Type73 3t1/2 Fuel tank
73式3t半 燃料タンク車

2014.06.22   基礎工作
このキットに追加された新金型の部品。
タンクと荷台の基部が3枚のランナーで追加されている。
車体は3トン半トラックと同じパーツの流用となる。
このキットは素組では新型の車体になってしまうため、改良型として改修する必要がある。
このキットは組立後には目につきにくい箇所を中心に大きな肉抜き穴を設けることで、全体の構造を簡略化している。
目につきにくいとはいえ組み立て後も気にはなるため、主要な肉抜き穴をパテで埋める。
タンク部を構成するパーツ。
素組でも組み立てラインが見えにくい構造となっている。
タンクの基部を構成するパーツ。
シャーシから嵩上げをする必要があるため、シャーシに被さる形の基部パーツが用意されている。
タンクを貼りあわせ、各パーツに面出しの処理を行う。
タンクを仮組みする。
パーツがしっかりと噛みあうため、接着しなくても形状を保持することが出来る。
タイヤと車軸を組み立てる。
タイヤの肉抜き穴を埋める際には、車軸との接合を考慮した対処を行う必要がある。
シャーシを組み立てた状態。
基本的に素組ではあるが、後の工程におけるプラの劣化を考慮した措置を講じておく。
キャビンのパーツを乗せて仮組みする。
概ねの形にはなったため、ここからは細部の作り込みに着手する。
燃料タンクを固定する帯を作り直す。
合わせ目を消す作業の際にキットのモールドが邪魔になるため、まとめてヤスリで削り落とし、帯の部位をプラ材で作り直す。
キットのモールドでは新型に合わせた帯となっているが、改良型では帯の位置と燃料供給口の位置が異なるため、実車を参考に作り直している。
定番工作であるエアクリーナーの左右反転を行う。
キットのパーツは新型の形状を再現しているが、基部と上部を切り離して反転させることで改良型相当の形状に変更することができる。

合わせて、空気取り入れ口の形状も変更する。
シャーシへの改造はあまり真剣には行わず、定番工作に留めることとした。
続いて、タンク部・キャビンへの工作を進める。

2015.09.06   作り込み
着手より1年以上が過ぎてしまったが、制作の再開に伴い過去分も含めて掲載す る。

車体側面の防危用バンパーは接続箇所と塗装が異なるため、塗装時の利便性を考慮して着脱可能な構造とする。
接合部に真鍮線を植え込み、車体側に差し込む方式に変更した。
シャーシを構成するパーツと、接合位置の擦り合わせを行う。
真鍮線で差し込んでいるだけのため固定強度は高くない上、着脱を繰り返すと強 度が下がる。
パーツの破損が起きると修復が困難であることから、必要な場合に限り取り付ける慎重な扱いが必要となる。
泥跳ねを防ぐためのマッドガードは鉛板を使用して再現する。
切り出した鉛板を薄く伸ばし、キットパーツの寸法を参考に形状を調整する。
鉛板の取り付け位置には目立てヤスリで凹部を作り、瞬間接着剤を用いて鉛板を 固定する。
当キットの最大の難所となるパーツの工作を行う。

エアクリーナーとタンクの間には消火器ケースや予備缶が設置され、滑り止めのパターンが付けられている。
パーツは一体成型となっているため、そのままでは精度に難がある。
消火器ケースを切り離し、滑り止めパターンを全て削り落とす。
消火器ケースの部位は中空構造となっているため、プラ材の端材を使用して穴埋めを行っておく。
滑り止めパターンはエッチングパーツを切り出して使用する。
今回はステンレス素材の部材を使用した。
切り出したエッチングパーツを瞬間接着剤で固定する。
タンクと接する部分は曲線を描いており、エッチングパーツの切り出し段階では形状を合わせることが難しい。
このため、まずは大きめに切り出した部材を固定し、接着後に曲線に合わせて余剰箇所を切り落とすことで調整する。
合わせてエアクリーナ部分も手を入れる。
キットパーツではかなり大雑把な作りの箇所であるため、実車の写真を参考にプラ材の積層で形状を再現した。
切り出した消火器ケースは肉抜き穴を埋めた上で真鍮線で足を付ける。
予備缶も同様に肉抜き穴を埋めた上で、持ち手部分を金属素材に置き換える工作 を行う。
消火器ケースを取り付ける位置に穴を空ける。
消火器ケースは4脚の内の2脚を切り詰め、車体側への差し込みは2脚、高さの 調整を2脚で行う方式とした。
消火器ケースを差し込んだ状態。
着脱が可能な上、車体よりやや持ち上がった状態を再現することができた。
キャビンの作りこみを行う。
元の形状が良いためさほど手を入れる必要は無いが、定番の工作として取手類の真鍮線への置換えとパネルを金属材に置き換えを行う。
キャビン後部の幌に設けられた窓を再現する。
この部位はクリアパーツが用意されていないため、UVジェルクリアを使用してクリアパーツを作成することとした。

