AAVP7A1 win EAAK (JGSDF Model 2015)
水陸両用強襲輸送車7号A1型 増加装甲キット装備(陸上自衛隊仕様 2015)

2015.03.15   基礎工作
車体を構成するパーツは3枚のランナーで構成される。
このキットはAAVP7A1とAAVP7A1 RAM/RSの2種類の車体を作成できるため、足回りのパーツはコンパーチブルとなっていた。
また、ウォータージェット推進機構については航行・走行双方のパーツも付属しており、状態を選択して組み立てることができる作りとなっていた。

細かいパーツの出来は良いのだが、逆に大ぶりのパーツは細部に造形が甘い箇所が多々見受けられる。
車体は上下2パーツで構成されている。
舟型の車体下部を再現する方式としては適していると思うが、上下パーツの噛み合わせにやや難があるため、この部位を如何に仕上げるかが本車作成のポイント となりそうである。
履帯は軟質樹脂製となっている。
このメーカーの履帯は接着剤で固定できることから、組み立ては比較的容易である。
履帯以外にも、転輪内に仕込むポリキャップも含まれており、転輪を着脱できる仕組みとなっていた。
このキットにはエッチングパーツも付属していた。
排気口のメッシュガードや滑り止め加工を再現するためのパネルパーツが付属している。
主要なパーツを切り出して仮組みを行った状態。
車体を構成するパーツは点数が少ないことから、この状態とするまでにはさほど手間はかからない。

完成時のイメージを掴んだ上で、細部の作り込みを進めてゆく。
下処理として問題になるのは、足回りにある押し出しピン跡の処理である。
繊細なモールドが形成されている中に押し出しピン跡があるため、加工には細心の注意が必要となる。
凸状になっている押し出しピン跡をデザインナイフで削り落とした後、溶きパテを盛って凹状の穴を埋めてゆく。
溶きパテをヤスリで削り、凹部を埋めた後、流し込み型の接着剤を塗布して表面を慣らす。
押し出しピン跡を処理したパーツを車体に接着する。
車体下部は複雑な形状をしており、パーツ同士の合いもあまり良くないことから、接合面の形状を見つつ手直しをしてからパーツを接着する。
位置決めをし、マスキングテープで固定した上で流し込み式接着剤で固定する。
車体の側面には車外装備品の類が一体成型で再現されている。
公開された車輌は実戦配備前ということもあり、車外装備品の類は見られなかった。
これを再現するため不要なモールドを切除した後、紙ヤスリで面出しを行う。
車体上下のパーツは写真の様に貼り合わせ位置がはっきりと分かってしまう。
増加装甲キットを取り付けるとほとんどが隠れてしまうが、先端部分は見えてしまうため、こちらも面出しの処理が必要となる。
公開された車体を観察した所では先端部の凸モールドが見当たらないことから、車体側面のモールド諸共削り落として紙ヤスリで面出しをする方向で対処した。
凸部は削り、凹部は溶きパテで隙間埋めをしている。
モールドを避けながらの作業は困難であるため、開き直って全て落としてしまう方法も一つの解であるように思われる。
増加装甲キットにも問題点が幾つかある。
一つは成形上の限界からか先端部が扁平になっており、実車とは異なる点が上げられる。
パーツ形状はさほど悪くはないため、先端部のみヤスリでエッジを出し、目立てヤスリでモールドを復活させる。
上部の先端にも同様の問題があることから、実車の写真を参考にヤスリで削りこんで形状を整えてゆく。
車体と増加装甲パーツは塗装の傾向が異なるため、後から固定することができる方式とすることにした。
0.3mmの穴を車体と増加装甲パーツに開け、真鍮線で固定することで着脱できる方法に改造している。
増加装甲パーツは車外装備品を取り付けるための凹モールドが形成されているが、不要であるためエポキシパテで埋めた。
増加装甲パーツは薄い装甲板で形成されているにもかかわらず、成形上の限界から末端は残念な状態になっている。
実車の写真を参考にデザインナイフで削り込み、増加装甲の薄さを再現する。
本来は先端の部位のみでも金属板から作り直す方式が望ましいのだが、増加装甲上のバスケットの再現などを考えるとキットパーツを改造する方式が無難である と判断した。
増加装甲パーツの開口部もエッジが厚いことから、デバインナイフで薄く削りこんでいる。
車体側には増加装甲キットを使用しない時のパーツ取り付け穴が開いている。
この穴の一部は組立後にも見えてしまうため、パテで埋めておく必要がある。
転輪の組み立ても進める。
パーツの成形状態は良好であることから、このパーツは素組で十分である。
足回りの取り付けと増加装甲を被せた状態。
各パーツの接着はしておらず、この後に更に各パーツの精度を上げてゆく工作を進める。

2016.01.05   可動部作成
ハッチ類は全て別パーツ化されているため、これらを開閉出来る構造に改造す る。
可動部には穴を開け、真鍮線を通して可動軸を作る。
単純な開閉のみであればこの工作で十分だが、プラ部品は脆いため可動部には補 強が必要となる。
可動により部品が擦れる箇所を補強するため、真鍮パイプに置き換える。
車体上部のハッチは三箇所あるため、これら全てに同様の措置を施す。
ペリスコープはモールドが甘いため、プラ材にて補強を行う。
これらの部位は塗装後にクリア樹脂で防弾ガラスを再現することとなる。
ハッチを取り付ける。
組み立て作業中の破損を防ぐため、この段階では着脱できる状態を維持する。
ハイドロジェット推進機構の偏向板も稼働できる様に改造する。
キットでは展開時と収納時のどちらかを選択する方式となっている。展開時用のパーツを加工して2部品にする。
可動部を整形し、開口した後に真鍮線の軸を入れて可動できる構造とする。
可動軸は2箇所設ける。
車体に取付た状態。
偏向板を可動させると写真の様な状態となる。
増加装甲のボルトを再現する。
鉛筆で位置決めを行う。
位置決めの交差点に穴を開ける。
穴に0.2mm円柱のプラ材を差し込み接着する。
完全に硬化した後、余剰部分を切除する。
キットパーツを中心に車体側面のバスケット部分を作成する。
キットに付属しているバスケットのパーツは支柱が一つ不足しているため、円柱 のプラ材を加工して不足分を補う。
増加装甲は細かい箱状のパーツをボルト止めしているため、ボルトが重なる部位 がある。元のパーツではこれらは再現されていないため、最も目立つ部位のみ再現を行った。
車体前部の取手を再現する。
キットには再現用のエッチングパーツが付属しているが、円柱の取手を再現するためには適していないため、真鍮線を用いて再現することとした。

制作記の続きはブログ記事にて掲載
リンク:1/72 AAVP7A1 RAM/RS with EAAK 陸上自衛隊Ver.@Dragon