Type89 Armored Combat Vehicle
89式装甲戦闘車

2014.01.30   基礎工作
元は塗装済みの完成品であるが、組み立て精度にはかなりの個体差が見られる。
全体の形状は実車に則しているのだが、滑り止めパターンの周囲に深い凹モールドが形成されており、実車のイメージとは随分異なる印象を受ける作りとなって いた。
大規模な改造は必要がないが、細部についてはかなりの作りこみが必要となりそうである。
まずは分解する。
砲塔は写真の様なパーツ構成となっている。部品構成としては一般的な戦車模型と類似しているが、細かいパーツの分解には難儀した。

この完成品シリーズ共通の課題だが、組み立て時に盛り上がる接着剤が使用されており、これらは丁寧に剥がさないとパーツの合いが悪くなる。このため、分 解・再組み立ての過程において、入念な下処理が必要となる。
車体の構成は底面のみがダイキャスト製となっており、完成品に重みを感じさせる役割をしている。
ほぼ一体成型となっているため、外装品の別部品数はさほど多くはない。
手始めに不要な穴を埋める。
速乾性のエポキシパテを裏側から押し込み、車体表面にパテが凸状となる状態とする。
硬化後に余剰部を切除した上で、ヤスリで表面を整える。
当モデル最大の問題である、過剰な凹モールドを埋める。
埋める部位と残す部位を選別しつつパテを盛り、若干硬化した段階で表面を整える工程でひたすら繰り返すこととなった。
これがなかなかの難物で、非常に手間のかかる作業であった。
車外装備品は作り直すこととしたため、全てを削り落とした。
切除後は平面を出すためにヤスリがけを行っているが、細かいキズや凹部が残っている可能性もあるため、後ほどサーフェイサーを吹いて確認する必要があると 思われる。
車体各所のグリップを真鍮線で作り直す。
元々整形されていたグリップは位置関係は正確であったため、これらを削り落として置き換える作業を行っている。
砲塔にも同様の作業を行う。
車体と比べると面が狭いため、凹部の埋め立てには更に難儀した。
車体底面の塗装を剥がす。
ガイアノーツのツールウォッシュに部品を漬け込み、塗装皮膜を剥離させた。
流水で洗いつつ、歯ブラシで塗装皮膜を剥がしてゆく。
洗浄が終わると写真の様な状態となる。
車体下部は底面と左右の足回りのパーツで構成されている。
接合面には硬化した接着剤が付着しているため、パーツの合いを整えるためには下処理が必要となりそうだ。
サイドスカートの厚みを落とす。
パーツ自体を薄くすることはできないため、末端のみを削りこむ。
車体の構成には更に加工が必要となる。
実車の写真を見ながら、手を入れる箇所を考える必要がありそうだ。

2014.03.25   砲塔作成
砲塔の作り込みを行う。
不要な凹モールドをエポキシパテで埋めた後、サーフェイサーを吹いて表面の処理状況を確認する。

モールドを完全に埋めきることは難しく、かつモールドが無くなると平面が多い形状からメリハリのない印象となってしまう。
凹モールドの本来の意図は滑り止めパターンであるため、これを再現する方向で 対処する。
様々な方法を検討した結果、700番の紙ヤスリを使用する方法を試してみることとした。
紙ヤスリはヤスリ面と台紙で構成されており、このスケールで使用するには厚さ が問題となる。
このため、適度な寸法に切り出した紙ヤスリを水に付けてふやかせ、台紙を剥がす方法を行った。

十分にふやかすことで、台紙は簡単に剥がすことができる。
台紙を剥がしたヤスリを適度な寸法に切り出し、瞬間接着剤で貼り付けてゆく。
切り出す際にヤスリ面にナイフを立てると刃が痛むため、裏返して切ることで切断面が荒れずに切り出すことが出来る。

キットに元から設けられた滑り止めパターンの位置はかなり正確であるため、これを参考に貼り付けている。
次にペリスコープ類の作り込みを行う。

手始めに車長用ハッチのペリスコープから手を付ける。
元のモールドは位置は正確だが形状は省略されているため、元の部位を基部として真鍮材を使ってデティールを追加してゆく。
砲塔上部には車長用と砲手用の照準潜望鏡が設けられている。

