Type 74 MBT Mod.E
74式戦車 E型

2011.12.09  基礎工作
車体は上下分割の箱型で形成されている。
エンジンルーム表面のモールドや足回りのサスペンションのモールドはなかなか繊細にできており、さほど手を入れる必要はなさそうである。
パーツの裏面には露骨な押し出しピン後やバリがあり、表面の出来栄えと比べると見えない面はかなり手が抜かれている印象がある。
車体はまだましな方で、一部のパーツには目立つ上に処理が面倒な位置に同様の手抜きがあり、ちぐはぐな印象を受けるキットである。
車体には固定用の爪があるのだが、それを合わせると車体には隙間ができる。
隙間埋め処理自体はさほど大変ではないが、この様な基本的なところに欠落があるのはキットとしては非常にもったいない。
手始めにエンジンルーム上部の取手を金属材に置き換える。
取手部分はこのスケールのキットでは単なる凸表現で済まされているため、手を入れるべき最も基本的な場所といえる。
キットのモールドをデザインナイフとノミで削り落とす。
次の開口の作業の際に位置が決めやすいよう、写真のようにキット側にモールドの後が残るように切除していく。
キットの削り跡にあわせて穴を開ける。
開口後、キット上の傷跡を処理して面を出す。
コの字型に曲げた真鍮線を埋め込んでゆく。
まずは全ての穴に真鍮線を埋め込む。
次にキットから突出する部位の高さを整える。
仕上げに裏から瞬間接着剤で固定する。

2011.12.10  下処理
車体のパーツを組み合わせると足回りが中空になってしまう。
構造上致し方ないのだが、完成後も見える位置であるため塞ぐ手当が必要となる。
基本はプラ材で塞ぐ方法となる。
埋める高さを決めるためのプラ材を中空箇所の前後に貼り付ける。
広い範囲を埋めることから、歪みを出さないために支えを入れる必要がある。
厚めのプラ材を積み上げて足場を作る。
幅広のプラ材を使用して中空を埋める。
車体下部を組み合わせ、中空箇所が塞げていることを確認する。
砲塔の組み立てに着手する。
74式戦車の砲塔は第二世代の戦車に多く見られる跳弾径始を重視した形状をしている。
上下分割されたパーツ構成であるため、接着時には写真の様にマスキングテープで固定して流し込み式の接着剤で固定す る。
砲塔側面にはパーツの合いの悪さから来る隙間ができる。
さほど大きな隙間ではないため、瞬間接着剤をパテがわりに埋めることとした。
瞬間接着剤は砲塔の接合面に沿って流し、硬化後にヤスリで表面を整える。
防盾部分は別パーツなのだが、このパーツの合いはかなり悪い。
防盾側の接合面を削り、砲塔に接着する。
防盾と砲塔の接合部は防水キャンバスで覆われているため、この部位をどの様に再現するか検討する必要がある。

2011.12.14  防水キャンバス
砲塔と防盾の境目に取り付けられている防水キャンバスを再現する。
キャンバス地の部位を再現することは本作が初めてとなるため、有名な技法である浮きパテを染み込ませたテッシュペーパーを使用する方法を試してみた。

手始めにティシュペーパー表面に溶きパテを染みこませて乾燥させた素材を作る。
溶きパテの濃度によっては硬くなりすぎるため、溶きパテは溶剤で希薄した上で塗布している。
防盾の形にあわせて素材を切り出す。

防水キャンバスは防盾全体を囲む形となっているが、今回は作業効率を考えて上部と左右側面を覆うコの字型の部材と下部の部材は分けて作成する。
まずは防盾側に接着を行う。
防盾への貼付け位置を調整し、瞬間接着剤で固定してゆく。
砲塔側へも同様に接着するが、境目部分の形状を調整しながら作業を進める。
瞬間説着剤が生乾きの状態の際には折れ目やシワをつけやすいため、形状にあわせて調整をすることとなる。


