Sd.kfz.186 Panzerjager Tiger Ausf.B "Jagdtiger" Eary Model
ティーガー戦車駆逐車 B型(初期型)ヤークトティーガー

2009.01.28   制作開始
キットの構成は写真の通り。細部の形状から比較的初期の車体を参考に作成されたと思われる。
足回りのパーツはテーガーIIと共通化されているため、本来の1/76よりも車長が短いという問題を抱えている。

予備履帯と戦車兵が付属しているが、装備品は大胆に省略されている。ただし、これは欠点とは言い切れず、低品質な装備品が一体成形されているよりは作り込 みがやり易いとも思える。

また、古いキット特有の押し出しピン跡が露骨についておりこれらの処理が必要となる。
砲身はアベールの1/72用のものを使用する。
アルミ挽き砲身はパーツ精度が安定しており、使い勝手の良いパーツである。
旧ニットーのキットをベースとしたハイブリッドパッケージのヤクトティーガーに付属する金属パーツを徴用。
エンジングリルのカバーとペリスコープはエッチングパーツ、予備履帯はホワイトメタルパーツとなる。
履帯も旧ニットー製キットの新パッケージ版に付属するものを徴用する。


車体長の修正に着手する。
実写の図面を見ていて気がついたことは、車体延長の際に転輪間の延長は行なっておらず、誘導輪が後方に移動する方式で対処している点である。
作りとしては合理的な方法であり、改造する際にもありがたい構造である。

適度な位置で切り落としたあと、EverGerrnの1mm角プラ材を並べて車体を延長する。
車体の延長箇所の判定を行なう。
1/35の図面を元に寸法を計算した。
結果、エンジンルームは寸法通り、戦闘室上部は若干短く、車体前部が極端に短くなっている。
このため、車体前部を大幅に延長し、戦闘室上部の調整は戦闘室前面と背面の接着角度で調整することで寸法を調整することとした。
足回りと同様の方法で延長を行なう。
プラ材を積層させ、戦闘室前後の装甲接着角度を調整する。
車体前部の延長の結果、足りなくなった部位をプラ材で追加する。
車体後部のパネルは押し出しピン跡がある。
溶きパテで穴を埋め、ヤスリで調整する。
戦闘室後部も同様の対処を施す。
戦闘室前面は押し出しピン跡の修正を行い、主砲基部の組立てを行った。
角度調整の仮組みを行う。

2009.02.02   車体作成
主砲の開口部は傾斜面が実車と異なるため削り込みで修正を行なう。
調整する際に上部の筋彫りが消えてしまったが、目立てヤスリで再生させている。
車体と前面装甲の接合。
微妙に寸法が合わなかったため、プラ材で高さ調整を行なった上でパテで隙間を埋めた。
戦闘室の背面装甲も取り付ける。
こちらはそもそもキットの取り付け角度が狂っているため、削り込みと詰め物で大幅に修正を行なっている。

大きい隙間は流し込みタイプの接着剤とプラ材を駆使して埋め、細かい隙間はパテで埋める。
余剰部を落し、紙ヤスリで平面を出して行く。
車体上部と組み合わせた結果、車体下部の長さが足りないことが判明した。
リテイクするため、一度組んだパーツを切除して修正を行なう。
修正が完了した状態。
白い部分が今回付け足した部位となる。

+4mmするのが正解のようで、1mm角のプラ材を4本束ねて隙間に入れている。
側面の延長箇所は実車の構造に即しているが、底面は作業がやり易い場所を適当に選んで延長している。。
車体背面の装甲を削り込む。

キットの状態ではパーツの合いが非常に悪いため、この作業は必須と言える。
車体を組み合わせた状態。
車体長の面での整合は取れたので、次は車体高の調整に手を付ける。

2009.02.10   主砲
主砲はアルミ挽きのアフターパーツを使用する。

使用するパーツはABER製 1/72 128mm Pak 44(80) L/55である。
スケールが異なるがキットパーツと比較して寸法的には大きな狂いは無いように思われる。
主砲パーツは3点に分かれる。
構成自体はキットの部品構成と変わらないため、構造面では特に手を入れる必要はない。
防盾の形状を調整する。
大まかな寸法と形状は正しいのだが、古いキットであるため細かい調整が必要となる。

