6月末までは多忙な状況が続きますので模型の方は全く進まない状況ですが、ネットオークションを眺めていたら興味を引く製品が出ていましたので、悩んだ末に買ってみました。

 

ロシア軍の対空戦車 2S6M ツングースカの1/72スケールキットです。製品はUVレジンキットですの、3Dプリンタで出力されたガレージキットということになります。UVレジンの製品はIV号戦車用の稼働履帯を先日購入してみましたが、フルキットはこれが初となります。

写真は主要なパーツのみを撮影した状態です。総パーツ数は34点と少なめですが一体成型のパーツの繊細さは驚異的なレベルに達しており、細かいパーツが不要になっているとも言えます。

まず驚異的な部分は足回りです。転輪と履帯が一体成型で作られていますが、履帯のセンターガイドの穴まで再現されています。これまで見てきた製品の中でも、1/72スケールでこの部分を再現出来ていた製品はエッチングパーツ製の履帯部品だけでした。

続いて砲塔も驚異的な造形です。ペリスコープの抜けている点も凄いのですが、ハッチのグリップも中空の状態で再現されています。また、メンテナンス用のフックなども非常に薄いパーツで再現されており、手を入れるところが全く無い作りとなっています。

車体背面の牽引用フックも全てが中空で成形されています。旧来のキットでは全て真鍮線で置き換えて再現するような部位になりますので、作り込み要素がほぼなくなっていることになります。

牽引フックの成形状況はレジンキャストキットに近い作りになっています。こちらは塗装をしてみないと良さがわからない部位かも知れません。

こちらも驚異的な作りの部位となりますが、車体側面のメッシュ部分は開口状態が再現されています。これも従来であれば金属メッシュなどに置き換えて再現を行っていた部位となります。流石に全ての穴が成形されていませんが、ほぼ開口されています。

細かいパーツ類の成形状況も良好です。SAMのランチャーやアンテナのフレームなども再現されています。また、反ったパーツはレジンキャストキットでは歪みが出やすい構造ですが、その様な問題も発生していません。

このキットの中で最も驚異的な造形がなされている部位は、対空機関砲のパーツとなります。現代の対空機関砲は非常に繊細な構造をしており、ミニスケールでは再現しきれない鬼門の様なパーツとなります。マズルブレーキから配線まで全て再現されており、これだけ複雑な形状が一体成形で作れる技術は従来のレジンキットから数レベル上のクオリティと断言できます。

近年インジェクションキットのクオリティが上がり、クオリティの面でレジンキャストキットとの差が縮まってきた事によりガレージキットの価値が下がってきたと感じていましたが、UVレジンキットの登場はこの状況を大きく変える可能性があると思われます。

ガレージキットであれば生産性の低さや価格は許容されますので、高品質の組み立てキットと考えた場合にUVレジンキットのアドバンテージはかなり高いと感じられます。