Sd.kfz.141/1 StuIG 33B
33式突撃歩兵砲

2005.10.10  組立 て
まずは、剥離剤の洗浄を行い作業可能な状態にする。
レジンキャストキットの洗浄にはガイアノーツの洗浄剤を使用しており、30分程度浸け置いた後に中性洗剤と水で洗浄している。
破損した主砲周辺を切除し、基部の作成ができる状態に整える。
主砲は上下にスライドする防盾に守られた形をしているため、この防盾も含めて作り直すこととした。
キットの寸法を元に真鍮板から防盾を切り出す。
切り出した真鍮板をに主砲の寸法に合わせて大まかに切り取り、丸ヤスリで形を整えた。
主砲防盾を支える部位は厚みとリベット跡再現の作業性を優先してプラ材を使用 した。
ever greenのプラ材に適度な寸法のものがあったため、長さのみ調整して瞬間接着剤にて固定している。
リベット跡の再現は定番化しつつある金属線を使用する方法を用いた。
片側10箇所のリベット跡があるため、ピンバイスで開口して金属線を通し、適度な長さに揃えたあとヤスリがけをしている。
戦闘室正面の機銃ポートも金属材にて作り直した。
細く切断した真鍮線を組合せて中空の四角を作りヤスリで形を整えた後、固定用兼リベットあと再現用に開口した。
機銃ポートの取り付けは写真の様に真鍮線を用いて行なう。
瞬間接着剤で固定した後に真鍮線の余剰部を切除し、ヤスリで整える。
主砲防盾は写真にある3点の部品にて構成される。
主砲を上下から挟む形の部位と、主砲が仰角を取った際に開く隙間を覆う為の可動式装甲がある。
防盾下部に可動式装甲部を固定した状態。
一応、主砲仰角時には可動ができる状態にはなっているが、主砲自体が動かないので意味はない・・・
防盾下部を取り付けると写真の状態となる。
可動部を作るのは楽しいのだが塗装の際の手間が増えてしまう。塗装の際に後悔すると分かっていても可動式で作ってしまうのは性であろうか・・・
主砲部の作成。
こちらはキットパーツを使用せず、全て新造となる。
主砲は1/72スケール グリレ用のアルミ挽きsIG33砲身を使用した。主砲固定部の形状が異なる為、元のモールドは全てヤスリで削り落としている。
主砲を支える揺架部分は真鍮板とプラ材にて作製した。強度・精度が必要な箇所は金属材、厚みが必要な箇所はプラ材という区分で作製している。
主砲を組み立てると写真の状態となる。
車体との取り付け調整を行なっていない段階の写真であるが、この後に余剰部の切除と車体への取り付け用芯を付けることとなる。
主砲周りを一通り取り付けた状態。
主砲が1/72であるためオーバースケール気味であるが、デカイ歩兵砲を無理矢理乗せた自走砲というイメージ的には良いかと思われる<スケールモデルにあ るまじき発想
排気管は真鍮パイプを曲げ加工して作成。
排気管は取り付け角度が難しいのだが、概ね予定通りの位置に固定できた。
エンジンルーム上部に設置される大型の雑具箱は真鍮板の箱組で作成。
38(t)戦車制作時のノウハウでこの程度の雑具箱は簡単に制作できるようになった。
雑具箱を所定位置に据えると写真の様なイメージとなる。
寸法的には問題ないので、取り付け方法を考える必要がある。
背面ハッチ等の成形仕切れていない箇所と制作途上で破損した箇所の修正を行な う。
また、フェンダーは形状が今一つであったため、真鍮板にて作り直すこととした。
前部のフェンダーも真鍮板より切り出した部品に置き換える。
接合部等はかなりいいかげんな作りであるが、細かいことは気にしない方向で・・・
ボッシュライトはキットのモールドにWAVEのマイナスモールドリベットを張 りつけた。
この部位はあと配線部の再現程度で手打ちであろうか。。
戦車長用ハッチも真鍮板にて作り直した。
キットのモールドに合わせて真鍮板を切り出し、1mmの長さで切り出した0.2mm径の真鍮パイプをハンダ付けしている。車体との接合部はコの字に曲げた 真鍮線を用いて行なう。この真鍮線を軸に開閉できる予定であるが・・・