試作の1〜4号車は主砲を側面から捉えた写真が多数残っているため、これらを元に削り込みを行なう。
試作3号車までは防盾に補強用と思われる薄い突起部が存在するが、4号車からは生産車と同様に防盾の側面はフラットな構造となっている。
砲の基部と防盾を接合した状態。
接合部には段差があるため、これを再現するためにプラ材を巻きつけている。

また、防盾は鋳造にて生産されていたため、鋳造面を再現するために溶きパテを使用してテクスチャを付けている。
主砲を取り付けた状態。
接着には高強度瞬間接着剤を使用している。
実車に合わせて溝の彫り込みと砲を吊り上げるための金具を取り付ける。

キットでは成形上の限界からか細かいモールドは全て省略されているが、後工作をする際に邪魔になるような加工がされていない分、作り込みはやり易い。
金具は実車と同様の薄さと以降の工作に耐えられる強度を考え、真鍮板から削りだしで作成している。

2009.02.21   車高調整と溶接跡再現
戦闘室の雰囲気は良いのだが、寸法的な正確さという観点では実の所かなり問題 がある。
戦闘室の傾斜角がキツく高さも不足気味であるため、戦闘室上面が広すぎるという結果になっている。

傾斜角補正は難しいため、プラ材を積み上げてかさ上げを行い、あとは側面の削り込み角度で上面の面積を調整するという妥協案で対処することとした。
積層したプラの側面はパテで隙間埋めを行なう。
側面の削り込みを行い調整する。
戦闘室上面の工作を考えやや柔らかいプラ板を使ったことが災いし、削り込みで十分か鋭角が取れなかった・・・・
実車に見られる戦闘室の箱組溶接の跡を再現する。

1/35の図面から1/76の寸法を計算し、当たりとしてマーカーを付ける。
マーカーに沿って彫刻刀で溝を彫る。
掘った溝に沿ってEverGreenのプラ材(0.5mm厚 1mm幅)を流し込み型接着剤で貼り付ける。

ある程度柔らかくなるまで貼り付けたプラ材に接着剤を塗布する。
プラ材が溶け初めたら、車体よりやや凹んだ状態まで上から押しつぶす要領で彫刻で溝に押し込んで行く。
工作作業を終えた状態。
一つの角で8箇所の溶接跡があるため、計32箇所で同じ作業を繰り返す。
プラの押し込みに使用した彫刻刀。
先端がやや丸くなっているものが使いやすく、プラを押しつぶしつつ、溶接跡を刻む要領で使用した。

2009.03.15   ツィメリットコーティング
車体前面に装備された機銃ポートは形状・寸法・位置全てがおかしいため、作り なおしを行なう。



機銃ポートはWAVE製のHアイズを使用する。
在庫から適した寸法を探したところ、クリアで成形された6mm径のものを使用することとした。
エッジを落しヤスリで調整を行った後に機銃口をあける。
クリアのプラスチックは強度が高いため、そのままナイフを入れると割れる可能性がある。このため、ピンバイスで径の小さい穴を開け、徐々に穴を広げて行く 方法で加工して行く。
車体側の工作。
車体に成形された機銃ポートは切除し、穴をくずプラ材で埋める。

他の箇所も不要な穴は同様の方法で埋めている。
余剰部を切り落とし、ヤスリで表面を整える。
図面や写真を参考に機銃ポートを接着する。
足回りの上部は寸法がやや短いためプラ材で延長している。

また、あれこれ作業をしている内に車体上下の張り合わせ部に隙間ができるようになってしまったため、プラ材を噛ませて誤魔化した。
車体にツィメリットコーティングを施す。
ツィメリットコーティングの表現方法は様々な手法があるが、定番ではあるがタミヤの速乾性エポキシパテを使用して行なうこととした。

