Yagai-suigu I(Field kitchen)
野外炊具1号

2013.02.21 基礎工作
3トン半 災害派遣Ver.に含まれる野外炊具I型は写真のパーツと車輪のパーツで構成されている。
釜や台車部分はほぼ一体成型のパーツとなっており、細かい外装部品類は個々のパーツとなっている。
手始めにフェンダー部分に手を付ける。
キットパーツは写真の様な1パーツで構成され、フェンダーを延長する形で形成された台には滑り止めパターンのモールドが成型されている。
台の部位は実車では非常に薄くなっていることから、この部位は金属素材に置き換える。
使用するのはExtra Techの滑り止めパターン付きの真鍮板である。
キットパーツの寸法に合わせて素材から部品を切り出す。
滑り止めパターンはフェンダー左右の台部分とフェンダー上部に付けられていることから、この部位の差し替えと追加を行う。
当初は瞬間接着剤でのみ固定したが接着強度面で問題が発生したことから、金属パーツ同士はハンダ付け、金属パーツとプラパーツは真鍮線で軸を入れた上で瞬 間接着剤で固定する方式とした。
6器搭載されている釜は2x1と2x2の2パーツで構成されている。
大雑把には形は正確なのだが細かい部位は成形上の限界から大味になっており、手を入れるポイントとなる。
釜を台車に固定するためのフレームはを作りなおすため、手始めに整形されているモールドを全て落とす。
釜の取っ手類と釜上部の凸部を真鍮材で再現する。
釜を固定するフレームは真鍮板を細く切り出して作成する。
コの字型に加工したパーツに適度な長さに切り出した真鍮板をハンダ付けしている。
作成したフレームを釜に接着する。
接着面は比較的広いため、プラパーツ部の下処理を行った上で瞬間接着剤で固定した。
フレームが固着した段階で釜を台車に乗せてバランスの調整を行う。
フレームと車体の接合部は長めに作っているため、他のパーツとの干渉を見ながら適当な長さに切り詰めて調整する。
車体後部のランプ類を形成しているパーツ。
ナンバープレートを真鍮板に置き換え、ランプはクリアパーツに差し替えることを想定して凹モールドに整形し直す。
牽引部のパーツを作り直す。
実車ではコの字のフレームで形成されており、凹部にケーブルが配線された構成となっている。
キットでは写真の様な棒状のパーツとなっていることから、この部位を大幅に作り変えることとする。
手始めにキットのフレーム部を車体部から切り離す。
EverGreenのプラ材を使用してフレーム部を作成する。
牽引用のパーツはキットのものを再利用し、フレーム部分をプラ材に差し替えた状態。
仮組みを行なうと概ね形になっていることが分かる。
次に調理器具とエンジン類の作成と、細部の作り込みを行う。

2013.03.03 可動部の工作
実車の構造を模して、フェンダーを延長したステップの補強と車体との接合を行う。
車体側にプラ材の支柱を付けた後、細く切り出した真鍮板で支柱とステップを接続する構造とした。
牽引具側のステップはキット付属のパーツでは厚みがあるため、滑り止めパター ン付きのエッチング部材に置き換える。
キットパーツの寸法を元に部品を切り出し、瞬間接着剤で固定している。
ステップの支えは実車の構造に従い、プラ材で作成した支えを瞬間接着剤で固定 している。
アウトリガーを作成する。
これは停車時に支えとして使うもので、停車地の状態により伸縮幅を調整できる構造となっている。
シャフトはプラ材、接地面は真鍮板を使用し、シャフトには伸縮調整用の穴を開ける。
アウトリガーと車体の固定は真鍮板より作成した箱状のパーツにより行う。
シャフトの接着は行わずに抜き差しが可能な構造とした上で、固定具とシャフトの穴に真鍮線を通すことで固定できる構造とした。
万能調理具とエンジンまわりを作り込む。
キットのパーツを基本にプラ材・真鍮材で足りない部位を補って行く。

