Sdkfz222 Light Armoured car Late Model - LSSAH Version
Sd.kfz.222 軽装甲偵察車 後期型 - LSSAH仕様

2010.12.22  初期 工作
キットのパーツ構成は写真の状態となる。
実車では鋭角のある車体をしているのに対し、メタルキット特有の面と角のだるさが見られ、細部のパーツに至っては、改修するよりも作り直したほうが早い状 態であった。
実はこのキットに着手したのは2006年10月頃なのだが、2010年末までサイトに上げられなかったのは、この問題点を解消して完成の目処が立たなかっ たからでもある。 未掲載であった期間中は磨いたり仮組みしたりしながら完成イメージが湧くまで放置していたのだが、作りかけを減らす意味からも一気に完成させることにし た。
仮組みをした状態。
造形が大きく崩れているところは無いのだが細かいモールドがところどころ潰れており、全体的にいまひとつ物足りない感じである。
20mm機関砲の砲身を作る。
真鍮挽きの20mmFLAK38用の砲身を軸に、真鍮パイプなどと組み合わせてKwK38らしく仕上げる。
砲塔に砲身を組み付けた状態。
砲塔の工作が完了するまでは抜き差しが可能で、調整の効く状態としておく。

2010.12.27  細部 の作り込み
砲塔とメッシュの天蓋はキットのパーツを使用する。
組み合わせた際に、本来中空であるべき箇所が埋まっている状態はもったいないため、天蓋・砲塔それぞれに削り込みを行う。
砲塔と天蓋を組み合わせた状態。
苦労して掘り込んだ効果はそれなりにあるようで、角度によっては中空に見えなくも無い状態まで改善することが出来た。
天蓋上部のバーは真鍮線で自作する。
この様な左右対称のパーツを作る作業は思いのほか難しい。今回は片側を現物合わせで作った上で、もう片側も同じ寸法で作る方法を取った。
砲塔を組み立てた状態。
同軸の機関銃は何かのキットの余り部品であるMG42の方針部分を切り出して使用した。後期型車両という設定であるため、MG34ではなくMG42として みたが、このスケールでは違いが分かりにくいかもしれない・・・
後はアンテナを付けて、砲塔は完成となる。
車体前面にあるビジョンブロックを作り直す。
Sd.kfz.222は生産時期によりビジョンブロックの形状が異なるのだが、キットはシリーズ化に対応するためか初期型に見られる左右対称の造形となっ ている。
ビジョンブロックの上部には雨どいが設置されているが、造形の限界が如実に現れており、こちらも作り直しの対象とする。
キットのモールドを削り落とし、ヤスリで磨き上げる。
正面のビジョンブロックは全て切除、側面は凸部のみ切除して基部は再利用する。
プラ材を使用してビジョンブロックを造形する。
EverGreenのプラ材のストックから適度な寸法・厚さのものを選び出し瞬間接着剤で固定した上でデザインナイフで凸部の形状を削り出した。
メタル素材の上にプラ材を貼り付けた上で加工するには、多少の力では脱落しないようにメタルとプラがしっかりと接着されている必要がある。 今回はメタル素材側を磨き上げた後にメタルプライマーを塗布し、その上で接着をしている。
事前にメタルプライマーを塗布することで接着強度が増すことから、メタル素材上に異なる素材を固定する場合の定石となる方法である。
雨どいのパーツもEverGreenのプラ材から作成した。
適度な寸法のプラ材から必要な長さを切り出し、折り曲げ加工を行った上で瞬間接着剤で固定している。
車体後部の排気管のパーツ。
成型状態はさほど悪くは無いがパイプ部のバリが酷く、一時作り直しも検討したのだが、うかつに切り離して作り直すことで再利用部も破損するリスクがあった ことから、表面処理を行った上でこのまま使用することとした。
車体後部のエンジンルーム周辺の工作。
多少の手直しと欠損部の修正が主な作業ポイントとなる。
マッドガード周辺は手を入れる必要があるので、こちらは後から作りこみを行う予定である。
このキットの最大の問題はこの車輪である。
どう見てもSd.kfz.222系列の足回りではなく、オペルブリッツなどのトラック系の車輪が付属していた。
いろいろと悩んだ末、ストックからAirfix製のSd.kfz.222のプラキットから足回りを徴発することとした。
本当はフジミのキットから徴発することを考えていたのだが、2010年12月現在の段階でフジミ製キット全般の入手性が著しく悪化しているため、今回は Airfixのキットに犠牲になってもらうこととした。
車軸と車輪を接合する軸は真鍮材を使用して作成する。
寸法と接着強度を確保するため、真鍮パイプと真鍮線の組み合わせで写真の様な部品を作った。
車軸を組み立てた状態。
キットのままの状態では寸法がおかしい箇所があったため、寸法合わせで手を入れている。
仮組みをした状態。
全体的なバランスは悪くは無いので、このまま作業を継続する。

