り付けてから塗装を行う方が正解であった。
足回りのウェザリングとして、履帯と同様につや消しクリアにタンとピグメントを加えた塗料を吹く。
ピグメントを混ぜた塗料を吹く作業は始めてだったのだが、薄く均一に汚れを表現できることが分かった。塗装結果は良好だったのだが、エアブラシの目詰まりが発生し、洗浄には苦労することとなった・・・
履帯を取り付ける。
トランペッター製キットに含まれるゴム製の履帯は良く出来てはいるのだが、今回は塗装と取り付けの手順を間違えたため、固定するために非常に苦労することとなった。
履帯の接地面にはメタルカラーをドライブラシで乗せ、筆で磨いて金属的な光沢を出してみた。
仕上げとしてオキサイドレッドでエッジにドライブラシを施し、塗装で埋没した凸部を強調してみた。
もう少し手を入れても良かったのだが、最近はやりすぎの傾向があるため、今回はここまでで手を止めて完成とした。

作ってみた総論としては、旧マッチボックスのキットは少ない部品数で実車の雰囲気を巧みに表現しており、多少手を加えるだけで妥当な仕上がりになることを再確認した。素体はよいので、後はいかに作りこむかという形で楽しむには良いキットであると思われる。
今回は履帯の部品取りとしてトランペッター製の1/72キットを使用したが、こちらの製造技術に助けられて作りはよいのだが、目立つ位置に押し出しピン跡があったり、本来は成型できそうなモールドが適当に省略されていたりと、いろいろな問題を抱えていた。もちろん、素組みをすればトランペッターのキットの方が出来は良いのであろうが、一言で言えば配慮の足りないキットであると思う。

今回は新しい塗装技法のテストも兼ねていたため、必ずしも満足の行く結果とはいえない。しかし、今回試した技法は新しい表現方法として取り入れて行けそうな感触を得たため、次回作以降に反映させて行きたい。