M4 18t HighSpeedTractor "Class B"
18t牽引車 M4(榴弾砲用)
2016.11.20 組み立て | |
キットは車体の上下部品とランナー2枚で構成され、パーツ数は30点に届かない小規模なキットとなる。カーゴ部はバリエーション化するためか別ランナーに なっていた。 | |
キャビンは一体成型で作られているが、装備品の類の成形状態は良好である。 しかし、造形上の限界が見られる箇所もあり、さらにフロントガラス等の透明部位についてはパーツが付属していない。 |
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車体側は裏面まで含めて繊細な彫刻が施されている。 | |
カーゴ部も一体成型で形成されており、こちらには積載された砲弾まで再現されている。 バリエーション展開の関係から、背面の投光器とクレーンは別パーツとなっていた。 |
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足回りは転輪と履帯が一体で整形されている。 誘導輪のサスペンションと起動輪の裏面は別パーツ化されていた。履帯の一体成型には賛否両論があるが、この規模のキットであれば一体成型でも十分な再現度 合いになると思われる。 |
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車体側の組み立てを行う。 内装のパーツ数は多くはないが、このスケールとしては適度な精度で作られている。特に操作系のパネルの造形は良好で、メーター類を再現するためのデカール も付属していた。 この辺りの設計は航空機模型によく見られるもので、製造元のHobbyBossは航空機の製品化を中心としていることから、それらのノウハウが生かされて いると思われる。 |
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足回りのパーツを組み立てた状態。 履帯の接地面にはパーティングラインがあるため、削り落とす処理が必要となる。 |
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車体を仮組みした状態。 凹凸によるパーツの保持力が十分にあるため、仮組みしても形が崩れることはない。 |
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フロントガラスを再現するため、UVジェルクリアを使用してクリパーツを作成する。 キットのパーツ自体をクリアパーツ整形の型として使用する。裏面から透明プラ板をマスキングテープで固定し、液体樹脂を流し込んで硬化させる方法を使用し た。 |
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生成したクリアパーツ。 パーツがこの程度のサイズになると硬化時に発生する伸縮の影響が歪みが出てくるようである。車体への接着は塗装が一通り終わった後となるため、紛失しない ように保管する。 |
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キャビン上部の工具箱は成形上の限界からエッジが甘くなっている。 形状自体は良好のため、プラ材を使用してエッジのみ工作を行った。 |
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前照灯の加工を行う。 キャビン前部とカーゴに投光器が設けられており、共に保護枠が設けられている。しかしキットでは整形の限界から、かなり適当な造形となっていた。 |
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投光器のレンズ部分はクリアパーツに置き換えるため、キットのモールドに合わせて凹状にくり抜く工作を行う。 | |
保護枠は金属素材を使用して再現するため、他の部位との相対位置から枠の軸を決め、ピンバイスで開口する。 塗装とクリアパーツの取り付け後に組み立てる必要があるため、部品のみ先行して作成を行い、組み立て段階に合わせて取り付けを行うこととなる。 |
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キャビン側面を改造する。 陸上自衛隊で使用されていた車輌の写真では、どのシーンでもキャビン側面は開放された状態で使用されている。このため、キットパーツで再現されていた窓付 きのカンバスは切り離すこととした。 |
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キャビン側面を外すと車体の内部が良く見えるようになる。 模型的にはこちらの方が見栄えが良いように感じる。 |
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キャビン側面のパネル部分をプラ材で再現する。 内装パーツの採寸を行い、組立後に矛盾が起きないように調整している。 |
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プラ材を使用して補正する箇所は側面のみではなく、キャビン側の切り取り面に対しても行う。 これはパーツを切り出した際に、どうしてもキャビン側の枠が細くなってしまうことへの対策となる。 |
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キットパーツを元に作成しているため、組立後にも形状面では大きな破綻は無い。 プラ材を積層して作成したため、積層面の段差を消すための処理を行っている。 |
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カーゴに取り付けられたクレーンに手を入れる。 滑車部分は繊細な造形となっており、特に手を入れる必要は無いことから、軸部分のみを金属材に置き換えて塗装に備えた着脱が出来る構造とした。 |
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カーゴ部分に真鍮パイプを接着し、クレーンの軸を差し込む方式を採用した。 |
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唯一の武装である、12.7mm機関砲にも若干手を入れた。 元の造形が良いため手を入れる必要はさほど無いのだが、車体への固定部位を金属線に置き換えとトリガー部位の削りこみを行っている。 |
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組み立てが完了した状態。 この時点では車体+カーゴ・キャビン・足回りが分離できる状態としているため、分解した状態で塗装をすることができる。 |
2016.12.03 塗装 | |
塗装は写真の様に分解した状態で進める。 全体にマルチプライマーを吹き、金属素材まで含めた下地とした。 |
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色調の調整と傷の隠蔽のため、サーフェイサーを吹く。 今回改造したキャビン側面はプラ材の積層にて作成したことから面の精度に難があったため、サーフェイサーを吹き、紙ヤスリで面を整える作業を数回繰り返し ている。 |
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影となる箇所に濃い色合いを乗せる。 下地の色調を変えることを目的としているために吹いているこtから、色自体は何でも良い。 今回は作業順番の関係から履帯色を使用して、車内と凹部に色を乗せている。 |