元のパーツは大雑把な作りをしているが、レンズ部分は良好な形状をしているため、これを基部として作りなおすこととした。
まずは車長用の照準潜望鏡のパーツを削り、レンズ部のみ突起状になるように整形する。
照準潜望鏡カバーは真鍮板を切り出して作成する。
背面は元の部品を使用するため、上面と両側面のみを覆う部品を真鍮板で作成する。
照準潜望鏡カバーにはガードが付いているため、これを再現する。
真鍮パイプ・真鍮線・真鍮板を組み合わせ、ハンダで組み立てることで可動式としてみた。
車体との擦り合わせを行う。
取り付け方法は元のパーツの機構を温存しており、新規に作成した部品と砲塔の擦り合わせが主な作業となる。
照準潜望鏡カバーのガードを開いた状態。
一応、目論見どおりの構造とすることができた。
続いて、砲手用の照準潜望鏡を作る。
こちらも再現方法はほとんど同じだが、レンズ部が2つにわかれていることにより若干複雑な構造をしている。
照準潜望鏡カバーのガードは二分割された構造となっている。
こちらも同じ方式で可動式としてみた。
この手の部品を作るコツは個々に部品を作るのではなく、まとめて一枚の部品で 組み立て、後から2つに分割することで2つの部品の擦り合わせを行う手間を省略することである。
砲手用の照準潜望鏡カバーは背面に取手類が付いているため、真鍮線で再現し た。
砲塔に取り付けた状態。
砲手用照準潜望鏡カバーのガードを片面だけ開いた状態。
照準潜望鏡カバーのガードを全て開いた状態。
未塗装の状況では問題なく動くが塗装すると状況が変わるため、この部位の組付けは最後に行う必要がある。

尚、潜望鏡のレンズ部は塗装後にフィニッシュシートを使用して再現する予定である。
砲塔後部のバスケットと砲塔の擦り合わせを行う。
元の部品では隙間が開いているため、バスケット側の接合面に面出し処理を行った後、プラ材を積層させて隙間を埋めることとした。
余剰部を切除し、ヤスリがけをして面の擦り合わせを行う。
バスケットと砲塔は左右の合いが今ひとつ悪いため、左側を優先した調整した後に右側はプラ材を使用してバランスをとることとした。
主砲の35mm機関砲に手を入れる。
元の形状はさほど悪くはないため、ポイントを絞って作り変えを行った。
各パーツのバリやパーティングラインを消した後、砲身の基部をプラ材で再構築 している。
元の部品の成形上の限界からか絞り込む形状で再現されているが、実車では円筒系の基部から砲身が突き出した形状をしている。
砲塔両側面に装備されている79式対舟艇対戦車誘導弾(重MAT)の作り込み を行う。
左右一対装備されていることで2倍の作業が必要となり、かつ当モデルの再構築にあたり最も難易度の高い部位となった。
まずはランチャー部分の肉抜き穴を埋め、張り付いた接着剤を除去するパーツの 下処理を行う。
基本は元パーツを最大限に利用して作り直しを行うため、個々のパーツの品質と 部品同士の接合品質を向上させるための処理を行う。

その後、不足するモールドをプラ・真鍮材などで補いつつ、基部には真鍮線を通して可動式とした。
砲塔側面に彫刻されたモールドは重MATの基部に付属する部位であるため、砲 塔側のモールドは削り落として作り直すこととした。
ケーブルと思しき蛇腹状の伸縮部位は金属線を組み合わせて再現を行う。
L字型に加工した真鍮線に細い銅線を巻きつけ、ハンダで固定して蛇腹を再現する。
基部は真鍮パイプを囲む形で真鍮板を貼り付け、箱状の形状を形成する。
蛇腹状の部位は接着せず、重MATランチャーの上下動に追従できる構造とし た。
蛇腹部分が真鍮パイプ内に収まる様に調整することにより、ランチャーの上下動 もスムーズに行うことができる。
底抜け防止用にプラ材を貼り付け、重MATの作り込みは完了とした。
続いて76mm発煙弾発射筒を作り込む。
元の部品は写真の様な一体成型で、発射筒の三次元的な配置は再現できていない。
元のパーツは出来が良いため、バラバラに切り離して再接着することで再現する こととした。
発煙筒発射筒の蓋は鎖で繋がれており、これを再現するためにPassion Modelsのエッチングチェーンを使用することとした。

