台湾のドキュメンタリー映画「湾生回家」を鑑賞しました。
「湾生」とは台湾生まれの日本人、「回家」とは家に帰るという意味になります。
台湾は日清戦争の講和条約「下関条約」により1895年に日本に割譲され、大東亜戦争の「ポツダム宣言」を受諾した1945年までの50年間は日本の台湾地方となっていました。この間に九州・四国・中国地方等から幾度か開拓移民が行われ、台湾の東岸地域を中心に開拓村が作られました。この期間の間に台湾で誕生した日本人が「湾生」と呼ばれ、その多くは敗戦とともに本土に帰還しました。
これら湾生の台湾への思いを集め、また台湾に残った湾生の思いを綴ったドキュメンタリー映画となります。
本画では、縦糸として台湾人に養子として引き取られて現地に残った湾生の女性の母親の墓を子と孫が探す物語があり、横糸として数名の湾生の訪台風景を織り込んだような作りとなっています。
湾生が台湾を離れて70年以上過ぎているため、訪台して故郷に訪れても当時の知り合いの多くは鬼籍に入っており風景も随分と変わっていますが、山河は変わらずにあるため、これらを目にした湾生達が当時の思い出を語って行きます。
岩波ホールの単館上映で期間も今週末までとなっていますが、日本と台湾の歴史や湾生について知りたいと思う方には鑑賞をお勧めします。