120mm rifled towed mortar Model F1
120mm 迫撃砲 RT

2011.11.14 基礎工作
部品点数は抑えられているが、実物に近い部品分割と改造を見越した構成となっている。
下処理として、ガイアノーツのレジンウォッシュに数時間漬け込み、中性洗剤を使用して洗浄した。
タイヤは溝がしっかりと鋳造されており、これを潰さずにバリを切除できるように配慮がなされている。
30分程かけて、パーツからバリを切除する。
この手の作業にはデザインナイフを使用するが、作業時には刃を新品に替えることで安全かつ効率良く作業を行うことができる。
砲身と砲架の組み立て。
位置合わせが少々難しかったため、本来の構造に準じてピンバイスで穴を開け、真鍮線を通して位置を確定させたの後に接着している。
砲架周辺は4点のパーツに別れている。
キットの素の状態では接着強度が弱いため、差込穴をやや大きめに変えたり、真鍮線の軸を入れたりと手間をかけて組み立てた。
砲身と砲架を接着した状態。
複雑な構造に見えるが、この写真内のパーツ点数はわずか7点である。
足回りは稼働を想定して真鍮線の軸を入れた。
組み立てが完了した状態。
ここまでで約1時間半。
元々が出来の優秀なキットは簡単に形になるため楽なのだが、少々物足りなさを感じてしまう。

底板と砲身の固定部分はキットの状態では接着を要するため、可動化させるために砲身の底部に瞬間接着剤を数層塗り重ねって一回りほど寸法を大きくした。
はめ込み構造化することで、接着せずともある程度の強度で保持できる状態とすることができた。
俯角気味に構えた射撃体勢。
仰角に構えた射撃体勢。
車軸と底板を可動できる作りとすることで、多少は動きを再現できるようになった。
牽引状態。
砲身の先に取り付ける牽引具はキットに付属しているため、後は適切に可動部を動かすことでこの体勢も可能となった。

実物を公道で牽引するためには、道路交通法に則ってテールランプと泥よけが取り付けられる。今回はそこまで作りこむ気はないのだが、あと数カ所手を入れる 予定である。

2011.11.17  作り込み
基礎工作が完了したため、陸上自衛隊仕様の準じた作りこみを行う。

車輪にはバンパーが取付けられているため、これを再現する。
バンパー部分は真鍮線にて作成する。0.3mmの真鍮線を適度な経の工具に巻きつけて円形に加工し、ハンダ付けで固定する。
車輪側の受け軸はプラ材を使用することとした。
適度な長さに切断したプラ材を瞬間接着剤で固定し、一昼夜乾燥させた上で適度な角度に曲げ加工を行った。
プラ材の軸の上に真鍮線のバンパーを接着する。
強度面では若干の心配があるのだが、高強度の瞬間接着剤を使用して固定した。
砲には製造元のプレートが取り付けられているため、これを再現する。
適度な寸法の真鍮板を貼りつけただけだが、どうも寸法的な整合がとれていない。
底板へのデティールを追加する。
おそらくは、牽引時のロック機構と思われるのだが、どの様に使うのかはよくわからない。
自衛隊仕様への改造はこれにて完了。

2011.11.21 塗装
塗装に着手する。
塗装作業は写真の様に分解した状態で行い、まずは下地剤を吹き付けた。
通常はプライマーとサーフェイサーを使用するのだが、今回はレジン素体の色が白色に近く、 かつ他の素材を使用して手を入れた箇所も少ないため、下地はマルチプライマーのみとした。
基本色の塗装。
車両ではないことから単色迷彩となる。 使用した色は陸上自衛隊の装備品に幅広く使用されているOD色である。
使用した塗料はタミヤ製アクリル塗料のXF-74 OD色(陸上自衛隊)で、特に調色は行っていない。
後工程やエアブラシとの相性を考慮し、溶剤はラッカー系を使用している。
基本色の乾燥後、タイヤと砲身を塗り分ける。
使用した塗料はファレホのブラックで、若干水で希釈した塗料を筆塗りした。
組み立てた状態。
小さなキットであるため、基本色と塗り分けで十分かと考えていたのだが、 この様な小物であっても単に色を吹いただけでは質感が全く出ないことが判明。
大きさの大小に関わらず、塗装面の仕上げには従来通りの工程を踏むこととした。
油彩を使用したウォッシングを行った。
バートンアンバーをペトロールで溶いて流しただけだが、これだけでも随分と色調に厚みをもたせることができた。
乾燥後により明るい色で再度工程を行うことで、キットのモールドを浮き上がらせる必要がありそうだ。

2011.11.25 仕上げ
自衛隊の機材は総じて整備が行き届いており、汚れが目立つ状態で一般展示されることが少ないことから、模型を作る側としては仕上げに悩むこととなる。
ネットで基地祭などで展示された際の写真を探していた際に、摩耗によって錆止めプライマーと思われる下地色が露出している写真があったため、今回はこれを真似てみることとした。

色合い的には暗色系の雰囲気がある赤色系の色なので、エナメル塗料で調色することとした。

底板やハンドルなどの磨耗しやすい箇所を中心に細筆で塗料を乗せてゆく。
特に目立たせたい箇所以外は触れる程度の筆圧で色を乗せ、軽くエッジが強調されている程度で留めた。
全体に土埃系の汚れを乗せる。
エナメル塗料のダークイエローとフラットアースを混ぜて希薄した塗料を砲身以外の部分に流した。これにより底板全体の色調が落ち着いた雰囲気となった。
仕上げはエナメル塗料のフラットアース単体を希薄してポイントを絞って流し込んだ。
特にタイヤのモールドが素晴らしいことから、これを強調できるように足回りにはやや過剰気味に色を乗せている。

仕上げはここまでとして、本キットは完成とした。
元の完成度が高いキットであり、大幅な手入れは行なっていないため、工作・塗装共に数日しかかけておらず、本サイトにおける完成の最短記録となった。

キットには牽引状態を再現するためのパーツも付いていることから、そのうちに一般道での走行用パーツを自作した牽引状態も作ってみたいと考えている。