2011.01.12  細部 の作り込みの続き
足回りのパーツを仮組みできるように、真鍮線にて軸を入れる。
メタルキットは瞬間接着剤にて組み立てるのだがインジェクションキットの様なダボが切られているわけではないため、接合場所の噛み合いが悪いと接着時の位 置合わせが難しいという問題点がある。
その様な場合には事前に真鍮線などで軸を入れてしまい、軸を中心に接着することでパーツのずれを防ぐことができる。 位置合わせの観点から、本来であれば軸は2本以上入れることが望ましいのだが、パーツ面積や構成の都合により1本のみで済ます場合も多い。 軸の本数が少ない場合はできるだけ太い芯材を使うが、複数本入れられる場合は細い芯材で大丈夫である。
砲塔のアンテナ受けをつける。
真鍮板を切り出した基部にプラ材を加工したアンテナの受けを入れ、貫通する穴を開けた後に真鍮線を通している。
フロントバンパーの作成。
キットのパーツを参考に真鍮線を切り出す。
接合はハンダで行う。
丸材同士を接着する場合、接点が出来る限り水平になるように削り加工をすることで、接着強度を保つことが出来る。
車体側に開口してバンパーを取り付ける。
このキットが武装親衛隊仕様とされる所以は、車体正面の増加装甲のパーツに由来する。
増加装甲パーツを着けてしまうとフロントバンパーと干渉してしまい、実際の車両ではどの様に取り付けていたのかが謎な部品となる。
製作に着手する前から、この武装親衛隊仕様とされる車両の写真を探していたのだが、ようやくヒントとなる写真を見つけることができた。
それがこのSd.kfz.221の写真。
車体正面に増加装甲を付けられた車両で、説明書きでは第1SS装甲師団 ライプシュタンダーテ・SS・アドルフ・ヒトラー(LSSAH)所属となっている。
また、増加装甲付きの車両は同師団専用のものであるとの記述もあり、この流れからSS仕様という本モデルの名称が出ていると思われる。 しかし、同様の改造をされたSd.kfz.222の写真はまだ見つかっておらず、本当に存在していたかは未だ分からない。
ライト類の作成。
ボッシュライトはレジン製のアフターパーツに真鍮の軸をつけて接合強度を上げたものを作成。
特徴的な大型のライトはWAVEの丸ノズル等を組み合わせて作成している。
ライト類を車体に取り付けた状態。
試行錯誤した結果、増加装甲のパーツは取り付けず、普通の後期型として仕上げる方針に転換した。

