Sd.kfz.181 Tiger I Ausf.E EalyModel
VI号重戦車 ティーガーI E型(初期生産車)

2010.11.22  計画立案
平成22年の干支(虎)もかけて、ティーガーIの初期生産車を作成する。
この車両に該当するキットはフジミ(旧日東)のW.Aシリーズでリリースされているが、さほど作りが良いという訳でもない為、S.W.Aの後期生産車のキットと掛け合わせた2個1で作成を行うこととする。

写真はW.AのティーガーIのキットである。パーツ点数ではS.W.Aのキットと大差は無いが、作りが古く組み立てにくい構造となっている。
こちらはS.W.Aのキット。
基本的な箱組み構造はW.Aのキットと大差はないのだが、パーツ分割を一部変更することで組み立てやすい設計となっている。また、W.Aのキットとは異なり、車外装備品類の成型も行われており、履帯はプラ製となっている。

基本的な作成方針は、W.Aからは砲塔と転輪、S.W.Aからは車体と履帯を使用することとした。

2010.12.06  基礎工作
車体の比較。
W.AとS.W.Aは共に中空になる箱組み構造なのだがパーツ分割が異なり、W.Aでは2ピースに分かれる側面パーツがS.W.Aは1体成型されており、組み立てやすさに劇的な変化が見られる。
W.Aの車体上面。
寸法に大きな狂いは無いが、車外装備品の造形は時代を感じさせる精度となっている。
操縦・無線手のハッチが別パーツ化されており、開閉いずれかを選択して作ることができる構造となっていた。また、溶接跡のモールドがしっかり成型されており、ややオーバー気味という感じである。
S.W.Aの車体上面。
車外装備品は繊細に造形されており、素組みでも十分なクオリティが確保される作りとなっている。今回は初期生産を作る上で残念ながらこれらの装備品のほとんどを切除することとなるため、切除後の処理が完成精度を変える事になると思われる。
切除する箇所にマークをつける。
図面を見ながら切除作業をすると、切除漏れ・切除間違いが発生するため、まずは図面とキットを見比べ、切除箇所に印を付けてゆくと作業ミスを抑えることができる。
初期型では配置が異なる装備品、及び初期型では装備されていないターレットガードを切除する。また、作り直しを行うハッチのペリスポープガードと牽引用ワイヤー類も切除する。
切除作業は、デザインナイフと彫刻刀で行い、ヤスリで仕上げを行う流れとなる。
いきなり彫刻刀を使うと掘り込みすぎてしまう危険性があるため、まずデザインナイフで凸部を徐々に切り剥がし、ある程度削れた状態で平面を出すために彫刻刀を使う手順となる。
切除とヤスリの面出しを行った後、面の均質化を計るため流し込み型の接着剤を塗布する。
これは切除作業とヤスリがけで荒れた表面を接着剤で溶かし、落ち着かせる効果がある。また、削り込みすぎて凹んだ箇所には切除したプラを裁断して接着剤に沈めることで、車体側と同一素材による穴埋めを行うことができる。
砲塔の比較。
W.Aの砲塔はハッチ類が全て別パーツとなっており、取り付け用の開口部が設けられている。
S.W.Aは後期型の背の低い車長用ハッチを初め、砲塔上部の構造物はほぼ全て成型されている。
写真の角度からは分かりにくいが、この二つの砲塔では決定的に異なる点があった。
二つの砲塔で最も異なる点は防楯取り付け箇所の幅である。
寸法的にはS.W.Aの方が正確であるため、当初砲塔はW.Aを使う方向で考えていたが、S.W.Aを使う方針へ変更することとした。
防楯パーツの比較。
キットとしての構造の違いはさておき、寸法の違いは致命的なレベルである。
砲塔後部の雑具箱の比較。
W.Aは初期型風の形状となっているが、上面には妙な角度が付いている。この部位も砲塔に合わせてS.W.Aのパーツを使用することとした。
砲塔のパーツにも切除箇所をマーキングする。
切除をおこなった状態。
当初はペリスコープを残していたが、想定していた生産時期には装備されていないことが分かり、こちらも切除することとなった。
砲塔中央部にあるベンチレータは切除すると大穴が開くため、プラ材で穴埋めをしている。
砲塔全体に手を加える。
砲塔の両側面にある突起は成型状態が甘いため虫ピンで置き換えた。また、砲塔側面の予備履帯を固定する穴はプラ版で裏から塞ぎ、エポパテで穴埋めをしている。
砲塔の左後部にピストルポート用の穴を開ける。
ピストルポートは後期型では廃止された装備であることからS.W.Aでは跡形も無く、開口位置の調整から作業を行う必要があった。
ピストルポートと雑具箱を取り付けた状態。
初期型車両に見受けられる特徴を再現するため、雑具箱の取り付け方法は側面からL字アングルで固定する方式とした。
実車においても、ピストルポートと雑具箱が干渉するため、一部の車両では雑具箱を切除して取り付けたとされているため、これを再現してみた。
砲塔側面の視察口は後期型の特徴を備えた形状であったため、切除してWAVEのアフターパーツと置き換えた。
砲は当初アルミ挽きのアフターパーツを使うことを考えていたが、S.W.Aの砲は非常に良く出来ているため、今回はキットパーツを素のまま使うこととした。
工作としては、縦割りで分割されたマズルブレーキ部を接着した後に、合わせ目をヤスリで落とし、ペーパーで仕上げてた後、デザインナイフで開口部を調整している。
防楯の工作。
照準孔は2つ穴タイプとし、防楯の形状は初期型に見られる補強が入った形状のものとした。
また、同軸機銃は真鍮パイプに置き換えている。