2011.12.27  細部の作り込み
しばらく更新が滞っていたが、この間にも作りこみ作業を継続していたため、手を入れた箇所を述べる。
写真は赤外線投光機のパーツなのだが、目立つ位置に押し出しピン跡が付いている。 この様な箇所の修正は、如何に周囲を潰さずに押し出しピン跡だけを消すかが課題となる。
押し出しピン跡上にEvergreenのプラ材を乗せ、流し込み型接着剤を使用してプラ材を溶解させつつ穴埋めを行う。
この様な箇所の修正には、キットの成型色とは異なるプラ材を使用することで、処理の度合いと仕上がり面の状態が把握しやすくなる。
投光機側面のバーとケーブルを接続するコネクタを真鍮材で作成する。
側面のバーは成型の限界から大まかな形のみが形成させれているため、不要箇所を切除し、ピンバイスで開口した後に真鍮線を通している。
コネクタ部はキットでは完全に省略されてしまっているため、実車の写真を参考に位置決めを行い、真鍮パイプを埋め込んでいる。
車体後部にはトラベリングロックが装備されている。
キットでは車体に対して一体成型で形成されているため、切り離して作り直すこととした。
主砲をロックする部位のみを優先して切り出す
切り出した部品のみでは厚みが足りないため、まずはプラ材に接着し、キットパーツに沿ってくり抜くことで厚みをつける。
基部を中心に真鍮版を使用してスクラッチした。
当初は稼動化も視野に入れていたが、部品の製造精度面で無理があったため、固定状態で完成させることとした。
キット付属の発煙弾発射機の部品。
意外と複雑な形をしているにも関わらず1パーツで形成したことが裏目に出て、かなり微妙なパーツと化してしまっている。
基部はキットパーツを流用し、発煙筒部のみ真鍮材で作り直す。
3本の発煙筒は微妙な角度で固定されているため、まずは位置合わせを目的として真鍮線を埋め込む。
角度調整が完了した後、真鍮パイプを重ねて行き、形状を再現する。
砲塔側面の雑具ケースはキットパーツをベースに手を加えた。
側面の持ち手を真鍮線で作成し、固定用のベルトを薄く加工した鉛板で再現している。
一部の車両では砲塔側面の下部に取っ手が付けられている。
今回の作例は特定の車両というわけではないが、完成時の工作精度を上げる役に立ちそうであったので再現してみた。
車体後部に取り付けられている予備燃料タンク。
キットパーツでもそこそこの精度の出来なのだが、一手間加えてみることとした。
持ち手部分を真鍮線に置き換え、固定用バンドを鉛板で再現した。
また、上部の淵のモールドが甘かったため、こちらも鉛板で補強している。
キットには排気管のパーツが二種類付属しているが、後期型車体に見られる形状のパーツを使用することとした。
排気管自体は開口されていないため、ピンバイスを使用して開口している。(右:加工前、左:加工後)
アンテナの基部も真鍮材で作り直す。
キットパーツを軸に作り直しており、差込式とすることで角度調整が行える構造とした。
砲塔後部のラックはキット付属パーツを使用した。
取り付け位置と角度が難しく、幾度か調整を繰り返して写真の状態で落ち着いた。
車体の上下パーツを張り合わせる。
素で組み合わせただけでは車体前面に大きな隙間が空くため、写真の様にマスキングテープで固定した上で流し込み式接着剤を使用して固定している。
砲身を接着する。
この部位もキットのダボ穴に頼りすぎると曲がって接着されてしまうため、パーツ間の擦り合わせを行った上でマスキングテープで接着位置に固定し、流し込み 式接着剤で固定した。

2012.01.16  細部の作り込み つづき
アンテナガードを作成する。
近年の車両には一般的にアンテナ基部をガードするためのバンパーが装備されており、74式戦車も同様である。
この部位は成型の限界からかキットでは完全に省略されているため、真鍮線を使用してスクラッチする。
基本はハンダ付けによる組み立てとなる。写真はバンパー部となる部材を並行にならべ、マスキングテープで固定した状態。
バンパー間の接合部も真鍮線を使用する。
適度に曲げた真鍮線をピンセットで保持しつつ、ハンダを流して固定して行く。
部品の固定が完了した状態。
この後、余剰部を切除して曲げ加工を行う。
車体に取り付けた状態。
曲げ加工の精度が悪く、かつハンダ付けした部品が剥がれかけるなどの問題が発生した。 また、本来よりも太めの部材となってしまったため、見栄えもいまひとつという感じである。
砲身上部のカバー状の部品を作成する。
このパーツは装備している事例と装備していない事例があり、そもそも何を目的とした部品なのかが良く分からない。 キットにはパーツが付属しているが、薄さを表現するために真鍮材で作り直ることとした。
切り出した真鍮板を曲げ加工し、支持架を取り付け利為に穴を開ける。
支持架はコの字型に加工した真鍮線を使用し、ハンダで固定している。
支持架の余剰部分を切除し、適度に曲げ加工を行う。
砲塔との接合箇所は投光機の基部となるため、開口して真鍮線を差し込む形とした。
ライト類の作りこみを行う。
キット付属のパーツは小さいながら、なかなか良くできている。しかし残念ながら、右側のライトは構成が間違っており、ここは修正する必要がある。
不要な部位を慎重に切除し、配線用に真鍮パイプを埋め込む。
また、ライト部分はクリアパーツに置き換えることを考えているため、ピンバイスで抉る加工をしている。
パーツを接着し、配線を再現する。
配線のワイヤーはいつぞや調達した軟性の金属線で、配線などには非常に使い勝手が良い部材である。
前照灯部はこのあと保護ガードをスクラッチし、クリアパーツのレンズを入れる工作を考えている、