2011.01.18  再検 討
完成を目前にして大変間が悪いのだが、本キットのSS仕様の元となる車両の写真を発見した。
前回の更新でSd.kfz.221のLSSAH仕様を見つけた時から検索キーワードを変えて探していたのだが、海外の掲示板にて同じ題材にて写真が多数 アップされているのを発見。
その一枚がこの写真で、増加装甲の形状がどの様になっているのかが大変よく分かる資料である。 ビジョンブロックの形状や砲塔のメッシュの天蓋の高さ、砲塔前の突起の有無などの特徴から、車体は初期型であることが見て取れる。
次がこの写真。
バルカン半島戦の頃の写真とのことで、ここに写るSd.kfz.222は後期型の特徴を備えた車体となっている。
車輪のハブはトラック系列に見られる中央が盛り上がり、肉抜きのされた形状をしている。これはキット付属のパーツに見られる特徴と一致することから、この 様な写真を参考にしていると思われる。
車体前面の増加装甲は直接車体に張り付いているわけではなく、車体との間にかなりの空間があり、その空間に荷物を詰め込んでいる様子がうかがえる。 また、車体番号は増加装甲下部の目立つ位置に付けられていることも確認できる。

Sd.kfz.222の背後に写るSd.kfz.223にも同様の増加装甲が取り付けられており、LSSAH所属のSd.kfz.22x系の車両全般に同 様の改造が施されていたと思われる。 車両の参考としてのみならず、車外の装備品の取り付け方などなかなか興味深い写真である。
こちらはSd.kfz.221の写真。
増加装甲の取り付け方が大変よく分かる写真で、増加装甲を4本の支柱で支えている様に見受けられる。
現在の時点ではこれ以上詳しい資料が無いため、まずはこの写真を参考に増加装甲の取り付け方法を検討してみることとした。
新たに発見した資料を元に、改めてLSSAH仕様として作り直すこととした。
後期型が写っているバルカン半島戦の頃の写真に近い形状とするため、まずは車輪をキット付属のパーツに戻した。
増加装甲の形状はキットパーツとは異なるため、こちらは全て新造する必要がある。
車幅ポールとバックミラーの作成。
共に真鍮材から作成するため、部品を切り出した。
車幅ポールは真鍮線の先端にハンダの球を作り、ヤスリで整形する。
バックミラーは太めの真鍮線を薄く切り出し、ハンダメッキをかけた上で、支持棒にハンダ付けしている。
ライト類と合わせて取り付けた状態。
車幅ポールやノテックライトは直接車体に固定するのではなく、車体側には真鍮パイプを埋め込んで、部品を差し込める方式としている。 これは、固定してしまうことで他の作業中に破損するリスクを回避すると同時に、取り付け位置の調整を容易にするための措置となる。
車体前面下部の牽引用フックの作成。
細めの真鍮線をピンセットでフック状に曲げた後、プライヤーで潰して平たくし、ヤスリで整形する手順で作成している。
フックと防弾版(?)を取り付けた状態。
現物合わせで適当に作った部品の割には、寸法上の違和感が無く仕上がった。
燃料缶の作成。
ストックしていたレジン製の燃料缶に手を加えて使用する。注水口と持ち手を金属材に置き換えている。
Sd.kfz.222は本来は燃料缶ラックを備えていないが、多くの写真にて現地改修と思われるラックが増設されている。
増設位置もエンジンルーム上部、後部マッドガード上など多岐に渡るのだが、今回はエンジンルーム側面に設けられた場合に見かけるラックを作った。
細く切り出した真鍮線をハンダで接着した後に折り曲げ加工を加え、写真の様な部品を作成する。
車体にラックを取り付けた状態。
車体との接合強度を高めるため、ラックには車体に食い込むように真鍮線の軸を取り付けており、車体側は開口してラックの軸を受けられる形状にしている。
ラックの寸法がいまいち微妙なことになっており、燃料缶を縦にしても横にしても収まりが悪いことから斜めに差し込んでみた。。