まずは適当な分量のエポキシパテを練り、施工する面に適当に張り付ける。
次に全体にパテを伸ばす。
この段階ではいかに薄く伸ばすかが重要であるため、どの様な道具を使用するかが悩ましいところである。

小回りの効きそうな道具であれこれ試した結果、溶接跡の作成時に使用した彫刻刀の刃の柄を使用して伸ばすこととした。
伸ばしたパテにパターンを入れて行く。
パターンの入れ方にも色々な手法があり、先輩モデラーの方々が様々な方法を用いてきた分野である。
近年の研究で実車ではローラーを使用して施工したのではないかとの説が有力となっているが、ミニスケールの模型で同じ方法を取ることはなかなか難しい様に 思える。
今回はティーガーIを作成した時と同様に、ヤスリの背を使用したパターン付け を行った。
パターン付け+パテを薄く伸ばす作業を同時に行なう要領で、パターンを入れて行く。
はみ出した部位な硬化後に切除するため、パターンが入れたい位置にしっかりと入っているか否かという視点で作業を進めて行く。
車体前面への施工。

機銃ポートは車体側とはやや異なる施工が必要となるため、まずは車体側のみにパターンを入れた。
車体背面への施工。
一体成形済みのハッチ類を避けつつパターンを入れて行く。

最終的には排気管や工具類を取り付ける部分からはパテを剥がす必要があるが、作業効率や均質性を確保するため、全面にパターン入れを行なっている。

2009.06.01   サイドスカート作成
足回りの工作が遅々として進まないため、先にサイドスカートの作成に着手し た。
サイドスカートは車体延長に伴いキット付属パーツは使用できないため、資料図面と旧ニットーのキットに付属しているパーツの寸法を元に真鍮板からスクラッ チする。

今回は形状が単純なためマスキングテープでの形取りは行なわず、採寸を行い、素材上に直接下書きを行なう。
下書きに沿ってパーツを切り出す。

切り出したパーツはサイドスカートのパーツ割に沿って下書きを追加し、車体との接合用の取り付け穴を開口した。
車体前方の切りかけ部の形状を再現する。

切りかけ部は鋭角な形状のため、採寸と切り落しのみで特別な加工が不要であった。
折り曲げ加工を行なった状態。
ようやくサイドガードらしい形となった。
サイドガードのつぎ目にあわせて短冊状に切り出した真鍮板をハンダ付けした。
車体前方のマッドガードを作成。
切り出した真鍮板を曲げ加工した上で、側面の面追加と車体接合部の真鍮パイプをハンダ付けした。
真鍮パイプ内に真鍮線を通し、コの字に加工して車体との接合に使用する。
サイドスカート取付のため、側面のツィメリットコーティングを剥がす。
剥がすラインは一定の幅であるため、定規と鉛筆でマーキングを行なう。
マーキングに沿ってデザインナイフと彫刻刀でコーティングを剥がす。
車体との接合。
接合は定番の真鍮線を軸とした方式である。
他の工作と塗装の利便性を優先させるため、この段階では接着は行なわない。

2009.06.10   後部フェンダー
車体後部のフェンダーはサイドスカートと独立して取付られている。
このパーツもキット付属部品を元に真鍮板でスクラッチした。

写真を取り忘れたので途中経過は省略し、ある程度形になった状態がこちらの写真となる。
底面は0.3mmの真鍮板から切り出し、支えとなる部位は0.1mmの真鍮板を使用。車体との取付は真鍮線の差し込み方式とするため、コの字に加工した真鍮線をハンダ付けしている。
後部フェンダーの片側は折り畳める構造となっているようで蝶番が付いている。
蝶番は細く切り出した真鍮板に凸モールドを付け、真鍮線と組み合わせて再現する。
車体に取付た状態。
キットパーツを元にしただけあって、寸法に大きな狂いは無い様である。