Maneuver Combat Vehicle (Prototype) Digital camouflage Ver.
機動戦闘車(試作車)デジタル都市迷彩バージョン

2015.03.16   工作と塗装
基礎的な組み立ては同時制作したOD色単色迷彩と同一である。
 
デジタル都市迷彩に使用する色はMr.カラー「No.116 RLM66ブラック・グレー」「No.338 ライトグレー FS3649」を使用する。
これは、過去に作成した89式装甲戦闘車の同迷彩に使用したものである。
OD色単色迷彩の際には車体底面と車体は同色としたが、今回は陸上自衛隊の車輌に見られるセミグロスブラックで塗装した。
タイヤのハブにも迷彩を施すため、まずは全てをブラック・グレーで塗装を行う。
ハブにマスキングを行い、タイヤにつや消しブラックを吹く。
車体の作成と作り込みは OD色単色迷彩版とほぼ同じです。
唯一の差は、砲塔側面の形状の違いとなる。
下地としてマルチプライマーとサーフェイサーを吹いた後、基本色としてブラック・グレーを全体に吹く。
次に迷彩を行うためのマスキングを行う。
迷彩は89式装甲戦闘車に施されたパターンを参考に、細切れにしたマスキングテープを貼ってゆく。
マスキングテープはさほど粘着力が強くはないため、作業は手早く進めて行く必要がある。
ライトグレー FS3649を全体に吹く。
試作車のためか陸上装備にしては凹凸が少ないため、あまり気を使わずに全体に色を吹き付ける。
続いて砲塔にも同様の塗装を行う。
こちらは照準器などの凹凸が存在するため、マスキングの隙間に気をつけながら塗装を行う。
タイヤも半分はライトグレー FS3649で塗装を行う。
タイヤが既に塗装済みであるため、ハブ部分のみを露出させるマスキングを施している。
タイヤの塗装は多少のはみ出しは見られるものの、筆で修正できる程度である。
車体のマスキングを剥がした状態。
迷彩パータンは概ね予定通りとなったが、塗料のはみ出しやパターンの粒度がおかしな所が散見される。
再びマスキングを行い、今度はブラック・グレーで再塗装を行う。
砲塔は凹凸によってマスキングが適切に行えていない場所で塗料の吹込みが発生した。
これらは筆でリタッチしても修正することができないため、再塗装で隠蔽処理を行う。
車体側はパターンのおかしな箇所とマスキングの隙間に入り込んだ塗料を隠蔽するために再塗装を行う。
再塗装を行った状態。
マスキングを剥がし、塗装結果を確認する。
若干の塗装ミスが見られるが、筆でリタッチすることで修正が可能な段階まで達した。
車輪を取り付ける
幾度か試した結果、車体のパターンに合わせてハブ・キャップの色は交互に配置する形とした。
車体の色調調整と墨入れを兼ねて、エナメル塗料のつや消しブラックとホワイトの混合色を全体に流す。
まずは大胆に色を乗せ、乾燥後に溶剤を染み込ませた綿棒で全体をなぞって過剰な塗料を剥がす。
車体の面に形成された繊細なモールドを活かすため、パネルラインを中心に色を乗せてゆく。
車体番号と所属、陸上自衛隊のマークを貼る。
都市迷彩の車体ということで、所属は中央即応集団/中央即応連隊/第1中隊としてみた。
車体背面も車体番号と所属を貼る。
本来であれば砲塔側面に部隊マークを付けたいところだが、中央即応連隊は比較的軽武装の新しい部隊であるため他のキットではマークがカバーされておらず、今回は諦めることとした。
車長ハッチに装備される12.7mm機関砲の塗装を行う。
車体と同様にブラック・グレーを吹いた後、銃身部はMr.Metal Colorのダークアイアンを筆塗りし、乾燥後に研磨して光沢を出している。
デカールの乾燥後、全体につや消しクリアを吹き、塗装面とデカールを保護する。
これは後の工程においても希釈したエナメル塗料を流すこととなるため、墨入れを保護する狙いがある。
汚れを再現するための処理を行う。
市街地で運用される塗装であることから派手な泥汚れは付けず、軽くホコリ汚れが堆積した状態を再現するに留めた。
エナメル塗料のダークイエローとフラットアースの混色を溶剤で希薄し、凸部に色が残るように気をつけながら塗料を流してゆく。
こちらも乾燥後に綿棒で余剰な塗料を剥がし、バランスを整える。
ペリスコープに偏光フィニッシュシートを貼り、車体各所の反射板をクリアパーツで再現して行く。
クリアパーツはWAVE製のクリアレンズにアクリル塗料のクリアオレンジで塗装して使用した。レンズの取付部には予めタミヤマーカーのシルバーを筆塗りし、接着後にクリアパーツの色が映えるように下処理している。
テールランプはキットのパーツを加工して使用しているが、こちらも反射板と同じ処理をしている。
前照灯のパーツも全てWAVEのレンズで置き換えた。
これらの処理はOD色単体迷彩版と全て共通となる。
作りこみ工程はOD色単体迷彩版と同じであるため、デジタル都市迷彩版の製作記では割愛した。
塗装の段取りは89式装甲戦闘車の作成で蓄えたノウハウと、航空機模型でテストしたマスキング手法を組み合わせている。

通常の制作では架空の塗装は行わないのだが、今回は機動戦闘車に合いそうで前例の無い塗装を考えた結果、架空の都市迷彩を施してみることとした。
89 式装甲戦闘車の場合は滝ヶ原駐屯地の基地祭で展示された車輌を模したため、迷彩パターンには参考が存在する状態であったが、今回は一切参考がない状態で想像でパターンを作ってみた。輪郭線をぼかすという迷彩の本来の目的にはどうにか合致するパターンに収まったと思われるが、パターンの粒度などについては研究の余地が多分にあるように感じている。


<追記>
本作は、青島文化教材社の商品開発情報ブログ『青島文化のくまぶろぐ』において2014年12月に開催された「第2回赤い人杯コンペ AFV部門」に出品し、優勝しました。