2011.01.25  装備 品作成
Sd.kfz.222 後期型にのみに見られる三角形の雑具箱を作成。
車体に雑具箱の基部となるプラ材を瞬間接着剤で貼り付け、その上にプラ材の箱組みを行い形成している。
実車の写真では雑具箱の蓋は薄い板材のため、真鍮板を切り出して貼り付けている。
車体側面には方向指示器の基部と思われるフレームを取り付ける。
当初は組み立てたフレームを取り付ける方向で作業をしていたが、位置合わせが難しかったため、U字型に加工した真鍮線を取り付けて大よその形状を作り、こ れに合わせて方向指示器の固定部を取り付けている。
LSSAH所属車両特有の増加装甲を作成する。
キット付属のパーツでは形状が大きく異なるため、真鍮板から部品を作ることとした。
採寸して図面を作ったあと、真鍮板に罫書き針で形状を写して切り出す。
ボルトの突起は裏側から罫書き針で押し出し加工で再現したあと、曲げ加工で大よその形にする。 下部の傾斜している装甲と取り付け用の軸は別パーツで用意したため、ハンダで接着している。
下部の余剰部分を切除し、ヤスリで形を整える。
ナンバープレートを取り付ける箇所はハンダメッキを行い、下地を作成する。
ナンバープレートはエッチングのアフターパーツを使用する。
このアフターパーツは見栄えは良いのだが、塗装の段階で塗り分けにとんでもなく苦労することになる部品である。 後が辛くなるのは分かっているのだが、見栄えの良さに負けて今回も使ってしまった・・・<後で絶対後悔すると思う
車体側に増加装甲の取り付け基部を作成する。
実車ではL字材を溶接しているように見受けられうのだが、今回は取り付け位置の調整や強度の関係で、車体側に真鍮パイプを埋め込み、増加装甲に取り付けた 真鍮線を差し込む形で固定することとした。
真鍮パイプの取り付けは至って簡単で、車体側に適度な寸法の穴を開け、瞬間接着剤をつけた真鍮パイプを差し込んだだけである。
増加装甲を取り付けた状態。
パーツを固定しているのは上部の支持架のみで、下部の支持架はバンパーとの空間を調整するためだけに使っている。
塗装の利便性を考えると、この段階で接着することは得策ではないと思われるため、取り付け位置の調整と支持架の長さ調整のみ行った。
増加装甲を正面から見た状態。
ライトやバンパーとの位置関係は問題は無いのだが、増加装甲自体がやや小さすぎた様な気がする。
ライトの位置を基準に考えると正しいはずなので、実はライトの取り付け位置自体に問題がある可能性があるのだが、やり直すと収集がつかなくなる可能性があ るため、今回はここまでとした。
1/76の三面図があれば位置関係が狂うことは無いのだが、実際には1/35や1/48の図面を目測で変換して使っているため、取り付け位置の判定は相対 的な位置関係に頼りがちである。 本気で精度を出すのであれば、やはり図面が必要であると痛感する。
後部フェンダーに付属するステップを作る。
キットパーツでもこの部位は形成されていたのだが、形状・寸法共にいまひとつであったため、切除して作り直すこととした。
滑り止めモールドのある金属材を箱組みして、取り付け用の軸をハンダで固定している。
車体へステップを取り付けた状態。
ほぼ予定通りの形に仕上がった。
装備品のロールマットを作成する。
鉛板を薄く延ばし、丸めて金属線で縛ってみた。
ロールは実車の写真に見られるように、車体側面に吊り下げるように取り付けることを予定している。
後部フェンダーにナンバープレートと間隔表示器を取り付ける。
スコップやライト類を取り付け、組み上げた状態。
工作はこれで終了とし、次回より塗装に入る。

2011.05.08   基本塗装
基本色の塗装を行う。
塗装の下地は毎度のことながらマルチプライマーを使用した。

塗装時には写真の様な分割状態で行い、塗装を乗せながら段階を追ってパーツを接着することとなる。
下地色を均質化するためにサーフイェイサーを吹く。
足回りなどの塗装が乗り難い箇所にブラックを吹く。
これはシェーディングを期待するものではなく、基本色塗装時の塗り損じを防ぐための下塗りとなる。
基本色はMr.カラーのジャーマングレーを使用した。

