自衛隊モデルコレクションの89式装甲戦闘車を作り直す作業を更新。

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少し間が空きましたが、89式装甲戦闘車制作の更新です。

年度末、しかも本業ではやや大型案件の対応中であるため模型に割ける余裕があまりありませんが、毎日少しでも手を動かす様にしています。

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砲塔は個々のコンポーネントを作り込み、ようやく完成となりました。

ベースとなる部位は元のパーツを使っていますが、細部はかなり大幅に作りなおすこととなりました。

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素の状態と比較すると写真の様になります。

次は車体に手を付けますが、まずは資料写真とパーツを観察してどこから手を付けるかを考えています。

砲塔ほどに手間はかからないと思いますが、こちらもなかなか手強そうです。

 

以下、実車に関する雑談と考察となります。

89式装甲戦闘車は90式戦車に随伴できる兵員輸送車として開発されましたが、300両を超える90式戦車に対して、わずか68両しか調達されていません。

配備が進まずに調達終了となってしまった理由としては、価格の高さもさることながら、本車は設計当時に主流であったコンセプトを盛り込んだ結果として複雑化してしまい、普通科の手に余るとの話もありました。これは模型を作っていても感じることで、非常に複雑な面取りと多用な装備が設けられていることが分かります。

 

また、イラク戦争・アフガニスタン戦争を過ぎた現在において、本車の装備は求められる機能から外れてしまった様に思われます。

主砲の35mm機関砲は設計当時は世界の主流に沿った装備でしたが、先に上げた2つの戦争の戦訓から市街地で使用すると貫通力が強すぎ、思わぬ二次被害が発生することが報告されています。

このため、各国は大口径砲を装備した車輌への編成替えを進めており、我が国においても機動戦闘車という形で昨年開発が終了しました。

 

機動戦闘車は正式化前にも関わらず昨年末に公開された中期防衛力整備計画では200両の調達が明記されており、普通科の装甲戦闘車としての地位が既に確定しているように思われます。

これは、陸上自衛隊の編成を機甲科中心から普通科中心に変更を変更していることとも関係していると推測されており、74式戦車と同一の火器を備えた機動戦闘車の操縦は機甲科で74式戦車を扱っていた隊員をあてることで、新装備への習熟期間を短縮し、普通科には複雑すぎる装備でも早期に戦力化することを考えているのではないでしょうか。(非常にロスの少ない編成替えだと思います)

この様な流れから、89式装甲戦闘車はその役割を既に終えており、90式戦車と共に北海道・九州の上陸正面に配備された後、耐用年数が過ぎると共に用廃となる運命にある思います。