2012.01.27  パーツのスクラッチ
小物パーツを自作してゆく。
まずはこのキットの中で最も残念なことになっているサイレン等のカバーを真鍮材で作成する。
微妙な曲面で構成されるパーツであることから、キットパーツをマスキングテープで型どりして複製を作成することとした。
マスキングテープで複写した寸法を元に作成した真鍮材のパーツ。
曲げ加工の際に若干の歪みが出てしまったため、実際に使用する前にもう少し整形をする必要がありそうだ。
砲塔上部に取り付けるペリスコープガード。
キットパーツの寸法を参考に図面を引き、真鍮板から切り出した。
ペリスコープガードを取り付けた状態。
キットパーツもそこそこの精度なのだが、ここはやはり真鍮板のスクラッチをした方が映える場所なので作りなおした。
後部のマッドガードを鉛板に置き換える。
この部位はプラでも整形されているが、車体とは異なる素材であることを強調するために置き換えを行った。
車体前部のマッドガード。
全部のマッドガードは近年になって取り付けられるようになったようで、昔の写真では取り付けた車体は見受けられなかった。
この部位はキットでは再現されていないことから、写真と車体寸法を比較して鉛板を切り出した。
操縦手のペリスコープの凹モールドを埋める。
ペリスコープはシールを使って再現することを考えており、凹モールドでは後で困るため埋めてしまった。
車体側面の工具類を取り付ける。
全てキット付属のパーツだが、特に手を加えなくても十分なクオリティであった。
工具類はバールのみ真鍮材で置き換えを行った。
牽引用ワイヤーは、キットパーツでは紐が付属している。
しかし、毛羽立った紐では再現度合いが微妙であったことから、ステンレスワイヤーに置き換えてみた。
戦車長用のハッチの工作。
塗装時の利便性を考慮し、差込式に加工した。

2012.04.27  仕上げと基本塗装
車体前部の照明灯周りの仕上げを行う。
管制灯と警笛はキットパーツを採寸して真鍮材とプラ材にてスクラッチしている。
前照灯のガードはキットパーツを中心に手を入れる方式とした。
パーツでは省略されている仕切り板類をプラ材で作成してみたが、取り付けてみると素材の厚みがイメージにそぐわないことが判明。
素材の厚さを抑えるため、真鍮板を切り出してプラ材と差し替えることとした。
組立はこの段階で完了。
あとは塗装しながらの組立作業に入ることとなる。
写真の様なパーツ分割で塗装を進める。
転輪はランナーにつけた状態で組み立て、塗装時にはランナーを持ち手として使うこととした。

今回も様々な素材を使用しているため、下地剤はマルチプライマーを使用した。
サーフェイサーを吹いた状態。
無塗装時よりも車体や砲塔に取り付けた部品が見分けやすくなり、冷戦期の戦車としての風貌を感じさせる。
奥まった箇所と影となる部位に暗色を吹く。
基本色を吹く。
今回はグンゼのMr.カラー特色セットから「陸上自衛隊戦車色」の濃緑色を使用した。
これまでの自衛隊車両に使用していたタミヤのアクリルカラーよりも色合いが濃く、若干の光沢もあることから玩具の様な雰囲気になってしまった。
しかし、単色迷彩が採用されていた時期の写真を見ると色合いは非常に近い様に感じられる。
色味が好みではなかったため、同色にタミヤの自衛隊色を混ぜて明度を上げた色 を吹いた。
こちらは全体に吹くのではなく、光の当たる箇所を中心に吹いている。