戦車長用ハッチ用ハッチは一応開閉できるようになっている。
閉めた時の部品の擦り合わせができていないことと、ロックができないため浮いてしまうのが問題である。
この辺りはまだまだ研究の余地があるが、このスケールでのハッチ開閉機構を作ることができる目星が付いた感がある。
アンテナは真鍮板と銅線にて作製。

2005.10.18  細部 工作
トラベリング・クランプの作成。
SturmIII SIG33Bのトラベリング・クランプは現存する車両では欠損しており、また鮮明な戦場写真が存在しないため、正確な形状は分からない。資料とした書籍で はsIG33を搭載した38(t)自走榴弾砲グリレ H型のトラベリング・クランプを参考とした図が出ていた為、こちらを模して制作した。
細く切り出した真鍮板をコの字に加工し、所定位置を開口して真鍮線をハンダ付けした。その後、コの字の接合部を切断して写真の様な状態まで加工した。
トラベリング・クランプの車体への取り付けはL字に加工した真鍮線にて行い、 可動式とした。
トラベリング・クランプを倒すと写真の様な状態となる。
戦闘室上部にある照準機の開口部カバー。
真鍮板から切り出したパーツを組立てて作成した。
照準機カバーを取り付けた状態。

2005.10.21  細部 工作2
エンジンルーム側面の吸気口を作り直す。
III号突撃砲の車体と同様にエンジン吸気口はメッシュによりガードがされた形状をしている。キットのモールドではこれが再現されていない為、キットの吸 気口部を大まかに削り落とし、その部位に被せる要領で真鍮板と金属メッシュにて制作したパーツと置き換えた。
作り直した吸気後部。
L字加工した真鍮板に真鍮線で支柱を入れ、金属メッシュと上蓋の枠をハンダ付けして作製した。
戦車長ハッチを開閉式としたため、戦車兵を乗せてみた。
戦車兵はトライスター・ジャパンより最近発売された1/72 戦車兵レジンキットの「ドイツ戦車兵 第20戦車師団 1942」から適当なものを選択した。
スケール的にはやや大きいはずだが寸法的な合いは悪くなく、ほぼイメージ通りの雰囲気となった。
戦車兵の配置は位置調整のためにハッチ内を多少掘った以外、特には手は加えて いない。
実車の戦場写真には袖を捲くった姿の戦車兵が搭乗しているものが多数残されており、それをイメージしている。

2005.11.05  細部 工作3
当初の工作予定箇所はほぼ完了しため、細部の作り込みで仕上げをした。
写真は戦闘室上部の主砲の照準機である。
装甲カバーに隠れる位置ではあるが、正面からは丸見えな箇所であるため、真鍮パイプを曲げ加工して作製した。
照準機カバーを取り付けた状態。
写真では影になってしまい分かりにくいが、肉眼でははっきりと見える部位である。
車体前面の機銃は真鍮パイプにて作製した。
牽引用ワイヤーは縒り真鍮線を使用し、フック部は真鍮パイプとの組合せで再現 した。
車体の側面に取り付けている写真が多数あるため、それを参考としている。
予備転輪はキット付属のパーツに多少手を加えて使用した。
実車の戦場写真では戦闘室前面に取り付けているものがあるのだが、現存する車両ではこの位置には予備転輪固定用の基部とおぼしきものが無い為、どの様に取 り付けたかは不明である。
III号突撃砲の後部予備転輪固定部に見られるような台座を設けて取り付けたのであろうか?
工作が完了した状態。
主砲が大き過ぎる気がしないでは無いが、これで完成とする。
正面及び背面から見た状態。
車体前面にはそれなりに手を入れたがエンジンルーム等はほとんど手をつけなかったため、キットの素の状態である。