開口部の寸法に合わせてプラ材にて樹脂を流し込むための型を作る。
型にジェルを流し込み、硬化後にキットパーツと適合するように調整を行う。
調整の際に傷が付いてしまうため、硬化後にはコンパウンドを使用して磨き上げる必要がある。
キャビンの幌は形状が甘いため、鉛板にて重ねあわせ部分を再現する。
合わせて幌を固定する綱を再現するための開口を行う。
開口部にそって細い銅線を張り、綱を再現する。
独特な形状をしたサイドミラーの固定具は真鍮線で再現する。
複数のパーツで構成されるため、主軸とするパーツに細かいパーツをハンダ付けで固定する。

車体への固定は強度を優先し、主軸となるパーツをL字加工して直接キャビンに差し込む方式とした。
作り込みは完了し、塗装段階に入る。

2015.09.25   塗装と退色再現
下地はマルチプライマーとサーフェイサーを使う。
基本色はMr.COLORの特色セット「陸上自衛隊戦車色」よりOD 色を使用する。
本車は単色迷彩であるためOD色のみで塗装を行った上、色合いを重ねることで退色表現を再現して行く。
OD色にフィールドグリーンを混ぜ、色合いを緑よりに調色した塗料でハイライ トを塗装する。
明るい面を強調するための塗装であるため、吹き付ける面を考えながら作業を進める。
墨入れを行う。
Mr.ウェザリングカラーのマルチブラックとグランドブラウンを使用する。
凹部を中心にグランドブラウンを流し、凸部の影にマルチブラックを筆塗りす る。
乾燥後、溶剤を含めた綿棒で余分な塗料を落とす。
墨入れは一度の処理で完成させることが難しいため、溶剤で洗い流しながら何度 か繰り返し調整を行う。
デカールを貼ってゆく。
車体側面の左右に「火気厳禁」、「消火器」の文字が書き込まれている。
車体番号はキットに付属したものをそのまま使用した。
車体背面のプレートは下地として塗装を行う。
隠蔽力が強いファレホの水性塗料を使用した。
塗装の乾燥後にデカールを貼り付ける。
デカールはマークセッターを使用して貼り付けるが、ファレホの水性塗料との相性が悪くデカールの位置調整を繰り返すと塗料を侵食することとなるため、注意 が必要となる。

デカールの乾燥後、全体につや消しクリアを吹き、墨入れとデカールを保護する。
車体の退色表現を再現するにあたり、今回はMr.ウェザリングカラーのマルチ グレーを使用してみることとした。

本来は航空機などの薄汚れに使うものだと思われるが、溶剤で拭きとったあとの残り具合から色調の調整にも使用できると考えての選択となる。
全体の色合いを変えるわけではなく、ハイライトとなる面を中心に色を乗せる。
塗装後、筆に溶剤を付けて塗料を伸ばしてゆく。

乾燥後は溶剤でも全ての色を落とすことができないため、Mr.ウェザリングカラーの他の色を使用して色調を元に戻す対処が必要となる。
トライ&エラーを繰り返しながら調整を進めてゆく。
キャビンのキャンパス地の部位はアクリル塗料のOD色を塗り、Mr.ウェザリ ングカラーのグランドブラウンを流して色調を調整した。

色調の調整を終え、次はクリアパーツの再現に進む。

2015.11.28   クリアパーツの作成と仕上げ
車体各所の反射板とライトを再現するため、紫外線硬化型の樹脂素材「UVジェルクリア」を使用してクリアパーツを作成した。

