Hobby Bossの2016年10月の新作、1/72スケール「M4 High Speed Tractor 155mm/8-in/240mm」を購入しました。同社の1/72スケールモデルは航空機と軌道車両を中心としていましたので、この分野の新作は珍しいと思います。
パッケージには英語と華語(簡体字)による車体説明が書かれていますが、何故か機種名は日本語の表記もありました。
この製品には「155㎜/8インチ/240mm用車体」の他に「3インチ/90mm用車体」のバリエーションが存在します。陸上自衛隊仕様で作ることを想定して、今回は「155㎜/8インチ/240mm用車体」を購入しました。
パーツ構成はシンプルで、シャーシとキャビンの一体成型パーツ、バリエーション共通の足回りと内装パーツ、バリエーション展開用の荷台周辺パーツで構成されています。
購入の決め手ともなったキャビンのパーツは装備品類も含めて一体成型で作られています。惜しむべきはキャビンのフロントガラスを再現するためのクリアパーツが付属していないことです。
車体側も一体成型で作られていますが、こちらも手を入れる余地がないくらい良い出来です。
荷台の砲弾ラックは弾頭のみ再現されています。左右の装薬ケースは空ですので、装薬を自作して入れてみるのも良いかと思います。
足回りは履帯も含めて一体成型で再現されています。ミニスケールモデルにおける履帯の一体成型には賛否両論がありますが、ゴムベルト方式よりはディテールの再現度が高く、作る側としても楽なので小型車両の場合には良い選択だと思います。
自衛隊に改組される前の保安隊の時代(1953年)、M4トラクターは155mm加農砲M2および203mm榴弾砲M2の牽引用として供与され、「18t 牽引車 M4」の名称で装備されました。
18t 牽引車 M4は20年余り運用された後、73式牽引車の配備に伴い1970年代に入り退役しました。
古い車両であり現存しているものも無いようですので、ネット上では全く写真が出てきません。
こういう時には書籍は非常に役に立ちます。手持ちを漁ると何枚かの写真が出てきました。
供与された装備をそのまま使用していた時代ですので、写真からは原型車と差がないことが読み取れます。前面のバンパーには桜マークと所属・車体番号が書き込まれていることが分かります。