IBG ModelsのIV号戦車A型の作り込みを行います。
今回はIV号戦車シリーズを作る流れの一つとなりますので、過度な作り込みは行わずに特徴的なポイントのみ手を入れます。
IV号戦車A型は、先行量産型として1937年~1938年までに35両が生産されました。
先行量産型ではありますが既に短砲身の75mm砲を搭載しており、以後のIV号戦車シリーズに共通する多くの要素が取り入れられていました。しかし、戦争状態に入る前に生産された型であったためか装甲防御力は小火器を想定した程度しかなく、以後の型(~E型)では装甲防御力の強化を主眼においた改良が重ねられることになります。
ポーランド戦、フランス戦、独ソ戦の初期まで使用されていた様ですが、現地改修されているような写真はほとんど無く、多くは初期装備のままで使用されていた様です。
車体形状の若干の違いと車体側面の対空機銃架が見られる以外は、他の型と異なる箇所は少ないように思われます。
まずは、このシリーズにおける最大の問題点である背面装甲の手直しから入ります。普通に組み立てると機関室の給気口と車体の間に目立つ隙間ができますので、プラ材を使用してこれを埋めます。続いて面を整えたあと、背面装甲板を固定するボルト・ナットの再現と、牽引用ワイヤーを固定するフックを作成します。
続いて、A型特有の装備である対空機銃架を作成します。この装備を使用している写真が見つからなかったため使われ方が分かりませんが、形状ははっきりと分かる資料が多数ありました。
繊細な部品となりますので、真鍮パイプと真鍮線をハンダ付けして作成しました。
機銃架の軸は0.2mm径の真鍮パイプを使用して組み立て、中に0.2mmの鋼鉄線を通してコの字加工を行い、鋼鉄線を車体に差し込む形で固定することで可動出来る構造にしました。
車外装備品の形状は概ね良好ですが、高さがあるパーツの造形は不十分な箇所がありましたでプラ材で補強しています。
アンテナケースの固定方法が他の型とは異なるため、固定具の作成と位置の調整を行いました。また、他の型のモデルでは再現されていたエンジン始動用のクランクが省略されていましたので、真鍮線を使用して再現しました。
砲塔のキューポラは成形上の限界から再現されていなかった視察孔を彫りました、砲塔全体は良好な形状であったため、把手とクレーンで釣り上げる際のフックを金属材で再現した程度です。
キットの素性が良いことと、実車自体も現地改修などのバリエーションが少ないことから、あまり作り込む余地がありませんでした。ポイントを絞った改修で精密感を上げることが出来る箇所が幾つかありますので、これらに手を入れるた程度で完成とします。
他の制作が進むまでは塗装待ちとなります。