最初の塗装では色調調整は行わずに、素の色を希薄して吹いている。
基本色に若干のダークイエローを混ぜて吹く。

この段階では車体全体にまんべんなく吹いている。
更にダークイエローの含有を増やした塗料を吹く。
2度目以降は光の当たる面のみに吹き重ねてゆく。
吹き重ねの最後はつや消しホワイトを混ぜた基本色を吹く。
これも明るくしたいと考えている面にのみ吹いている。
ポストシェーディングとして、基本色につや消しブラックを混ぜ、溶剤の希薄度合いを高めた塗料を吹く。
主に影となる箇所やハイライトを目立たせたい箇所の周辺に吹き、造形の立体感を出している。
基本色を吹き終わった後はある程度組み立てつつ、細部の塗り分けを行う。
水性塗料のホワイトをナンバープレートや車間指示ポールの先端に塗ってゆく。
砲塔の手榴弾避けネットにはコピックマーカーのブラックを塗り、カラーレスブレンダーで希薄して艶を落とす。

砲身も同様にコピックで黒色を乗せたが、これは雰囲気を見るためで、本塗は水性塗料にて行う。

2011.05.18   マーキングと細部の塗りわけ
マーキングを行う。
実車の写真を見たところでは、国籍章・部隊章・戦術マークが書き込まれた車両が多いことから、これに準じたマーキングを行った。
国籍章と部隊章はフジミのキットに付属する水貼りデカールを使用し、偵察部隊を示す戦術マークはレタリングを使用した。戦術マークの貼り付け位置が狭く、あまり適切に貼り付けることができなかった点が残念である。(リトライできる資材が無いため、これであきらめる)
国籍章は車体側面かやや後方の広い面に掲示されている例が多い。このため、右面は燃料タンク用のラックを取り付けたことから車体側面に、左面は車体後方の面に貼り付けた。
部隊章は車体前面の側面と後部の点検ハッチ上に掲示されている例があったことから、これに準じた位置に貼り付けている。
LSSAHの部隊章は時期によりいくつかのパターンが見られるが、大戦最初期は鍵のマークのみ、大戦初期は盾の中に鍵のマーク、大戦中期以降は初期マークに柏の葉のマークが付いた状態となる。
今回は大戦初期のマークが欲しかったのだが、中期以降のマークしか在庫がなかったため、中期以降のマークの不要な部分をマーカーで塗りつぶして初期のマークに改変してみた。
エッチングのナンバープレートの塗りわけ。
下地の白色は塗装済みのため、文字を黒色で塗り分ける必要がある。この部品の塗りわけは毎回問題となるのだが、今回はガンダムマーカーを使った塗りわけを試みてみた。
結果、筆塗りと比べて仕上がりも作業の手間も格段によくなったため、今後の定番技法とすることとした。
使用したマーカー。
元々はガンプラの墨入れ用のマーカーなのだが、ペン先が細くて扱いやすく、顔料も適量が出てくるため非常に使いやすい。
何色か製品化されているが、今回はダークグレーを使用してみた。
スコップの柄を塗り分ける。
基本色を隠蔽するため、シタデルカラーのつや消しホワイトを筆塗りする。
コピックマーカーで色を乗せて行く。
ニス塗りされた柄を表現したいのだが、テカり過ぎず、渋くなり過ぎないバランスを取りながら塗装・ぼかしを繰り返して写真の状態にした。
色調の調整と汚れ表現のため、薄く希薄したエナメル塗料を全体に塗る。
使用した色はダークイエローとフラットアースの混合色で、かなり薄めに希薄した状態で全体に塗布して行く。
乾燥後、塗料が残り過ぎた箇所はエナメル溶剤で洗い流す。
全体的に明るい色調に変えて行きたいため、ダークイエローのみで同じ工程を繰り返す。
下地の色調が強すぎて思い描く色合いにならないため、基本色面に対してテコ入れが必要そうな感じだ。
先に排気管の塗装を進める。
排気管は熱で塗料が剥げて錆だらけとなった状態としたいため、まずは薄めにブラウン系の塗装を行う。
表面の荒れを表現するため、パステルを使用する。
今回は既製品の粉末を使用してみたが、ブロック状のパステルを細かく削って使用する場合もある。
小さい面積に塗布する場合は写真程度の量でも多すぎるくらいのため、粉末パステルは一度購入すれば数十台分の材料として使用できる。
定着させるためにはアクリル溶剤をしようする。
分量はスポイトで数滴垂らす程度となる。
筆で溶剤に溶かし混む。
全体に塗布した状態。
どうもイメージよりも赤味が強いため、別のパステルを使用して色調の調整が必要かもしれない。錆の表現は色合いと粒子の大きさのばらつき具合の調整が難しく、なかなか満足の行く出来にならないのが悩ましい。

