le.FH18/M 10.5cm Howitzer
LeFH18/M 10.5cm榴弾砲


2006.11.13  基礎加工
剥離材の洗浄後にパーツを切り出した状態。
パーツを見ると、砲架は大きく分けてシャーシ・車輪・砲脚・砲架・防盾の5点で構成され、砲は砲身と復座機の一体成形パーツで構成されている。写真のパー ツ以外にもハンドルやマズルブレーキなどのパーツがあるが、こちらは紛失防止のため使用する時まで切り出さない予定である。
砲架は仮組をするために必要となるため、最初に制作する。
砲架の中心はシャーシのパーツとなり、他のパーツはシャーシを中心に構成されるため、シャーシ部へどの様に取り付けるかを考えながら手を入れていく。
まず問題となるのは車輪の軸で、組立て塗装をする上で最も負担がかかりやすく破損しやすい為、真鍮線に置き換えた。
また、砲脚は可動式とするため、シャーシにはビスを通せるように固定部を開口した。
車輪を組みつけてバランスを確認する。
シャーシと車輪の固定位置は防盾を取り付けるまで正確には分からないため、シャーシから伸びる車輪の軸は長めに取っておく。
次に取り掛かるのは砲脚先端の駐鋤である。
このパーツは成形上の限界から現物とは大きく異なるのだが、これを一から作り直すのは大ごとである為、細部に手を入れてそれらしく誤魔化す方向で工作を行った。
工作箇所はパンチングプレートになっている箇所の開口と取っ手部の作成とフレーム部をプラ材を用いて強調した程度である。また、牽引状態では砲脚に折り曲げられる構造となるため、砲脚との固定部には真鍮パイプを通した。
砲脚と駐鋤を固定した状態。
砲脚にコの字型に加工して両端を開口した真鍮板を固定し、開口部と駐鋤の真鍮パイプを真鍮線で貫いて固定する。
今の段階で固定してしまうと塗装の際にえらい苦労をすることになるため、現在はL字に加工した真鍮線で仮留をするに留めている。
牽引状態では駐鋤は写真の位置に収まることとなる。
この他にも砲脚の固定部など、数ヶ所の稼働箇所があるため、まだまだ完成は遠い。
砲は悩んだ末、揺架部・閉鎖機のみを使用し、砲身と復座機はスクラッチすることとした。
砲身は妥当な物がみあたらず、1/72 IV号駆逐戦車 L/48のアルミ挽き砲身をプラ棒でつぎ足して作成することとした。
IV号駆逐戦車 L/48は75mm砲であるため、これを105mm砲に見せかけるにはまだまだ細工が必要そうである。
砲架部の仮組状態。
大雑把には形になっているが、あと数ヶ所は手を入れないと行けない状態である。
車輪と砲脚は干渉する位置にあることから、車輪の固定位置により砲脚の開口角度が変化する。車輪の取り付け位置は防盾とも関係するため、最終的な位置調整は全ての部品が準備できてからということになる。

2006.11.20  砲身
砲身は前回の工作の上に復座機と支持架を取り付け、砲架との固定用に開口を行った。
復座機は真鍮線と真鍮パイプを組合せたてスクラッチした。復座機の支持架は駐退機に受け部があるが、キットの駐退機は成形段階で薄くなり過ぎたことからプラ材で厚みを増した上でコの字に加工した真鍮板の支持架を取り付けた。
砲架は片側の砲身固定部が破損していた為、プラ材を用いて修復を行った。
修復作業自体は厚さ・サイズを合わせたプラ材を瞬間接着剤で固定した簡易なものである。
また、平衡機とハンドルの基部は金属線に置き換えた。
砲架と組合せた状態。
思ったよりもバランスは良かったので、残りは防盾周りと細部の工作となる。

2006.11.29  防盾
キット付属の防盾パーツは加工するには強度が不足しているため、金属材にて自作することとした。
防盾は複雑な上に左右対称の形状であることから、パーツ複製に有効なマスキングテープで型紙を作成する方法を用いた。
使用する素材は適度な寸法に切り出した0.1mmの真鍮板である。
真鍮板に型紙を張りつけ、罫書き針で型紙の周囲をなぞることで素材に形状を移しこむ。
移し込んだ跡に沿って真鍮板からパーツを切り出す。
防盾は写真のパーツで構成される。
切り出したパーツに罫書き針を使用してリベット跡の凸モールドを入れ、防盾との取り付け基部を作成する。
防盾を支える支柱にも金属材を使用する。
取り付け位置の調整を行なえるように防盾側には基部として真鍮パイプをハンダ付けし、砲架は取り付け位置に適切な寸法で開口した。
砲架側は跳ね上げ式の防盾が装備されている。
射撃時には写真の様に展開し、牽引時にはくの字に折れ曲がって地面との接触を防ぐ構造となっている。
おまけで砲架に取り付けられる防危板を作成。
防盾周辺の仮組をした状態。
2006.12.13  組立て
防盾の固定部と砲架の追加工作を行なう。
実機では防盾と砲架をシャフトで固定する方式となっていることから、その構造の再現を試みる。
塗装時の利便性を考慮すると着脱が可能であることが望ましいと同時に、組立て工作や塗装時には負担がかかる箇所であることから、相応の強度が必要となる。 これらの要件を満たす為、曲げ加工が可能な強度の金属線を支柱とし、これを防盾をハンダ付けすることで強度と着脱を可能とすることとした。
防盾は1対の真鍮線で支持されているが実機の構造では2対シャフトで支えられている為、これの再現を行なう。
模型の工作上必要な構造と実機再現の為に必要なデティールは一致する場合もあれば相反する場合もあるため、それらの見極めも手を入れた工作の醍醐味である。
砲架は事前に作成した防危板とキットパーツのハンドルを取り付け、砲尾は閉鎖機周辺のデティールを追加した。
工作は一通り完了した段階。
今後は可動部は分解できる状態で塗装に入り、塗装を行ないつつ可動部の固定を行なうといった作業となる。
射撃体勢のプロポーションはまずますといったところである。
駐鋤を折り畳み、砲脚を閉じて固定具で押さえ、下部防盾を折り畳むことで写真の様な牽引状態となる。
上の写真ではCromwell Model's製のRSOに牽引させてバランスを見てみる。
le.FH18は重量が1トンを越えることから1t牽引車では荷重量を越える為、RSOか5t牽引車あたりに引かせる一般的であった様である。