少々明度を上げすぎてしまったようで、もう少し暗色の方が実車に近い様に感じられる。塗料の配合比率についてはもう少し研究の余地がありそうだ。

作業時間の関係で本日はここまでで作業を切り上げたが、このあとにはマスキングを行なって迷彩塗装を行う予定である。

2012.05.05  迷彩
陸上自衛隊の二色迷彩は色の境界線がはっきりとした塗装となっている。
エアブラシによる塗り分けでは境界線がボケてしまうため、今回はマスキングゾル改を使用した塗り分けに挑戦してみた。
基本色の上にマスキングゾルを塗布する。
迷彩のイメージはキット付属のインストを参考とした。
砲塔も同様にマスキングゾルを塗布する。
マスキングゾルの塗布に向かない箇所はマスキングテープで覆う。
迷彩色を吹く。
塗料はグンゼのMr.カラー特色セットから「陸上自衛隊戦車色」の茶色を使用した。
乾燥後、マスキングゾルを剥がす。
色の境界線ははっきりと区分けされたのだが、色合いのバランスが今ひとつな感じ。
マスキングゾルは写真の様に剥がすことができた。
剥がす際にキットの塗装面を傷つけないためにはある程度厚塗りをする必要がある。
剥がす際にはピンセットでつまむ感覚で剥離させ、剥離した箇所からはシールを剥がす要領で塊で剥離させてゆく。
失敗例。
マスキングゾルもろとも塗装面が剥げてしまった。
サーフェイサーから剥げてしまったため、下地剤のマルチプライマーの吹き付けが足りなかったと思われる。
また、金属材に置き方ハッチ類はマスキングゾルが回りこんでしまうと剥がせなくなる。マスキングゾル改はデザインナイフでの切り離しも可能であるため、慎 重に切り目を入れて引き剥がすことも可能だが、この際にも塗装面が剥離してしまうケースが頻発した。
迷彩色の塗り分けとしてマスキングゾルを使用することは不可能ではないのだが、複雑な構造や車外装備を持つ車両には余り適していないと思われる。
反対に大きな平面を持つ車両や、車外装備品を後付できる場合にはこの方法も十分実用であるとの感触を得た。
塗装結果は満足行かなかったため塗り直すこととした。
迷彩のパターンは大きく異ならないため、下地剤の塗りなおしと迷彩色の吹き直しを行うこととした。
まずは濃緑色を吹き直す。
次に茶色を吹く。
再び濃緑色を吹いて境界線と明確にする。
迷彩の吹き直しが完了した状態。
足回りは別個に塗装する。
ランナーから切り離さず、持ち手を確保した状態で塗装を行った。
転輪のゴム部を塗る。
塗料はファレホの水性塗料を使用し、細筆で塗り分ける。
予備履帯、ライトなどを塗り分ける。
後の工程を考慮して、塗り分けは水性塗料を使用した。
砲塔の防水カンバスはタミヤのアクリル塗料の自衛隊色(茶色)を使用して塗り分けを行った。
足回りを組み付ける。
パーツの合いは悪くないのだが、パーツに歪みがあるようで水平が取れるように注意して取り付ける必要がある。
このあたりの作りの悪さは流石ト●ンペッター製造のキットと言ったところであろうか。
投光器のケーブルと工具類を塗り分ける。
自衛隊車両の工具は迷彩に埋もれているケースと、OD色で塗り分けられるケースがあるようだ。今回はOD色による塗り分けを行うスタイルとした。
油彩を使用した墨入れとウォッシングを行う。
油彩のバートンアンバーをペトロールで溶いて凹部に顔料が残るように色を乗せた。
ペトロールの成分のためか、車体前部にクラックが発生した。
元々パーツの合いが悪く加締めて接着した部位であったため、接着面が剥離してしまったようである。どうやって直すか考えなくてはならない。。