2011.06.03   色調調整
排気管の色調を調整するため、明度の高いパステルを使用して再塗装を行う。
今回もアクリル溶剤でパステルを溶き、筆で色を乗せる。
全体に塗布してしまうと際が出てこないため、排気管のマフラー部分のみ色調を変えた。
色調の調整とウェザリングを兼ねて、全体に薄い茶系の塗料を吹き付ける。
使用した塗料はグンゼのウェザリングカラーセットに含まれるマッド(泥)である。
全体に均一に吹き付けるわけではなく、ウェザリングを行い箇所を中心に強弱をつけて吹いた。
サンド系の色合いが強く出すぎてしまったため、希薄したエナメル塗料にて調整を行う。
使用した塗料はタミヤのエナメル塗料のジャーマングレーにフラットブラックを少々混ぜてたもの。 溶剤で希薄した上で、サンド系の色合いを押さえたい箇所に乗せて行く。
エナメル溶剤で希薄した塗料は、乾燥後に皮膜的な光沢が出てしまうことがある。
全体の色調は落ち着いたのだが、この光沢を消すためにエナメル溶剤を含ませた筆で少し強めに擦り落とす。
光沢を落としきった状態。
足回りは予定してた雰囲気になったのだが、車体上部は色合いが振り出しに戻ってしまった感があるため、もう一度工程を繰り返すか悩んだ。
車輪中心に再度薄く希薄した塗料を流したのだが、これ以上の効果は望めないことから、パステルを使用したウェザリングをすることを検討中である。

2011.06.14   仕上げ
足回りを中心に希薄した塗料を重ね、泥汚れを協調してゆく。
今回はパステルによる泥表現は行わない判断をしたため、泥汚れは写真の程度で留める事となった。
仕上げとして剥げと錆を筆で書き入れる。
剥げ部分の表現にはMr.METAL Colorのダークアイアンを使用してみた。 これは塗布後に研磨することで金属地の様な光沢を出すことができる塗料で、履帯の剥げ表現などで過去に使用したことがある。
錆にはグンゼのウェザリングカラーセットに含まれるラスト(錆)を使用する。
人が触れる部分を中心に剥げと錆を書き込む。
純粋に塗装がダメージを受ける箇所のみに行うのではなく、エッジの先端にも少量の塗料を乗せることで、 単色迷彩では埋没しがちな車体の形状を強調する役目も持たせている。
仕上げとして、希薄した薄茶系の塗料を全体に吹く。
もう少し濃く乗せても良かったのだが、やりすぎることを警戒して写真の程度の色合いで完成とすることとした。
このキットは2006年に手をつけ始めてから細々と作業を進め、完成までに5年近くかかってしまった。 組み立て途上で完成イメージが掴み切れないキットは同様の経過を辿る事が多いのだが、 このキットは特殊仕様であったことから適切な資料が見つかるまでの待ち時間も加算されたことが大きいと思われる。
今回は砲塔の手榴弾避けをキットパーツに依存したが、やはりこの部分はエッチングメッシュなどで作り直したほうが見栄えが良い様に思われる。 ただし、メッシュ化すると砲塔内部の作りこみも求められるため、モールドが埋め殺されているキットでは再現の難易度が高いことが問題といえる。