細かい部位であるため、厚みと強度の関係から真鍮板を主な部材として、万能調理具の足りないパーツを補った。
また、万能調理具とエンジンの接合構造はキットの素の状態では再現されていないため、キットパーツを軸に手を加えて再現を試みた。
エンジンと万能調理具は写真の様な配置となる。
エンジンの動力はベルトを伝い万能調理具を動かす構造であるようだ。
万能調理具の外装にあるホースの様な構造は真鍮パイプを使用して再現した。
パイプ構造の軟質素材は手持ちがないことから真鍮材を使用したが、このような部位に使用出来る素材を探しておく必要がありそうだ。
牽引車の前輪を可動式とする。
前輪の軸をやや太めの真鍮線に置き換え、潰し加工を施した上にピンバイスで開口し、真鍮線の軸を通して可動式とした。
本来は前輪の軸には回転軸も備えているのだが、適切な構造が思いつかなかったため省略することとした。
牽引時には写真の様に折りたたむ。
ロック機構が無いことから、この状態をどのように保持するかは課題となる。
車体前方下部に見られるスイッチボックスの様な部位のカバーを作成する。
真鍮板を切り出し、折り曲げ加工の上にヤスリがけで形状を調整する。
ボックス部とは真鍮線で接合する。
一応、開閉可能な構造としてあるが、加工の精度が低く今ひとつ出来は良くなかった。
前後に取り付けられている作業台と思しき部位を作成する。
キット付属のパーツは接着することが前提となっているため、これを加工して稼働可能な構造とする。
釜側への取り付けは真鍮材を使用する。
適度なサイズに切り出し、固定用の穴をピンバイスで開けた後に若干の曲げ加工を行う。
釜側にも固定用の穴を開ける。
真鍮線をコの字側に加工し、固定具と釜を接合する。
位置が確定した所で瞬間接着剤を使用して固定した。
接合部にキットパーツをぶら下げる形で位置を確認する。
展開時に下支えをする部位を作成する。
他の部位の形状を測定し、真鍮線を曲げ加工を行う。
加工した真鍮線を0.2mm経の真鍮パイプにハンダ付けする。
作成したパーツに合わせて固定部位に穴を開け、0.2mmの真鍮線を軸にして 固定する。
真鍮線を軸に可動する構造であることから、写真の様に折りたたむことができ る。
作業台を展開した状態。
作業台を折りたたんだ状態。
牽引時に車両側へ接続するためのワイヤー類を金属素材で作成する。
非牽引時には牽引車側のフックに固定する構造となっているため、ケーブルの先端には小型のチェーンを取り付けて固定できる構造とした。
キットには付属しない消火器を作成する。
プラ材と金属材を組み合わせて外見を似せることを優先して適当に作っている。
車体の下部に消火器を取り付ける。
塗装の利便性を優先し、接着はせずに真鍮線を軸とした差し込み構造にしている。
作り込みはこれにて完了とした。
かなり細かい作業が多く、作成にはなかなか手間取ってしまった。
炊事時の状態はこのような形となる。
可動部が多いことから、塗装作業時にはどの様な段取りで作業を進めるか考える必要がありそうだ。
2013.05.28 塗装と仕上げ
塗装と仕上げを行う。
金属部材を広い面に使用しているため、下地にはマルチプライマーを使用する。
マルチプライマーの上にサーフェイサーを吹く。
基本色はOD色の単色を使用した。
OD色にフィールドグレーを混ぜ、徐々に明度を上げた色を数回に分けて吹く。
最後の一回はつや消し白を混ぜた塗料をハイライトとなる箇所に軽く吹きつけておく。
細部の塗り分けを進める。
釜の操作盤は薄いグレーで塗り分け、ボタン類は水性塗料にて塗り分ける。
ランプ類はWAVEのプラスチックレンズを使用する。
ピンクの成型色のレンズにアクリル塗料のクリアレッドを塗った上で使用している。
テールランプ類を塗り分ける。
下地としてファレホのつや消しホワイトを筆塗りし、タミヤのアクリル塗料よりクリアレッドとクリアオレンジを筆塗りする。
過去にはエナメル塗料を中心に使用してきたが、塗料の粘度の具合からアクリル塗料の方が乗りが良かった。しかし、筆圧が強すぎると下地の水性塗料を侵食す る可能性があるため、注意が必要である。

背面にあるランプもWAVE製のプラスチックレンズを使用している。
ホイール部を塗装する。
車体とは色合いを変えるため、車体とは若干異なる色合いに調整した。
消火器を塗装する。
下地は隠蔽力の強いシタデルカラーのレッドを使用した。
各所を塗り分け、注意書きの部位をデカールで再現することとした。
適当なサイズの白色のデカールを調達し、下地として貼り付ける。
青いラインのデカールが欲しかったのだが、戦車関連ではあまり使われない色合 いであったためか在庫には無かった。
そこで、ハセガワのロゴが調度良い色合いであったため、これを使用することとした。
適度なサイズに切り出したデカールを貼り付ける。
キット付属のデカールも貼ってゆく。
実物資料を確認すると細かい箇所に注意書きや銘板と思しきものが見て取れることから、これらも余り物のデカールを使用して再現してゆく。
ナンバープレートと所属のデカールはキット付属のものをそのまま使用した。
足回りを中心に汚れ塗装を施してゆく。
エナメル系の塗料を中心に使用し、ブラウン、フラットアース、ダークイエローの今後色を流してゆく。

タイヤ周りは溝に溜まった汚れを再現するため、生乾きの状態で溶剤を付けた綿棒で塗料を拭き取る工程を踏んでいる。
細部の塗り分けを進めてゆく。
ハイライトとなる箇所は、薄めたフィールドグレーを乗せている。
最も傷みやすいと思われる足場には剥げの表現も加えてゆく。
軽くドライブラシを施すだけでこのような雰囲気になるのは、使用したエッチングパーツの品質故である。
万能調理器具周りを塗り分ける。
エンジンの塗装は幾つかパターンがあるようだが、今回はメリハリを付ける目的でブラックの単色とし、薄く解いたダークイエローの流している。
釜の側面は塗料のハゲによる地色を再現するため、タミヤペイントのシルバーを軽く乗せておく。
車体と釜の汚れに差異を付けることに注力しすぎたせいか、ややオーバーな表現となってしまった気もする。
こちらも本来は実物を見た上で塗装を施したかったのだが、なかなか現物を見れるものでもないので手持ちの資料だけで仕上げている。

支援系の機材の塗装についてはリサーチするにも資料が不足しており、使われている現場の写真も少ないことが難点である。
野外炊事シリーズは、1号改、22改と計3バリエーションあるため、今後の余力を見てこれらに改装することも試してみたい。