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足回りに履帯色を吹く。 塗料はモデルカステンカラー C-06 履帯色をそのまま使用している。 |
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車体と足回りの転輪に本体色を乗せる。 塗料はMr.カラーの陸上自衛隊戦車色セットに含まれるOD色を使用した。初めに原色を全体に吹き、乾燥後にOD色にタミヤ アクリル塗料の陸上自衛隊 OD色を少々混ぜた色をハイライト部分に吹いた。 |
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足回りの塗り分けを行う。 転輪の塗装で履帯に付いたOD色の上塗りと転輪のゴム部分を水性塗料で塗り分けた。 |
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内装の塗装を行う。 シートやハンドル類には水性のつや消しブラックを筆塗りした。車内に装備されている消火器は発色を良くするため下地としてファレホのつや消しホワイトを筆 塗りした上に、シタデルカラーのシャインレッドを塗っている。 操縦パネルを再現するためにデカールが付属している。マークセッターを塗布したパネル部分の上にデカールを張り、更にマークソフターを使用してデカールを 柔らかくしてモールドと噛み合うように調整した。 |
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車体色の色調を調整する。 全体にMr.ウェザリングカラーのグランドブラウンを塗布し、軽く乾燥した段階で専用のうすめ液を使用してぼかしをかけた。 |
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車体の識別となるデカールを貼る。 過去の写真を参考に、陸上自衛隊の桜マークと車体番号・所属をフロントグリルに貼った。当然のことながら、陸上自衛隊仕様のデカールは付属していないた め、フジミやアオシマのキットに含まれる余剰デカールを流用している。 |
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カーゴの注意書きは本来のキット付属デカールを使用した。 車体後部にも所属と車体番号が書き込まれているため、これも同様に再現した。 |
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塗料を重ねて色調を調整する。 Mr.ウェザリングカラーのサンディウォッシュを薄く塗布して全体の明度を上げてゆく。 |
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凹部の墨入れを行う。 Mr.ウェザリングカラーのマルチブラックを局所的に乗せ、軽く乾燥した段階でうすめ液で余剰部分の塗料を落とした。 |
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車内の調整にはMr.ウェザリングカラーのサンディウォッシュを中心に使用す
る。 土埃の再現には最適な資材であるため、シートや搭乗の際に溜まった埃は簡単に再現することができた。 |
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履帯面にはMr.ウェザリングカラーのステインブラウンを乗せ、凸部のみ色を 落とす処理を行う。 | |
足回りも含めて全体にサンディウォッシュを乗せて汚れ具合を調整する。 | |
色合いの濃い墨入れを行いたい箇所を中心にグランドブラウン乗せる。 Mr.ウェザリングカラーは乾燥後は強固な皮膜となるため、複数色を重ねることもできる。しかし、基本的には透過色としての性質があるた、下地色の色合い の影響を受けて色調が変化する特性がある。これを利用して明るいサンディウォッシュの上にグランドブラウンを乗せると、サンディウォッシュの明度の影響を 受けながら、サンディウォッシュとは異なる色合いを再現することができる。 |
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実車では人が触れる箇所は塗料の剥げが発生する。剥げの状態によっては錆止め
が露出したり、錆自体が出てくる場合もあるため、これらを再現する。 履帯色につや消し黒を混ぜて濃いグレーを作り、搭乗時に人が触れる箇所を中心に色を乗せてゆく。 |
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想定としては、搭乗時に手が触れる箇所と足が踏む箇所が対象となる。 錆止めの露出を再現するため、グレーと車体色の隙間に錆色を乗せている。 |
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カーゴも可動部や接触の多い箇所を中心に同様の処置を行う。 | |
足回りの汚れを再現するため、クレオスのウェザリングカラーセットに含まれる マッドを薄く溶いて吹き付けている。 | |
足回りと底面の汚れを再現する。 | |
塗装面を保護するため、全体につや消しのスーパークリアを吹く。 この段階で全体的に色合いが明るくなるため、おおよそ予定していた色合いとなった。 |
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唯一の武装である12.7mm機関砲はMr.メタルカラーのダークアイアンを塗布して磨き上げている。 | |
照明の再現を行う。 底面の色としてシルバーを塗布する。 |
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カーゴ部分の照明にも同様の下地処理を行う。 | |
ガイアノーツのUVジェルクリアを使用して照明のガラス部分を再現する。 UVジェルクリアは液状の透明樹脂を流し込み、UVペンライトを照射することで樹脂を硬化させて透明パーツを作ることができる。 |
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あまり厚みのある樹脂はUVペンライトでは硬化しきれないこともあるようだ が、照明凹部の数ミリ程度の厚みであれば問題なく硬化させることができる。 | |
照明保護用のガードを取り付ける。 コの字型に加工した鉄線を照明脇に開けた穴に差し込んで固定する。 |
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実車の写真を参考にガードを取り付ける。 | |
キャビンのフロントガラスを再現する。 こちらもUVジェルクリアで作成したクリアパーツを使用する。 本来は事前に作成したクリアパーツを嵌めこむことを想定していたが、塗装皮膜の厚さから上手く嵌め込めなくなっていた。このため、裏面からプラ材で蓋をして液体樹脂を流し込み、UVペンライトで硬化させた。 樹脂の乗せ方の違いにより、硬化後の印象が左右で若干異なっている。 |
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車体とキャビンを接着する。 パーツの合いは良いが、接着が硬化するまでマスキングテープで固定する。 |
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以上で仕上げも完了となる。 今回は勢いで購入したキットを勢いがある内に短時間で仕上げる方針で進めたため、あまり細かい考察と改造は行っていない。 制作途上の調査では榴弾砲タイプのカーゴを持つM4高速牽引車が供与された証拠を見つけることが出来なかったため、この形の車輌が創設初期の自衛隊で運用されていたかは分からないが、まずはこれで完成とした。 |