2007.04.28  塗装と仕上げ
気がつけば制作開始から半年が過ぎているが、塗装と仕上げが終りようやく完成した。
今回は当初の予定通り射撃と牽引のどちらの形状も再現することが可能な状態での完成となった。2脚式のドイツ軍火砲はどれも概ね似たような構造をしてお り、可動部の工作などはまだまだ検討の余地が残るが、本キット制作を通して今後の火砲類制作の際の手順が確立されたといえる。
塗装はオーソドックスなダークイエロー単色迷彩の上にウェザリングを施したのみである。戦場写真をみる範囲では、単色迷彩か冬季迷彩の2パターンが大勢を占めており、多色による迷彩はほどんど行われなかった様にである。
これは対戦車砲と異なり後方の砲兵陣地からの射撃に使用される榴弾砲であることから、上空からの視認防御以外は迷彩が不要であったためではないかと思われる。
塗装は可動部を中心に分解してから行なうこととなる。
今回は真鍮・レジン・プラと素材が多岐にわたる為、下地剤のマルチプライマーを入念に吹いている。
下地色統一の為にサーフェイサーを吹く。
この段階で素材の色も隠蔽され、どの部品がどの様な素材で作られているかが分からなくなる。
影となる部分を中心にブラウンを吹く。
単色迷彩の場合は下地色に一工夫加えておくことで、基本色にメリハリを付けることができる。
これまで基本色はMr.カラーのダークイエローを使用して来たが、今回はガイアノーツより最近発売された「ドイツ戦車三色迷彩セット」のダークイエローを使用してみた。
このセットの歌い文句としてRALのカラーチップに準拠した塗料とのことで、Mr.カラーのダークイエローとどの程度異なるのかに興味がある。
基本色を吹いた状態。
色味としてはMr.カラーのダークイエローよりややグリーンぽい色調といった感じであろうか。実質的にはMr.カラーの色合いと大差が無いように思える。
基本塗装が完了した段階で組立てを行なう。
可動部の軸の接着もこの段階で行い、接着後に筆で基本色の上塗りを行なっている。
ソリッドゴムの車輪の塗装も同時に行い、シタデルカラーのブラックを筆塗りした。
野戦砲のマーキングにはいつも悩むのだが、今回は武装第1SS師団ライプシュタンダルテSS・アドルフ・ヒトラーが使用した後期の部隊章を付けてみた。
同師団は主に東部戦線に投入され火砲連隊所属の中隊にてle.FH18が運用されていた。塗装がダークイエローの単色迷彩であることから1943年以降に使用された状態ということとなり、後期の部隊章との不整合は無いと思われる。
全体に油彩のローアンバーでウォッシングを行い、コピックマーカーで全体のメリハリを付ける。
砲身の煤汚れもコピックマーカーを使用しており、砲口を中心にブラックを乗せた後、カレーレスブレンダーで伸ばしつつ薄める作業を2〜3回繰り返してこの様な状態にした。



砲脚に取り付けられた測量機具の塗り分けを行なう。
この塗装には下地の隠蔽力が強く、乾燥後は重ね塗りにも対応するシタデルカラーを使用した。
塗装の手順は写真の通りに

1. 下地色となるホワイトを塗装
2. マスキングテープを間隔をあけて張る
3. 非マスキング箇所にレッドを塗装
4. マスキングテープを除去

となる。
錆と塗装剥がれの表現を行なう。
筆塗りとコピックマーカーを使い分けつつ、エッジを強調しつつウェザリングを行なう。
装填口周辺の煤汚れもコピックマーカーを使用してウェザリングを行なう。
砲脚は細かいモールドが多数あるため、ややドライブラシ気味にウェザリングを行った。
牽引時の形状に変更した状態。
この状態への変形にはパーツを取り外しての組みかえは一切不要で、実機と同様の動きで牽引状態に変更できる。
射撃体勢を上から見るとこの様な感じである。
ハの字に開いた砲脚に野戦砲らしさを感じたりする。
牽引状態を上からみるとこの様な感じである。
砲脚が折り畳まれただけで射撃状態と比較して随分とコンパクトになった印象がある。