小さいエッチングパーツだが、このスケールでは使う量が多くはないため、これだけでもかなり使い出のあるアフターパーツである。
切り出したエッチングの鎖を瞬間接着剤で固定する。
アンテナは基部のみ元パーツを使い、真鍮パイプと真鍮線でそれらしくでっち上 げた。
そろそろ息切れ気味で、かなり適当な作りで妥協してしまった・・・・
砲塔上部の樹脂製のカバーは鉛板と真鍮板で作りなおすこととした。
元のパーツは軟質樹脂製で、見た目は悪くはないのだが厚みがスケール感を損なうため、厚みを抑えられて形状に融通の聞く素材で作りなおしている。
砲塔との固定は真鍮線の軸で行う。
鉛板はハンダをつけると溶けてしまうため、固定には瞬間接着剤を使用している。
砲塔正面のフック類を真鍮線で再現する。
元のパーツでは僅かな凸モールドで再現されていたが、目立つ部位でも有ることから0.2mmの真鍮線で作り直している。
バスケットや砲塔上面の小型のフック類も同様に作り直した。

元パーツに形成されたモールドはかなり正確で、特に位置と個数についてはかなりの精度である。
このため、作り直しは元のモールドの位置に穴を開け、コの字に加工した真鍮線を通して再現している。
砲塔の組み立てはこれにて完了とした。

小さな砲塔に細かい機能が多数盛り込まれているため、主力戦車の砲塔と比べると作りなおすだけでかなりの労力が必要となった。
これだけで車輌一両分程度の苦労をしたため、車体が残っていることを考えると心が折れそうである。

2014.04.20   車体作成
車体の工作を進める。
砲塔と同様にの処理を施しつつ、面ごとの処理と車外装備品の作り直しを行う。

分解と面処理後、不要な凹モールドをエポキシパテで埋める。
全体にサーフェイサーを吹き、凹モールドの処理状況を確認する。
滑り止めパターンに加工した紙ヤスリを貼り付けてゆく。
この作業は砲塔にて行った処理と同様の工程で進めるが、比較的面が大きいことから位置合わせは砲塔よりも難易度が高かった。
車体随所に配置された外部視察孔に真鍮板で作成したガードを取り付ける。
視察孔自体は塗装後にフィニッシュシートを使用して再現することを想定しており、ガードを取り付ける前に面処理を行っておく。
車体位右側面には牽引用ワイヤーを取り付けるフックが設けられている。
元の模型ではこのあたりのデティールは省略されているため、実車の写真を参考に真鍮線を用いて再現する。
牽引用ワイヤーは末端部以外は新造する。
ワイヤー部はステンレス製の縒りワイヤー、末端部は元のパーツ、先端のフックは真鍮線を使用した。
車体側の取付基部にワイヤーを添わせる。
ステンレス製の縒りワイヤーは張力が強いため、接着ではなく実車通りの取り付け方を再現する。
ハッチ類の脇には開いた際にハッチを支えるパッキングを取り付けた突起が設け られている。
かなり細かいパーツでありながら、基部はコの字型となっていて中空であることから、作成後の強度を考慮して真鍮板と真鍮線の組み合わせで再現した。
車体左側面のハッチ類は元のモールドを基準に手を入れる。
右側面に取り付けられる雑具箱は元のパーツを仕立て直して使用する。
車体への取り付けは、取付基部にベルトで固定する方式となっており、ベルトの再現度を上げるために鉛板を使用した。
予備履帯も元パーツを加工して使用する。
全体の形状は良好であるが、余剰部の切り落としと車体へ取り付けを行うために真鍮線の軸を設けた。
車体後部の降車ハッチに設けられた予備缶ラックを作成する。
このラック自体取り付けていない場合もあるが、今回は1個のラックが取り付けられた状態を再現することとした。
ラックの固定にはアドラーズネストの真鍮製ボルトを用いることとした。
購入時には写真のように連結された状態となっており、切り離して使用することとなる。
ナットを切り離した状態。
切り離し後、切断面はヤスリがけをして整える必要がある。
ボルトを取り付ける穴を車体側に作る。
ボルトの固定は瞬間接着剤を使用する。