2012.05.13  仕上げ工作
クラックの修復を行う。
マスキングテープで固定した上で接着剤を流し込み固定した。

多少の修復後は残ったが、後の工程で解消することになる。
牽引用ワイヤーを固定する。
キットに設けられたワイヤー固定のポイントを使用し、瞬間接着剤で固定する。
金属製の撚りワイヤーは張力が強いため、接着剤が固着するまではマスキングテープでワイヤーを抑える必要がある。
特殊な反射を行う箇所は専用のシートを使って再現する。
ハセガワより販売されている偏光シートはこのような用途のために開発されたものであり、独特の構造色を再現することができる。
赤外線投光器に偏光シートを使用した工作を行う。
偏光シートは背景色により色合いが変わるため、シートを貼り付ける面は黒色に塗りつぶした。
適度な大きさに切り出した偏光シートを投光器部に貼りこむ。
シールが浮かないように先端が平たい工具を使用して圧着する。
投光器内の枠を作成する。
プラ材にOD色を塗装し、乾燥するまで放置する。
適度な長さにカットしたプラ材を貼りこむ。
プラ材は側面との隙間に流し込み式接着を着けることで接着する。
透明のプラ板で投光器のカバーを作成する。
瞬間接着剤を使用すると白化する可能性が高いため、接着には流し込み型のプラ用接着剤を使用する。
砲塔のペリスコープはプラ材に偏光シートを張り裏から差し込む形で再現する。
操縦手のペリスコープと前照灯の投光器にも同様の処置を行う。
キットには樹脂製の履帯が付属している。
モールド・柔軟性・長さは申し分ないため、特に手を付けることなくそのまま使用する。
74式戦車は誘導輪が無いため、履帯は起動輪と転輪に這う形となる。
弛みを表現するため、今回はポイントを絞って縫い糸で転輪側に寄せる処理と、転輪上部から浮くいことがないように瞬間接着剤で固着した。
履帯の車体側の肉抜き穴を利用して縫い糸を通し、転輪の軸に結びつける。
結ぶだけでは外れてしまうため、ある程度まで引き寄せた後は瞬間接着剤を使用して縫い糸を転輪の軸に接着した。
履帯の接合も縫い糸と瞬間接着剤を使用した。
これにて組み立ては完了し、形としては完成した。
後はウェザリングを中心とした塗装の仕上げを行う。

2012.06.30  仕上げ
砲塔に部隊章のデカールを貼る。
このキットには部隊章のデカールが豊富に付いているため、どのマークを使うか悩む所だ。

今回は北部方面隊第1戦車群所属車両のデカールを使用した。
砲塔の反対側は赤外線投光器やその配線で入り組んでおり、デカールの貼り付けには難儀した。
砲塔は曲面となっているため、マークソフターとマークセッターを駆使して貼りこんだ。
車体前面に車番と所属、そして桜の紋章を貼りこむ。
車体背面にも車番と所属を貼る。
仕上げとして全体の色調を整え、凹凸を強調するためにエナメル塗料のフラットアースを薄く溶いて全体に塗布する。
適度に凹部に塗料が残るように調整するのだが、残しすぎると逆に不自然に目立ってしまうため、バランスを見ながら調整してゆく。
塗料の乗りが甘かった部位を中心に、フラットアースにダークイエローを混ぜて明度を上げた塗料を再度塗布する。
足回りや突起部には埃が溜まった雰囲気の要領で塗料を乗せてゆく。
砲塔周辺は突起物が少ないため強調の効果が今ひとつではあるが、迷彩により埋没してしまう細部の凹凸は多少なりとも視認できるようにはなった。
エナメル溶剤を使用したためか、またもや部品の一部が損壊した。
今度は砲塔と車体を止める部位が崩落してしまい、やむなくプラ材を積層して再生させた。

このキット特有の問題なのか、それともこのメーカーが使用している樹脂の問題なのかは分からないが、溶剤で薄く溶いた塗料を全体に塗布する方式とはとことん相性が悪いようだ。
破損部の修復を行いそこそこに仕上げ処理も行えたため、これで完成とすることとした。
足回りの構造が単純なので90式戦車よりも作りやすいかと思って手を付けたのだが、結局半年がかりとなってしまった。(模型に費やせる時間が減ったことも原因ではあるが・・・)
これが初めての第二世代の戦車となるため、大戦中の戦車にはない要素が多分に含まれており、素材探しや組み立て方を試行錯誤しながらの作成であった。特に構造面では理解の及ばない箇所が多分にあり、手を付けづに終わった部位が残されている。

74式戦車は現役期間が長いため、我が国のMBTにしては珍しく幾つかのバリエーションがある。まずは現役のE型で作成したが、小改造で他の型式とすることも可能であるため、先々はそれらの制作も考えてみたい。