7月29日より封切られた邦画「シン・ゴジラ」を鑑賞してきました。

読み取り画像001

小さい頃に怪獣モノに嵌った世代ではありますが、ゴジラを映画館で観たのは1984年公開の「ゴジラ」のみ、あとはテレビで流れている何作品かを見ただけでした。このため、今回の映画についても世間が騒いでるなという程度の認識で、全く注目していませんでした。

その様な中で鑑賞の契機となったのは、普段聞いているラジオ番組において二日連続で二人の異なるコメンテーター(評論家と経済学者)が大絶賛し、特に危機管理政策にも通じたコメンテーターから「官邸の動きがよく研究されており、かなりリアルに再現されている」との発言があったため興味がで出てきました。

予告編を見た感触では前述の官邸関連のシーンの他に、10式戦車が出ていたり対戦ヘリの誘導弾の動きが妙にリアルだったりと、自衛隊の現用装備に興味がある人向けの要素もかなりありました。

 

この手の映画はネタバレをしてしまうと面白さが半減してしまうため、まずはネタバレを回避して感想を書きます。

時間の都合が付きそうな水曜の夜に見に行きましたが、250席ほどある館内はほぼ満員。チケット購入の列では、この映画のネット上の評判を聞いて見に来たという会話がちらほら聞こえてきました。上映後の帰りの列でもネガティブなコメントは聞こえず、肯定的な意見が多い様に感じました。

本作は第一作目の「ゴジラ」と同じ立ち位置の設定であるとのことで、初めて現れたゴジラに対して日本政府・日本人がどう立ち向かうかが描かれています。このため、全編を通して第一作目や1984年版と同じ人知を超えた脅威であるゴジラがもたらす災禍と恐怖が十分に伝わる内容でした。しかし、前2作には無かった要素としてゴジラがもたらした未知の分子構造により飛躍的に科学技術が発展する可能性が語られており、人知の届かない脅威と未来の可能性が同居した状況でどちらを取るのかというテーマが見えてきました。この他にも二律背反の要素が随所にみられ、劇中では人々の選択が悪い結果をもたらすこともあれば、良い結果をもたらす場合もあるということが描かれています。

 

鑑賞の契機となった件の官邸のシーンは前評判通り、自衛隊の装備が登場するシーンは実写とCGは半々くらいとなっていて、CGパートも概ね良い出来であると思いました。登場した自衛隊の装備はWikipediaですでに一覧化されていますが、鑑賞しながら確認できた陸上自衛隊の兵器は以下がありました。

 

AH-1S 攻撃ヘリ

AH-64D 攻撃ヘリ

OH-1 偵察ヘリ

UH-1J 多目的ヘリ

CH-47J 輸送ヘリ

10式戦車

機動戦闘車

99式155mm自走榴弾砲

M270 多連装ロケット発射装置(MLRS)

82式指揮通信車

化学防護車

除染車

軽装甲機動車

高機動車

トラック各種(3トン半、1トン半)

 

第一作目の「ゴジラ」は第二次大戦終結の9年後に作られ、市街地が燃えるシーンは鑑賞者に東京大空襲の惨禍を思い出させたと言われています。これに対して今作の「ゴジラ」は5年前の東日本大震災と福島原子力災害を思い起こさせるシーンが随所に盛り込まれており、あの時の出来事を体験を思い起こさせるものがありました。そしてゴジラという厄災に対して政治家・官僚・軍人・民間人が協力して立ち向かうという構図も、当時を思い起こさせるに十分な演出であったと思います。

非常にテンポよく話が進んでゆくため集中力が切れることなく最後まで見切ることができますが、情報量が膨大なため追いつけない箇所もありました。

見終わった後の後味は良いため、久しぶりにもう一度見たいと思える映画でした。