やや時期を外した感がありますが、1月10日に陸上自衛隊の新装備「装輪装甲車(改)」の試作車が公開されました。

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装輪装甲車(改)

装輪装甲車(改)の試作品の納入について

 

車体の製造は小松製作所にて行われたそうです。車体の形状からすると、96式装輪装甲車と16式機動戦闘車を足して割った様な印象を受けます。

16式機動戦闘車は三菱重工製、96式装輪装甲車は小松製作所製となりますので、系譜としては96式装輪装甲車の発展型という位置付けということになるようです。

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公式の動画も公開されています。

車高が高いことからデザイン的には不格好、走行シーンを見ていると左右に振られている様な印象の映像がありますので、車高の高さから来る不安定さを感じました。

車高が高くなった原因は、IED(即席爆発装置)対策として設けられた車体の形状の影響の様です。車体の構造で爆発の威力を逃がす構造は世界の軍用車の流行ではありますが、他国の車両と比べても車高が高い点が気になります。

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今回公開された車両のバリエーションとしては、兵員輸送型、通信支援型、施設支援型が言及されています。車体側のモジュールを交換することで機能を交換できる仕様だそうです。

現在は兵員輸送車としての位置づけで説明がなされていますが、96式装輪装甲車は既に400両弱が配備されており、同一目的の装備としては2車種は過剰であるように思われます。

派生型の種類から見るに、現在は3トン半トラックなどでカバーしている通信機材などの移動式野戦装備の装甲化プラットフォームとして開発されたのではないかと予想します。この様な用途であれば、最前線に突入する訳ではありませんので車高の高さはさほど問題とはならず、路外走行や渡河能力などがあれば橋梁の強度の影響緩和して通信システムの移動ができるようになると思われます。

現在、陸上自衛隊は急ピッチで部隊運用の情報化を進めており、1月24日にはXバンド通信衛星「きらめき二号」を打ち上げています。この様な部隊運用に直接かかわる通信システムの機材を装甲化し、前線に近いところに自走で配備するという用途で考えると、路上・路外で十分な走行性能を示す8輪装甲車は妥当な装備の様に感じました。