フジミの1/72ミリタリーシリーズの1/2t トラックの派生型作成の続き。

今回は作成記事ではなく、迷彩が施された1/2t トラックに関する考察となります。

迷彩が施された1/2t小型トラックは、とある用件で訪れた富士学校において実車を見たことが作り始めた契機となります。

現地では写真を撮ることが出来ませんでしたので、特徴的なポイントとしてウインチが取り付けられていることを記憶して帰り、作成にあたってはネット上の写真を参考にすることとしました。

当初は単に一部に改造が施された迷彩の車両程度の理解でいましたが、写真から細部を見てゆくと単に迷彩が施されているのみならず、標準型とは随分と異なる個所が読み取れるようになりました。

この派生型車両についてはネット上においても写真や情報も少ないため、写真の出元を中心に情報を整理してみることとしました。

車体側の装備が類似する派生型としては、こちらの何らかのレーダー装置を搭載した車両が存在します。

キャビンには大掛かりな改造が施されており、折り畳み式と思しきアンテナが取り付けられています。まずはこの派生型から調べることとしました。

結果、この派生型は12式地対艦誘導弾を構成するシステムの一部であることが分かりました。

12式地対艦誘導弾 (発射機搭載車両)

12式地対艦誘導弾を構成するシステムは、以下の様になっています。

捜索標定レーダー装置 (JTPS-P26):2基(1/2tトラックに搭載)
中継装置 (JMRC-R5):1基(1/2tトラックに搭載)
指揮統制装置 :1基(3 1/2tトラックに積載)
射撃管制装置 :1基(3 1/2tトラックに積載)
発射機搭載車両 :1-4輌
弾薬運搬車 :1-4輌

先ほどのレーダーを搭載した車両は「捜索標定レーダー装置(JTPS-P26)」となり、車体側の仕様が同じであることから「中継装置(JMRC-R5)」が迷彩が施された1/2t小型トラックの正体であるようです。

88式地対艦誘導弾 (発射機搭載車両)

また、一世代前の88式地対艦誘導弾でも同様の装備があるようです。

88式地対艦誘導弾を構成するシステムは、以下の様になっています。

捜索・標定レーダー装置(JTPS-P15) :1~12基(1/2tトラックに搭載)
中継装置(JMRC-R5) :1~12基(1/2tトラックに搭載)
指揮統制装置 :1基(3 1/2tトラックに積載)
射撃統制装置(JTSQ-W5) :1~4基(3 1/2tトラックに積載)
ミサイル発射機搭載車 :1-16輌
予備ミサイル・装填装置搭載車 :1-16輌

こちらは捜索・標定レーダー装置(JTPS-P15)の形状が異なりますが、中継装置(JMRC-R5) は同じ車両が使用されていた様です。

捜索・標定レーダー装置(JTPS-P15)

12式地対艦誘導弾では88式地対艦誘導弾の弾体も運用できる様ですので、システムの一部に互換性があるものと思われます。

 

誘導弾システムは弾体を搭載した発射装置に目が行きがちですが、これらのシステムを支える複数の車載機材でシステムが構成されています。

地対艦誘導弾システムは誘導弾自体は数百キロの射程がありますので、射撃統制・発射装置は内陸部に配置し、捜索・標定レーダー装置を沿岸部に進出させて索敵・標定を行う運用が行われます。このため、沿岸部のレーダーと内陸部の射撃統制・発射装置の間の通信を確保する装置が中継装置となるのであろうと思われます。

これらの車両はシステムの一部として存在は知られていますが、具体的に取り上げられる機会はほどんどありません。幸いにして実車の写真はネット上に上がっていましたので、単なる迷彩バージョンとして作り始めた本車は中継装置(JMRC-R5)として仕上げる方向で作業を進めようと思います。