なかなか訂正な寸法のモノがないため、ややオーバースケールになってしまった。
前照灯のガードを作成する。
元のパーツは金属と軟質樹脂のハイブリッドな作りとなっているが、製造の限界からそのまま使用するには辛いものがあった。
このため、この部位は全て金属材で新造することとした。

車体の寸法に合わせて真鍮板を切り出し、ハンダで固定する。
メッシュ部はステンレス製のエッチングパーツを使用する。
メッシュの固定もハンダを用いる。
ただし、ステンレスはハンダでは融着できないため、ハンダを多めに乗せて真鍮板とハンダの間で固定する形となる。
車体取り付け用に真鍮線の軸を設ける。
車体側には取り付け用の穴を空ける。
前照灯ガードを取り付けた状態。

前照灯は塗装後にクリアパーツを取り付けるため、この時点では接着は行わない。
前照灯ガードの直下にはマッドガードが設けられているため、鉛板を用いて再現 する。
瞬間接着剤で固定しているが、最終的には前照灯ガードと車体に挟まれて固定されることとなる。
前照灯周辺のパーツを取り付けた状態。
この部位の組み立ては塗装後に行うこととなる。
車体後部のマッドガードも同様の方法で作成する。
車体側面の車外装備品を取り付ける。
右側面にはスコップ、斧、ツルハシ、履帯矯正具が取り付けられており、レジン製のアフターパーツや真鍮材を用いて再現する。
左側面にはハンマーやバールが取り付けられている。
これらも同様に再現する。
車体右側面に全ての装備品を取り付けた状態。
狭い面に様々な道具が取り付けられていることが見て取れる。
車体左側面の状態。
こちらはやや空き空間が見られる。
これにて組み立ては完了とした。
次は塗装に入るが、今回は試作された都市迷彩を実践仕様を想像した形で再現することを考えている。

2014.05.06   迷彩
組み立てが完了し、工程は塗装に移る。
若干の可動部がありますので、写真程度に分解して塗装を進めます。
下地は定番のマルチプライマー+サーフェイサーを使う。
金属素材も多用しているため、プライマーは入念に吹き付ける。
これまではOD色単色、まはた緑・茶の二色迷彩で作成してきたが、今回は試験 的に施された都市迷彩を再現することとした。
これは2010年に滝ヶ原駐屯地の基地祭にて展示されたもので、実際の塗装ではなく、マグネット式シートで施されたものであった。
今回はこのパターンを参考にしつつ、実戦配備された場合を想定した塗装を施すこととした。

明確な色指定があるわけではないため、当時撮影された写真を参考にMr.カラーから近似色を選んで使用する。
色見本を参考に、No.116 RLM66 ブラック・グレー、No.338 ライトグレーFS36495を選定した。
基本色としてRLM66 ブラック・グレーを吹く。
発色を考えると薄い色から吹くことが望ましいのだが、今回は明暗がハッキリとした色分けとなることから意図的に濃い色を先に吹き、その上に薄い色を吹くこ とで、色調を近づけることを狙っている。
今回は今までにない色合いで塗装することから、アクセントとして金属色が露出 する部位にはMr.カラーの特殊用途塗料 メタルカラーを使用することとした。
主にガンメタルに相当する箇所に使用することから、MC 214 ダークアイアンを使用する。
砲身に塗料を塗る。
後処理がある関係から塗装にはエアブラシを使用せず、筆塗りを行った。
乾燥後、塗料の表面を磨くと光沢が出てくる。
これはこの塗料特有の性質で、金属光沢を再現するには大変優れている。
続いて、2色目の塗装を行う。
デジタル迷彩と呼ばれる直線で構成された迷彩であることから、マスキングテープを使用して保護面を覆う。
航空機と異なり先頭車両は突起部が非常に多いため、マスキングは非常に手間がかかる作業であった。
ライトグレーFS36495を吹く。
十分に乾燥した後、マスキングテープを剥がす。
今回はマスキングテープを貼った後、塗装を行うまでに間があったため、テープ の粘着力が弱まった場所に塗料が入り込んでしまった。
テープの隙間には塗料のダマが出来てしまった箇所もあり、なかなかキレイに仕 上がってはくれない。
複雑な突起がある部位も十分なマスキングが出来ておらず、薄く塗料が入り込ん でいる。
筆塗りのリタッチでは修復が難しいため、改めてエアブラシで修正を行うことと した。
今度はライトグレーFS36495の部位をマスキングし、RLM66 ブラック・グレーを吹き直すことではみ出した塗料を隠蔽することとした。

