2月13日、マレーシアにおいて北朝鮮の前総書記 金正日氏の長男である金正男氏が暗殺される事件が発生しました。

金正男氏は現総書記の金正恩氏とは腹違いの兄にあたりますが、2001年に偽造パスポートを使用して我が国へ入国しようとしたところを拘束され、これが原因となって後継者争いから脱落したとされています。

その後、事実上チャイナに亡命をしており、チャイナ側では北朝鮮にて政変を起こす際の旗頭として保護していたと言われています。金正男氏は北京・上海・マカオあたりを中心に活動していたらしく、マレーシアには数日前から訪れていたそうです。

 

多くのメディアでは「何故に暗殺されたのか?」というような趣旨の記事が多い様に感じますが、上記の経緯を考えれば国家分裂を誘発しうる脅威として排除したと考えることが自然であるとかと思います。

このため、重要なのは「何故に今なのか?」という観点ではないでしょうか。

金正男氏はチャイナとの繋がりを理由に2013年に処刑された張成沢氏と関係が強かったとされており、チャイナの息がかかった勢力を一掃するのであれば4年前に暗殺されていても不思議ではありません。今回の事件にてあっさりと暗殺出来た(居場所を特定し、対象を識別し、工作員が直接接触した)ことから、技術的な問題で暗殺が実行されなかった訳ではなかったと推測します。このため、2017年まで暗殺が実行されなかった理由としては、北朝鮮政府と金正男氏の後ろ盾となる勢力との政治的な要因があるように思われます。

以上を踏まえますと、「何故に今になってチャイナの庇護が無くなったのか?」という観点が出てきます。

北朝鮮とチャイナの活動の連動性を考えると、2月11日~12日に行われた日米首脳会談に対応するタイミングで実行された弾道ミサイルの発射実験が思い当たります。2月12日の投稿で記載しましたが、韓国の政界が荒れている今の時期に弾道ミサイルの発射実験を行うことは北朝鮮にとっては国益に反するため、何故にこのデメリットを容認したのかという点は謎でした。

チャイナと北朝鮮の関係は2013年の張成沢氏の処刑以降は冷え込んでいると言われています。このため、北朝鮮がチャイナの一方的な要求で国益を無視した行動をするとは限らないため、何らかの取引条件があったのではないかと推察されます。

この取引条件が今回の暗殺の容認であったとした場合、北朝鮮の国益の観点から見ると、既に経済関係が断絶して久しい日米に対する挑発行為と国家分裂の要因排除を天秤にかけることとなります。更にミサイル発射実験に成功すれば、外国への技術力のアピール(=外貨獲得の機会拡大)にもなるため、チャイナと取引をした方が国益に適うと思われます。

 

物的証拠がある話ではありませんので上記は全て推測です。しかし、物事には流れがあり、事象には原因がありますので、北朝鮮の国益の観点から考えてみた時には、この辺りの流れに収まるのが自然ではないかと思います。

この推測の確度を図る手段としては、今後のチャイナ側の動きを観察すると良いかと思います。チャイナの意思を無視して暗殺を実行したのであれば、チャイナは国家の威信をかけて何らかの実力行使を行うでしょうし、チャイナが容認していたのであれば表面的な非難だけで終わるでしょう。

また、この推測が正しいとすれば、恐れるべきは北朝鮮の諜報機関の実力です。12日のミサイル発射の翌日には旅行先で暗殺を実行していることから、旅行先まで追跡して場所を特定する能力と指令を受けて現場が即座に暗殺に移れる準備がなされていることを示しています。

 

暗殺の実行犯は女性2人とされており、内一人の画像が公開されました。

この画像を見て、目が行ってしまったのが服に書かれた「LOL」の文字・・・・・

「LOL」とは「Laugh out Loud」の頭文字を取ったネットスラングで、直接的には嘲笑を意味しますので、我が国では「(笑)」とか「(藁)」とか「www」などに該当します。

転じて、ネットゲームの世界では倒した相手を嘲笑する(挑発する・侮辱する)意味で使う略語になります。果たしてそこまでの意図があったのかは分かりませんが、事件の内容よりもこの服のデザインに話題を持っていかれた気がしました・・・