「型想い」を使用してキットパーツから鋳造型を作成し、液体樹脂を硬化させる際の型として使用する。
樹脂の厚さにもよるが、付属のUVペンライトを使用せずに蛍光灯下で1時間程度置くことでも硬化させることができる。
硬化後、クリアパーツに彩色を施す。
アクリル塗料のクリア系塗料を使用しており、溶剤で溶いてやや緩くした塗料を重ね塗りする。
クリアパーツを付ける箇所は、裏塗りとしてシルバーの塗装を行う。
色合いの関係から、タミヤの「ペイントマーカー」X-11 クロームシルバーを使用した。
クリアパーツの固定には瞬間接着剤を使用する。
テールランプのパーツは左右一対であるため、固定位置のバランスが難しい。
本来はランプをガードするための細いバンパーが装備されているが、今回は再現は諦めた。
車体側面には複数の反射板が設置されており、これらを再現する。
キャビン前面のウィンカーもクリアパーツに置き換える。
キャビンの前面はゆるい傾斜をしていることから、パーツの形状と固定位置には気を使うことになる。
キャビン上部の速度表示灯もクリアパーツに置き換える。
ピンバイスにて開口した内側にシルバーの塗装を行い、パーツに直接液体樹脂を流し込み硬化させている。
サイドミラーには長谷川の曲面追従金属光沢ソート「ミラーフィニッシュ」を貼りこむ。
今回は色調調整を中心に仕上げをしているが、足回りには薄く埃汚れをつけることとした。
タイヤの溝に合わせて色を残すように塗料を乗せてゆく。
一通り仕上げが終わり、車体は完成とした。
今回はこれに搭乗員のフィギュアを追加することとした。
アオシマのミリタリーモデルシリーズ No.11に付属する、3トン半トラック用のドライバーフィギュアを乗せる。
ドライバーとナビゲータの2名一組となっているが、今回はナビゲータのパーツに少々手を加えて待機中のドライバーを再現することとした。

塗装のベースカラーはMr.カラーのNo.45 セールカラーとし、明るい色から迷彩により明度を落してゆく流れで進めてゆく。

エアブラシでセールカラーを吹いた後、影となる部位にMr.ウェザリングカラーのグランドブラウンを軽く流す。
迷彩の緑はNo.340 フィールドグリーンFS34097を使用した。
細での筆の先端に塗料を付け、適度なバランスで色を乗せてゆく。
今回は組み立て前に塗装を行うため、各パーツにも同様の段取りで迷彩を施す。
次いで、No.43 ウッドブラウンで茶系の色を乗せてゆく。
最後に、No.33 つや消しブラックを乗せる。
塗料が十分に乾いた段階で、No.340 フィールドグリーンFS34097をピンポイントで乗せて、迷彩パターンのバランスを整えてゆく。
肌色の部位はファレホの水性カラーで再現した。
下地にはNo.341 Base Carne Flesh Baseを使用し、乾燥後にNo.342 Luces Carne Highlights Fleshをドライブラシで軽めに乗せている。
装備品の塗り分けを行った後、頭部と胴体を組み立てて座席に取り付ける。
位置が決まった後に、腕のパーツとハンドルの位置を調整しながら胴体に接着する。
迷彩の塗装に使用したのはこの4色。

 No.45 セールカラー
 No.340 フィールドグリーンFS34097
 No.43 ウッドブラウン
 No.33 つや消しブラック
その他の部位に使用したのはこの3色。

 No.341 Base Carne Flesh Base
 No.342 Luces Carne Highlights Flesh
 No.70950 NEGRO BLACK
キャビン内は光量が少ないため、撮影では微かに搭乗していることが分かる程度であった。
操縦士の完成をもって、本作は終了とした。
全体としては安定した品質であり素組のままでも十分な完成度となるが、手を入れる余地も残されていることから、作り込み好きも納得できる組み立てキットであると思われる。
3トン半の塗装は経年劣化の再現方法に工夫が必要となるが、これについては今だに決定版と言える方法が無いため、今後も試行錯誤を続ける必要がありそうだ。