このような事態が発生することは想定していたため、今回は塗料を調色せずに使っている。
吹き直しや重ね吹きが必要となることが想定される場合、元の塗料をそのまま使用すると修正作業の難易度を下げることができる。
境界線がボケた箇所を中心にマスキングを施す。
改めてRLM66 ブラック・グレーを吹き付ける。
全体に吹き付ける必要はないため、要所に絞って塗料を吹いて行く。
乾燥させてからマスキングテープを剥がす。
とても完璧な出来とは言えないが、筆を使った修正でどうにかできるレベルまでは修正することが出来た。
改めてパーツを付けてみると、所々迷彩がおかしな所が見受けられる。
ポイントを絞って修正しつつ、細部の塗り分け作業に進むこととした。

2014.05.18   仕上げ
個別に迷彩の解釈間違いの修正を行う。
再度マスキングを施して部分的な塗装を行うことで修正を行った。
細部の塗り分けを進める。
車体の各所に設けられた銃眼に対してはメタルカラーのMC 218 ブラスを使用した。
主要な装備品は全て取り付け、こちらも塗り分けを進める。
ペリスコープ類はフィニッシュシートを使用して再現するため、下地として黒色を塗装する。
狭い箇所への筆塗りとなることから、塗料の伸びが良いファレホの水性塗料を使用した。
下地色の乾燥後、切り出したフィニッシュシートをペリスコープに貼り付けてゆく。
砲塔には照準類が設けられていることから、こちらのレンズにもフィニッシュシートを使用した。
前照灯の取り付け部にはレンズの下地色としてシルバーを塗る。
車体番号・部隊番号のデカールを貼る。
ピットロードの戦車用デカールとアオシマの60式自走106mm無反動砲用デカールの余り物を使用した。

車体番号は91-4xxxが降られていることから、下四桁はデカールの残余状況に合わせた適当な番号としている。
部隊番号は第7師団第11普通科連隊第3中隊の所属車輌とした。
北海道配備の師団であるため、このような迷彩が実際に使用されることはないと思うが、機甲部隊の再編に合わせて九州地区に配備された場合には都市迷彩が施される可能性もなくはないと思われる。
前照灯にプラスチックレンズを取り付ける。
ガードを外した状態では前照灯らしい色合いになったのだが、ガードを取り付けると全く見えなくなってしまった。
一通り塗り分けが終わり、全体の色調調整に着手する。
まずは墨入れを兼ねてエナメル塗料のフラットブラック+フラットホワイトを適当に混ぜたグレーを調色する。
かなり薄く希薄した塗料を全体に流す。
あまり露骨になってしまうと実物感が失われてしまうため、凹凸が軽く目立つ程度に留めている。

塗料の乾燥後、次の色調調整に備えてMr.カラーのスーパークリア(つや消し)を全体に吹く。
汚れの表現は定番となっているダークイエローとフラットアースの混色を使用することとした。
こちらも希薄した塗料を全体に乗せて行く。
市街戦用迷彩に対して泥汚れが過剰とならない様に注意しながら乗せ、過剰に塗料が付いた箇所は溶剤で洗い流しす。
塗料が乾燥したところで完成とした。
この模型は分冊百科シリーズのリリース案内の段階から注目していたが、造形のまずさもあり着手に半年、完成には更に半年かかってしまった。

今回は初めてデジタル都市迷彩に挑戦したが、航空機模型よりも突起が多い構造からマスキングが思うように行かずAFVならではの難しさを感じた。
結塗装後も微調整を繰り返して不完全な箇所を部分的に修正することになったが、これがなかなか手間のかかる作業であった。

製作時にはこの塗装は違和感があるかと危惧したのだが、完成してみると他の車両と組み合わせてもさほど違和感はなかった。
明るめの塗装であってもつや消し仕上げと色調調整により、落ち着いた色調に調整できるようである。