2005.11.06  下地 塗装
塗装前のパーツ割状況。
奥まった部位の塗装を円滑に行なう為、適度にバラした状態で塗装に入る。
下地にはマルチプライマーを使用した。
塗装にはエアブラシを使用し、マルチプライマーは希薄せずに塗装している。
塗装後、1時間程乾燥させて次の工程に移ることとなる。
サーフェイサーを吹いた状態。
希薄したMr.サーフェイサー 1200をエアブラシで塗装した。
影となる部位にラッカーのレッドブラウンを吹く。
陰影の表現のみならず、奥まった部位の下地色ともなるため、特に足回りには入念に吹いている。
履帯の基本色となる濃いグレーを吹く。
この部位に使用する色は研究途上であるが、今回はダークグレー+フラットブラック+ジャーマングレー少量を足したものを使用した。
基本色となるダークイエローを吹く。
基本色まで塗装した段階で時間切れとなってしまったため、迷彩は後日の作業と した。

2005.11.10  迷彩
迷彩を行なう。
今回想定している迷彩は、東部戦線 1943年春〜夏に見られた細い線で構成される三色迷彩である。
この時期はスターリングラード戦(1942.6月〜1943.2月)〜クルスク戦(1943.7月)の中間時期にあたり、スターリングラード戦に投入され た本車の生残りが存在していた時期にあたる。戦場写真ではこの時期の迷彩とおぼしき姿が残されている為、荒唐無稽な設定というわけではない・・・と思う。
アクリル塗料のオリーブグリーンで縞状の迷彩を施す。
ラッカー塗料の同色は粒子が荒いのか細い線を描こうとすると周囲に飛びってしまう傾向があるため、今回はアクリルを使用してみた。試した結果、傾向はラッ カー塗料と大差は無いが、多少はマシといった感じである。
ラッカー塗料のレッドブラウンで三色目の色を吹く。
予定よりもダークイエローの露出が少なくなってしまい、色面積比率的に大戦後期の迷彩に近くなってしまった気がする。
全体のトーンを落す為に、ダークイエローを軽く吹く。
通常はこの様な処理はせずに、ウォッシングやウェザリングの段階で迷彩を基本色に溶け込ませるのだが、今回は特に迷彩を薄目にしたいと考えていた為、この 段階で色調の調整を行った。
細部の塗り分けを行なう。
シタデルカラーのブラックで転輪のゴム部や工具類を塗装する。シタデルカラーは隠蔽力の強い塗料であり、筆塗り時の塗料の伸びも良い為、細かい塗装には適 している。
ドイツの戦車はとにかく転輪が多い為、分解して塗装することができないレジンキットでは転輪ゴム部の塗装は大変面倒くさい作業となる。
デカールはBISON DECALS製1:72/1:76 突撃砲用デカールの中に含まれるSIG33B用のものを使用した。
戦闘室両側面とエンジンルーム上部の雑具箱に国籍マーク+車体番号を張った。

2005.12.11  仕上 げ
仕上げとしてウェザリングを行なう。
元のキットが良いため、制作にはさほど手間がかかるとは考えていなかったが、完成に到るまで2ヵ月かかった。
コピックマーカーを使用して細部に濃淡を付ける。
E18 Copperを中心にE25 Caribe Cocoa、W5 Warm Gray No.5を使用し、カラーレスブレンダーでぼかしと墨入れを行った。
パステルにて足回りの泥汚れを表現する。
アクリル溶剤を塗布した上にパステルを乗せる方法を用いたが、予定より色が濃くなり過ぎてしまった。
エナメル塗料にて塗装の剥げを表現する。
エナメル溶剤にて落してやり直しが可能な為、多少オーバー気味に塗料を乗せた。
剥げ表現の上にラッカー塗料のラストを乗せる。
塗料の剥げ具合はこの段階で補正を行い、剥げの箇所が露骨に成り過ぎないように調整した。
足回りの泥汚れの表現を再度行なう。
埃っぽい雰囲気にしたいと考えていた為、多少多めにピグメントを使用し、はけで余剰分を落す方法を用いた。
戦車兵は下地にフィールドグレーを吹いた後、肌の露出する部位は隠蔽力の強い 水性塗料にて塗装した。
マスキングをして各部にドライブラシをかけ、コピックマーカーで色調の調整をしている。
フィギュアの塗装はこれまで行なってこなかったため、今回は手探りでの作業と なった。
肌の陰影処理など課題は多いが、今回はこれにて完成とする予定である。
背面から見ると、1/72のフィギュアでは寸法が大きい気がする。
取り付け位置の調整や色調の調整でもう少し車体との親和性を高めた方が良いとは思うが、それは次作以降の課題とする。